ウェールズ語の記事を書くたびに
「これは北部の表現で~」
「そもそもウェールズ語は南部と北部の言い方があってだな…」
といちいち補足説明するのが面倒なので,本記事でまとめたゾ~
後悔はしていない
そもそもウェールズ語って何?
いつもの↓を読んで、どうぞ
北部と南部の方言がある
朝鮮語に例えると?
大韓民国と北朝鮮の2つの国では、朝鮮語が使われている。
だけど、大韓民国の朝鮮語と、北朝鮮の朝鮮語は微妙に異なる。
同じハングルを使うんだけど・・・
正書法が違うし、語彙やフレーズも微妙に違うらしい。
大韓民国で使われている朝鮮語(=韓国語)が↓
北朝鮮で使われている朝鮮語だと、↑と微妙にずれるかもしれない。
마음(心)とか구나(~だなぁ)辺りが変わりそう(小並感
※ワイは韓国語ができるけど、ガチ勢ではありません。念のため
ウェールズ語も、大体2つの方言に分かれる
ウェールズ語が使われている「ウェールズ」の場所はこ↑こ↓
ちなみに↑の青丸で囲んだ都市は、日本人が大好きなLondon(ロンドン)
(カナダのロンドンでは)ないです
あっ、そうだ(唐突)
ウェールズ語だとLlundain(シンダイン)って言うんだゾ~
どうしてこうなった
で、ウェールズ語の方言は細かく見ると2つだけではないゾ~
たくさんの方言に分類できるのよん。
それだとややこしくなるので、方言を大雑把に北と南の2つに分けて説明することが多い。
方言は、以下でイメージしよう!(提案
ウェールズ北部 = 北朝鮮
ウェールズ南部 = 大韓民国
ウェールズ語の北部と南部の方言差は、大韓民国と北朝鮮の朝鮮語みたいなモノ。
たとえ北部のウェールズ語方言を知らなくても・・・
南部ウェールズ語の知識があれば、何となく理解できるかな?
って言う感じ
なお、イギリス英語の知識があってもウェールズ語は
99.114514%理解できません!(←そこ重要)
北部と南部の方言差
発音・語彙・文法がちょこっとだけ異なるんじゃよ
(ウェールズ語学習者の間で)有名なのは、「彼」を意味する人称代名詞が北と南で違う
北→o(オ)
南→e(エ)
(ウェールズ語語学書レベルの範囲で)
「彼は行く」をウェールズ語で作文すると、以下2通りが考えられる
北→Mae o‘n mynd (マエ オ・ン ミンド)
南→Mae e‘n mynd (マエ エ・ン ミンド)
実際のウェールズ語は、他の言い方も考えられる。
細かく言うと、BOD動詞の別の活用形とか短縮形(Mae’n)とか、文語など・・・
↑で挙げた「彼は行く」のウェールズ語作文は、あくまでも
「模範的で、丁寧なウェールズ語」
だと思って♡
北と南で異なる発音
同じスペルでも、北と南で別の発音をすることがある。
例えば「リンゴ」は単数形だとafal(アヴァル)
これは、北と南で発音は大体同じ(だと思う)
だけど、複数形になると・・・
afalの場合は、最後に-auがくっついてafalauのスペルになる
詳しくは↓を読んで、どうぞ
で、「複数のリンゴたち」を意味するafalauの発音は北と南で異なる(らしい)
北→afalau(アヴァレ)
南→afalau(アヴァライ)
南部の場合は、複数形の語尾-auを文法通りに「アイ」と読む
※uは「イ」と発音します。念のため
だけど北部は文法通りに発音しない
語尾-auは、なぜか「エ」と読む
ウェールズ語の方言調査によると、北部の人でも「afalau」のスペルを見せたら文法通りに「アヴァライ」と発音する。
だけど「afalau」のスペルを見せずに、リンゴの絵を見せた場合「アヴァレ」と発音してしまうらしい
北と南で違う単語
「彼」を意味する「o」「e」以外で、良く紹介される単語が↓
北のウェールズ語 | 南のウェールズ語 | 日本語 |
---|---|---|
agoriad(アゴリアド) | allwedd(アスウェズ) | 鍵 |
pres(プレス) | arian(アリアン) | お金 |
ffordd(フォルズ) | heol(ヘオル) | 道 |
llefrith(セヴリス) | llaeth(サエス) | 牛乳 |
rwan(ルワン) | nawr(ナウル) | 今 |
taid(タイド) | tadcu(タドキ) | おじいさん |
nain(ナイン) | mamgu(マムギ) | おばあさん |
北と南で似ている単語もあれば、全然違う単語もある。
「牛乳」は、北と南で似ているね。
北→llefrith(セヴリス)
南→llaeth(サエス)
「o」「e」の次に、良く紹介されるのが「牛乳」じゃないかな(適当
北と南で異なる文法
文法差で有名なのは、たぶん
「私は、咳が出ています」
のフレーズ
北→Mae arno fo beswch(マエ アルノ ヴォ ベスゥフ)
南→Mae peswch arna i(マエ ペスゥフ アルナ・イ)
↑を日本語でそのまま訳すると
北→~です/~の上/私/咳
南→~です/咳/~の上/私
英単語で並べると、↓になる
北→Is on me cough
南→Is cough on me
北部だと、「咳」を意味する名詞が文末に置かれている。
それに対して南部だと、名詞「咳」を「~です」の直後に置いて
その後に、前置詞「~の上」を追加する形になっている。
にもかかわらず、文章のメインである動詞「~です」の形はMae(マエ)と共通してる。
そんな風に、北と南で文法がビミョ~に違う。
で、共通のウェールズ語はどっちなの?
