「世界一難しい言語」にありがちな3つの特徴

ネットや語学本にある言語の紹介文を読むと、「OO語は世界一難しい!」アピールが多い。

これまでにいろいろな言語を学んできた私から言わせてもらうと、「OO語『も』世界一難しいの?」「結局、どの言語が世界一難しいの?」ってなる。

本記事では世界一難しい言語にありがちな特徴を紹介する。




本やネットで紹介されている自称「世界一難しい言語」

私は今までに20個以上の外国語を勉強してきた。

色々な言語に関する学習本とかサイトを読むと、「~語は世界一難しい」というフレーズがよく出てくる。

ハイハイ、自称「世界一難しい言語」ですね!
そういうのはもう読み飽きたわ・・・

そんな私が知っている自称「世界一難しい言語」は以下。

・フィンランド語
・アイスランド語
・ポーランド語
・ギリシャ語
・ロシア語
・アラビア語
・ヘブライ語
・中国語

「世界一難しい言語」が8個もあるっておかしくない?
おかしいよね?

陸上の100m走で「世界一」の人は一人しかいないよね?

同様に「世界一難しい言語」はそもそも1個しか存在しないハズだよね?

なのに「世界一難しい言語」が8個も存在する。

何でも突き抜ける「矛」となんでも防げる「盾」みたいに「矛盾」しているねェ・・・

「世界一難しい言語」によくある事

日本語や英語と関連性が薄い

例えばフィンランド語

フィランド語は他のヨーロッパ言語とは全く異なる。
文法からして全く違う。

まず、フィンランドに近い国の「ありがとう」を紹介する。

Danke (ダンケ) ドイツ語
Tack (タック) スウェーデン語
Takk (タック) ノルウェー語
Tak (タック) デンマーク語

ドイツ語やスウェーデン語は、異なる言語だけど、音は似ている。
一方、フィンランド語の「ありがとう」は以下のように言う。

Kiitos (キートス)

今まで紹介したドイツ語とかスウェーデン語とは全く違う音やリズムになっている。
そんなフィンランド語はどちらかと言うと、日本語に近い。

フィンランド語の場合、単語の最後に助詞みたいな文字をくっつけて色々な意味を表せる。

そういう活用が15個もある。
単数と複数合わせると15個×2=30個になる。

一方、他のヨーロッパ言語でありがちな男性、女性、中性の「性」の概念はない。

ここまで読めば、「あれ?フィンランド語って日本語っぽくね?」ってなるよね?

だからフィンランド語はヨーロッパ人から見れば「世界一難しい言語!」って言われる。
逆にお隣のスウェーデン語やノルウェー語が「世界一難しい!」っていう言葉は聞いたことが無い。

スウェーデン語やノルウェー語は英語と同じ言語グループ。

英語との共通点が多い。
だから、ヨーロッパ人にとっては覚えるのに苦労しない。

スウェーデン語やノルウェー語は簡単な言語なんです。

別に世界一難しい言語じゃないんです。



「自分が学んでいる言語は難しいんだぜ!」アピール

外国語を学んでいる人にありがちなのが「俺様が学んでいる言語は特別に難しいんだぞ!」という勘違い。

確かに未知の外国語を学ぶのは難しい。

だけど、それは今アナタが学んでいる言語に限らず、他の言語でも同じ。

例えば中国語を勉強している人は「中国語は難しい!」と主張したがる。

だけど、その人は韓国語を勉強したことが無い。
なので「韓国語が難しい!」とは主張しない。

要するに、自分に興味のない言語は「難しい!」とは言わない。

「あー、そんな言語もあったんだね。難しいかどうかは知らんけど」という程度。

自分がこよなく愛している言語を「難しい」と思い込む事で、自分のこれまでの言語学習の苦労さをアピールしたいだけ。

なので、他の人が言う「OO語は難しいんだぞ!」という主張は無視していいです。

「自分の国の言語は難しいんだぜ!」アピール

日本人はよく「日本語は難しい」と言う。

日常生活の中で普通に生活していれば、日本語が難しい!っていう場面に出くわす事は無い。

でも、日本語ペラペラの日本人がわざわざ日本語を「難しい」と評価したがる。

確かに日本語を専門的に分析すると難しくなるだろうね。
五段活用とか品詞分解とかコーパスとか・・・

そういう風に日本語を用いた研究をする時は確かに難しい。

だけど、それは日本語に限らず他の言語でも同じ。

ある言語では、その言語なりの難しい要素が必ず存在する。
言語を深く突き詰めれば突き詰めるほど、難しくなってキリがないと分かる。

日本語だけが特別に難しいわけじゃない。

だけど、自分の母語をあえて難しい言語だ!と思い込む事自体にメリットはある。
外国人に対して「日本語ペラペラの俺ってスゲーだろ!」と思いたいだけ。

結局はどの言語が世界一難しいの?

結論から言うと、「分からない」が正しい。

その理由は以下3点。

1.「難しい」と感じる基準は人によって違う

2.「難しい」という度合いを数値的に測ることはできない

3.自分の母語によって学びやすい・学びにくい言語がハッキリ分かれる。
(例:日本人なら中国語、韓国語が学びやすい)

 

結局は世界一難しい言語なんて分からないんです。

アラビア語が世界一難しい言語って主張している人は、その言語が使われている国から遠い国に住んでいる可能性が高い。

もしくは外国語の勉強のやり方が悪くてアラビア語の取得がクソ遅い可能性もある。

「世界一難しい」って言う人も色々な属性が考えられる。

だから、世界一難しい言語なんて誰も分からないんです。

世界中に存在する言語はどれも簡単です

現在の世界で生き残っている言語は人類の歴史上から見ても簡単な分類に入る。

私は「世界一難しい(笑)」と言われているアラビア語を実際に勉強してみた。

アラビア語の勉強を始めて40日経った私の感想

実際にアラビア語を学んでみた感想としては「アラビア語は特別に難しい言語とは感じない」

アラビア語なんて、一見難しそうに見えるけど、一度単語や文法を覚えちゃえばスラスラ読めるようになる。

もし、コンピューター言語のような難読な言語が世の中にあったら、とっくにその言語は滅んでいるハズ。

なので、アナタが今学んでいる外国語は「簡単」と考えるべき。

わざわざ「難しい」と思い込んで自分を苦しめるのはもう止めたほうが良いよ。