語学書に書かれているアイルランド語発音の説明は難しいので
素人のワイなりに、発音の法則をまとめてみた。
なお、本業はウェールズ語の模様。
前回の記事
アイルランド語の発音は難しい(迫真
簡単な発音法則
表でまとめると?
例外もあるけど許して♡
優先度 | スペル | 発音 |
---|---|---|
1. | 子音の前後にある母音1文字 | 「イ」の口で子音を発音するか?否か?を示す記号 |
2. | 母音が2つ連続 | 丸暗記するのが一番早いと思います |
3. | 2つ連続した子音の2文字目が h | 1文字目の子音だけ弱く発音 |
4. | 2つ連続した子音の2文字目が h 以外 | 1文字目の子音だけ発音 |
5ー1. | 語頭以外の (dh,gh) | 無音 |
5ー2. | (a,e) + (dh,gh) | 二重母音 /アイ/ |
5ー3. | o + (dh,gh) | 二重母音 /アウ/ |
5ー4. | a + (bh,mh) | 二重母音 /アウ/ |
5ー5. | a + mh | 長母音 /ウー/ |
なんやぁ、この複雑な発音ルールぅ!
「簡単」と言いながら、複雑な表になっちゃったゾ~
すいません許してください!何でもしますから!
アイルランド語「ん? 今何でもするって言ったよね?」
↑の表にある 優先度1~5について、それぞれ説明してイクぞー!
1.子音の前後にある母音1文字は口蓋音か非口蓋音のどちらかを示すマーク
母音そのものは発音しない事に注意ゾ~
文字(※発音しない) | 口の形 |
---|---|
i,e | 口蓋音(/イ/の状態で子音を発音) |
a,u,o | 非口蓋音 (口の中を緩めて発音) |
口蓋音を示すi,eをロシア語で例えると、軟音記号「ь」みたいなもの
例:
beo(ビョー・ビオー)=生きている
「ベオー」と読んではいけない(戒め
beoの2文字目のeは母音「エ」ではないゾ~
eは前に来ている子音bが口蓋音であることを示すマーク
日本語の「ビ」の口の形で発音すると、それっぽくなるゾ~
子音bを/イ/の口で発音するんだよ!っていうのを、文字eが示しているだけ
文字eにつられて「エ」と発音したら、ますいですよ!
beoを発音記号で書くと /b’oː/ ですね
※/’/ → 前に来た子音を口蓋音で発音する印。
あっ、そうだ (唐突)
母音1文字で長母音、短母音を示すケースもあるのでややこしいゾ~
2.母音が2つ連続するスペルの発音は丸暗記
母音のスペルに存在しない音があるのは↓の3ケースだけ
ao → 長母音 /イー/
io → 短母音 /ウ/ ※/イ/もある
oi → 短母音 /エ/
それ以外の母音2文字の組み合わせは↓
ae → 長母音 /エー/
ea → 長母音 /アー/
eo → 長母音 /オー/
ei → 短母音 /エ/
io → 短母音 /イ/
ui → 短母音 /イ/
ui → 二重母音 /イーァ/
ua → 二重母音 /ウーァ/
例:
Gaeilge(ゲーィルゲ)アイルランド語
aeは長母音 /エー/
先ほどの1.で説明した口蓋音か非口蓋音のどちらかを示すマークの可能もあるので注意ゾ~
GaeilgeのGa-の部分だけ見ると
aは、前の子音Gを非口蓋音で発音するマークという見方もできる
(aそのものは発音しない)
そうすると、Gae-の部分は /ge/(ゲ)とも読める。
3.二つ連続した子音の2文字目が h は軟音化を示す
2文字目のhは発音しないゾ~
hの前に来た子音を弱く発音して♡
例えば ph の場合は、一文字目の子音pを弱く発音することを示す。
ちなみに、子音pを弱く発音すると/f/になる
こういう風に、子音を弱く発音する音変化を「軟音化」と呼ぶ。
↓はウェールズ語ですが、一応参考までに
例:
Pheige(フェゲ)=ペゲさん[人名]
↑の元の形はPeige(ペゲ)
Peige(ペゲ)がアイルランド語文法によって「軟音化」を起こすと
Pheige(フェゲ)のように音変化する。
hの文字が挿入されているけど、/h/の音は無い事に注意ゾ~
まとめると
・子音が2つ連続している
・2文字目が h であれば、「軟音化」した形
・「軟音化」の場合、1文字目の子音を弱く発音
軟音化した時の音は、1.で説明した口蓋音か?非口蓋音か?で変化する事があるゾ~
口蓋音か非口蓋音どちらも同じケース
軟音化したスペル | 発音 |
---|---|
sh | /h/ |
th | /h/ |
ph | /f/ |
ch | /x/(/k/の摩擦音) |
fh | 無音 |
“fh”の文字が出てきたら、発音してはいけない(戒め
shとthは同じ音。
あとはスペル毎に丸暗記だって、はっきりわかんだね。
口蓋音か非口蓋音で発音が異なるケース
軟音化したスペル | 口蓋音(/イ/の口) | 非口蓋音 |
---|---|---|
bh | /v/ | /w/(/ワ/) |
mh | /v/ | /w/(/ワ/) |
dh | /y/(/イェ/) | /g/(摩擦音) |
gh | /y/(/イェ/) | /g/(摩擦音) |
以下2ケースのスペルで、同じ音になるゾ~
・bh = mh
・dh = gh
4.二つ連続した子音の2文字目が h 「以外」の場合は、暗音化を示す
パスワードの暗号化ではない!