言語には「共通語」があるのが当然のように思われている
マイナー言語を学んだことのない兄貴は、
・言語には共通語がある
・だから、最初は共通語から学ぶべきだ
・方言?そんなの言語学者がやる事でしょwww
っていう先入観があるんじゃないかな?(適当
だけど、ハッキリとした「共通語」が1つに定まってるのは「メジャー言語」の話
ある程度のマイナー言語以下になると、「共通語」そのものがしっかり定まっていなかったりする。
もっとマイナー言語なると、そもそも「共通語」が無かったりする。
ウェールズ語には、一応共通語があるが…
ウェールズ語の話者人口が多いのは、南部
なので、とりあえず南の方言を共通語にしたろか!
(完全に1つの共通語にするとは言ってない)
南部の方言を完全に「共通語」にしちゃうと、話者人口が少ない北部の方言が滅びるからね、しょうがないね。
「南部」がメインだけど、北部の方言も尊重するよ!
・・・って言うのが、ウェールズ語の「共通語」事情
「共通語」って簡単に言うけど…
単純ではないんだよなぁ~(呆れ
熟練した語学マニアとか言語学者は「共通語」そのものが当たり前と考えていない(と思う)
言語とか国によって、「共通語」のあり方が異なるんですけどね。初見さん
ノルウェー語における「共通語」
「ノルウェー語」と言っても
「ブークモール」と「ニーノシュク」
の2つの方言(?)がある
両方とも共通語としての地位を与えられている。
話者人口は、圧倒的に「ブークモール」の方が多いんだけど…
話者人口が少ない「ニーノシュク」も尊重して、じゃけん、2つとも共通語にしましょうね~
と言うのがノルウェー語の大人の事情
朝鮮語における「共通語」
大韓民国で使う朝鮮語こそ
「共通の朝鮮語だ!」
って言ったら、北朝鮮の将軍様が激おこぷんぷん丸!
将軍様「なんだァ?てめェ……」
と言うことで、大韓民国と北朝鮮の共通となる「朝鮮語」は、何も見なかったことにしょう
(説明が雑で)すまんな
言語によって「共通語」の事情は異なる
一言「共通語」って言っても、それは国の事情によって見方が変わってくる。
「これが共通語だッ!」と一方的に考えるのは止めて♡
別の方言を使う人から見たら
「これが(俺にとって都合のいい)共通語だッ!」
と捉えてしまうからね、しょうがないね。
日本語の場合
日本語の場合は、1つの言語を1つの国だけで使われている
(パラオ?知らんな)
そういう言語は、世界でも珍しいらしい。
大抵は1つの言語を複数の国で使ったり、複数の言語を1つの国で使っているんだゾ~
(韓国・北朝鮮と違って)日本語の共通語は、すんなりと1つに定まっている。
共通語の決定が理由で反乱が起きたという歴史は、私は知らない。
それくらい、日本人は日本語の共通語に対して寛容
(東京の方言をベースに、共通語にしたんだっけ?)
日本語の共通語の決め方に対して異議を唱えている日本人は、少なくともワイはリアルとかネットで見たことが無い。
(共通語となった日本語そのものの批判は多いけどなwww)
ウェールズ語の語学書あるある
隙あらば、北部の方言を紹介
ウェールズ語の語学書でも、一応「南」の方言をベースに文法説明している。
だけど、「北」の方言もちらほら紹介されている。
隙あらば自分語り
テキスト文章を読むと、なぜか北部訛りのウェールズ人が良く登場してくる。
「うっかり北部方言でしゃべっちゃった~!テヘッ☆」
みたいなテキストもよく見かける。
ウェールズ語の訛り、強すぎィ!
「こいつのウェールズ語訛り、強すぎィ!」
という例文も良く出てくる。
↑で言っている「訛り」は、99.114514%「北部方言」を指す。
南部「北部方言、カワイソス・・・(´・ω・)」
ウェールズ語のベース(一応、共通語扱い)は南部の方言で書かれている。
でも、なぜか北部訛りのウェールズ人が出てきて(ウェールズ語学習中の)日本人を困らせるシーンが多い。
こいつゥ、北部ウェールズ語を話しますよ?
やっぱり好きなんですねぇ(ゲス顔
突然、北部のウェールズ語が出てくる例文
↓の会話パターンは、ウェールズ語語学書では良くある事
登場人物:
Hywel(ハウェル)=北部ウェールズ語話者
Hiroko(ヒロコ)=ウェールズ語学習中の日本人
じゃけん、実際のテキスト会話を見てみましょうね~
(北)=北の方言
(南)=南の方言、一応共通語扱い
ハウェル:
(北)Mae’n ddrwg gen i, Hiroko
すまん、ヒロコ
(北)Mi ddaru ‘mi golli goriada’r car.
ワイ、車の「あぎ」を失くしちゃってさぁ~
(北)Sut roedd y siwrnai?
その周遊、どうだった?
ひろこ:
(南)”Golli goriada’r car” ?
「ワイ、車の「あぎ」を失くしちゃってさぁ~」?
(↑北部の方言が理解できない)
(南)Dydw i ddim yn deall
私は、分かりません
ハウェル:
(南)O, mi gollais i allweddi’r car
あ、「私は、車のカギを失くしました」
ひろこ:
(南)Rydw i’n deall.
私は、分かりました。
(南)Popeth yn iawn, Hywel
いいんですよ。ハウェルさん
何を「共通語」「方言」とするのかは人によって異なる
南部のウェールズ語を、一応「共通語」として外国人に説明している。
だけど、北部方言を使うハウェルさんの立場だと・・
北部のウェールズ語こそ「共通語」と思い込んでいるんじゃないかな(適当
でないと、うっかり北部の方言がポロッ…と出てこない訳だし。
ウェールズ語を学ぶと、色々な言語の「共通語」「方言」という「大人の事情」が分かってくるYO!