星の王子様の裏表紙にあるウェールズ語を解読してみた

今、「星の王子様」という絵本のウェールズ語版を読んでいる。

裏表紙にある文章が気になったので解読してみた。




前回の続き(プリンセス・オブ・ウェールズ)

「プリンセス・オブ・ウェールズ」のウェールズ語を文法的に説明してみた

星の王子様の裏表紙にある文章

ウェールズ語だとこんな感じ

文章を書きだすと以下になる


Dyma fy nghyfrinach i.
Mae hi’n syml iawn.
Dim ond â’r galon mae gweld yn iawn.
Mae’r hyn sy’n bwysig yn anweledig i’r llygad.


 

カタカナ読みを付けると以下になる。

 

特に気を付ける発音は以下。


「y」「ア」又は「イ」

「f」=英語の「V(ヴ)」

「ll (=LL)」「L」の舌の位置「ス」と発音


その日本語訳

Dr. Ralf Hemmecke — Japanese


さっきの秘密をいおうかね。
なに、なんでもないことだよ。
心でみなくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ。


ウェールズ語を一文ずつ解読してみた

Dyma fy nghyfrinach i.

直訳:
これは私の秘密です。

 

「Dyma(コレ)」+「名詞」の構文
この場合、「~です」に相当する単語が不要になる。

Mae hi’n syml iawn.

直訳:
それはとても簡単です。

 

形容詞を使う「bod構文」になっている。
※「bod」に相当するのが「mae(~です)」

英語で言うなら「it is + 形容詞」の文。




Dim ond â’r galon mae gweld yn iawn.

直訳:
その心を用いないと、よく見えないです。

 

これは、動詞を使う「bod構文」になっている。
※「bod」に相当するのが「mae(~です)」

 

基本的に「mae(~です)」文の最初に置かないといけない!

 

しかし、今回は「mae」よりも先に

「â’r galon(その心で)」

が来ている。

その場合、「mae」よりも先に来た内容を強調する。

 

英語で言うと

「it is + 強調したいモノ + that …」

に相当する。

Mae’r hyn sy’n bwysig yn anweledig i’r llygad.

直訳:
重要なところのモノは、その目へ見えないです。

 

全体で見ると、形容詞を使う「bod構文」になっている。
※「bod」に相当するのが「mae(~です)」

 

主語‘r hyn sy’n bwysig(重要なところのモノ)」

sy’n(~するところの)」関係代名詞になっている。
その先行詞が‘r hyn(これ)

 

形容詞の部分は「anweledig(見えない)」

「ウェールズ語らしさ」は勉強しないと分からない

ウェールズ語と直訳

※日本語訳はウェールズ語風に直訳しています


Dyma fy nghyfrinach i.
これは私の秘密です。

Mae hi’n syml iawn.
それはとても簡単です。

Dim ond â’r galon mae gweld yn iawn.
その心を用いないと、よく見えないです。

Mae’r hyn sy’n bwysig yn anweledig i’r llygad.
重要なところのモノは、その目へ見えないです。


日本語らしい日本語訳


さっきの秘密をいおうかね。
なに、なんでもないことだよ。
心でみなくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ。


ところで「日本語らしさ」って何だろう?

私は、ウェールズ語の知識を深めるために解読・翻訳した。

その過程で、母語である日本語へも目を向けるようになった。

 

私が直訳した「ウェールズ語風の日本語訳」よりも

「日本語らしい日本語訳」

の方が自然と読める。
(ちょっと口語過ぎて読みにくく感じるけど)

 

これは、日本語文法の問題ではなくて「日本語らしさ」の問題だと思う。

「日本語らしい日本語訳」って、いったい何だろう・・・?
という言語学的(?)なテーマに気づいた。

「ウェールズ語らしさ」は日本人に伝えられない

「日本語らしさ」があるならば・・・

ウェールズ語にも「ウェールズ語らしい文」があるハズ。

単なるウェールズ語文法で組み立てた文ではない。
ウェールズ人が違和感なく読めるような文だってあるハズ!

 

そんな「ウェールズ語らしい文」を日本語へ直訳した結果が以下。


これは私の秘密です。
それはとても簡単です。
その心を用いないと、よく見えないです。
重要なところのモノは、その目へ見えないです。


 

それを日本人が読むと


「確かに文法的には間違いは無いように思うんだけど・・・」
「なんかgoogle翻訳っぽい」
「俺なら、そんな風に言わないな」


という反応になると思う。

 

でも、それが「ウェールズ語らしい文」なんだよ!
といくら説明しても日本人には伝わらない。

「ウェールズ語らしさ」の本当の姿を知りたければ、ウェールズ語を勉強して♡
としか言いようがない。

私も「ウェールズ語らしさ」が分からない

本記事では、細かい文法も説明してウェールズ語のしくみも伝えた。

そんなウェールズ語学習者の私でも、
どこに「ウェールズ語らしさ」があるのかが分からない・・・

 

もしかしたら「〇〇語らしさ」が理解できる言語は母語だけではないだろうか?

 

私の英語力だと、ネイティブが書いた英語のどこが
「英語らしい」
のかさっぱりわからない。

 

あと、私は英語よりも中国語の方が得意。

そんな私でも、封神演義の原文を読んで
「中国語らしさ」がどこにあるのか聞かれても、さっぱり答えれない。

 

外国語を母語へ翻訳する作業を言語化すると、ここまで深く考察できる。

だから語学は面白いと思うの!

「星の王子様」解読の続き

「星の王子様」の最初の段落をウェールズ語で朗読してみた