アイルランド語文法によって、語頭の子音を有声音にする音変化を「暗音化」と呼ぶ。
「暗号化」と文字が似ているけど、全然違うゾ~
なお、ウェールズ語に暗音化は無い模様。
結論から言うと
・子音が2つ連続している
・2文字目が h 以外であれば「暗音化」した形 (※例外あり)
・「暗音化」の場合、1文字目の子音だけ発音 (※同上)
・口蓋音か非口蓋音の区別は無い (※同上)
分かりやすい暗音化のケース↓
暗音化したスペル | 発音 |
---|---|
bp | /b/ |
mb | /m/ |
dt | /d/ |
nd | /n/ |
gc | /g/ |
ng | ※例外 /ŋ/(/g/の鼻音) |
例外として、口蓋音か非口蓋音で発音が異なるケースは1つだけなのよん。
暗音化したスペル | 口蓋音(/イ/の口) | 非口蓋音 |
---|---|---|
bhf | /v/ | /w/(/ワ/) |
bhfのスペルは「bh + f」に分けて考えれば良い。
bhは、3.の軟音化したスペル
b→bh (bを弱く発音する)
暗音化の場合
f→bhf (fを有声音にする)
音の関係を整理すると↓になるゾ~
弱 < 中間 <強
/f/ < /v/,/w/ < /b/
暗音化→ ←軟音化
あっ、そうだ(唐突)
元の単語の語頭が母音の場合、暗音化すると先頭に n が付くゾ~
5.母音+子音の発音
表の5.の部分だけ抜き出したゾ~
優先度 | スペル | 発音 |
---|---|---|
5ー1. | 語頭以外の (dh,gh) | 無音 |
5ー2. | (a,e) + (dh,gh) | 二重母音 /アイ/ |
5ー3. | o + (dh,gh) | 二重母音 /アウ/ |
5ー4. | a + (bh,mh) | 二重母音 /アウ/ |
5ー5. | a + mh | 長母音 /ウー/ |
3.の軟音化の知識で大体の発音を導けるからね、ま、多少はね。
・dh,ghは /y/(イェ)と見なす(口蓋音)
・bh,mhは /w/(ワ)と見なす(非口蓋音)
軟音化の復習ゾ~
子音が2つ連続していて、
かつ、2文字目が h の場合は、3.の軟音化になる。
単語の例を2つ挙げるゾ~
例1:
samhradh(サウラ)=夏
samh-のaの後に、軟音化した子音mh/w/が来ている(5-4.)
なのでamhは/aw/(アウ)と見なせる
語頭以外でdh/y/が来ている箇所は無音になる(5-1.)
最後の-radhは/ra(y)/と見なせる
まとめるとsamhradhは/sawra(y)/(サウラ)と発音する
例2:
aghaidh(アイ)=顔
agh-のaの後に、軟音化した子音gh/y/が来ている(5-2.)
最後の-aidhのdhは/y/と見なして発音しない(5-1.)
-aidhの a,i の部分は、1.で示した口蓋音か非口蓋音のどちらかを示すマークだと思うゾ~
-aidhのa→前のgh/y/を非口蓋音で発音
-aidhのi→最後の-dh/y/を口蓋音(イ)で発音
まとめるとaghaidhは /ay(y’)/(アイ)と発音する
つまり、どういう事だってばよ?
アイルランド語の発音は難しい(2回目
参考にしたサイト
アイルランド語の発音を紹介した珍しいサイト
分かりやすいサイトが こ↑れ↓
ガチの専門向け記事↓
アイルランド語の発音とアイルランドの異教的伝承の固有名詞表記について
↑の説明内容は 99.114514% 語学マニア向け。
ケルト語派に興味のある兄貴は一読の価値あり!
(内容を理解できるとは言ってない)
(分かりやすく説明したサイトが他に)ないです
「アイルランド語 発音」
でggっても、英語みたいに分かりやすく発音を説明したサイトが見つからない・・・
むしろ
「アイルランド英語」
のサイトが大量に見つかるんですが、それは・・・
ワイが探しているのは英語じゃねぇYO!
・・・という訳で、アイルランド語の発音をエンジョイ勢並みのレベルで整理してみたら、いやーきついっす(素)
「簡単な発音法則」と書いておきながら、ルールが複雑になりすぎちゃったゾ~
テヘッ☆