今までは、文の作り方を紹介してきた。
今回は単語そのものを紹介する。
前回の続き
ウェールズ語の名詞
3行で説明すると?
・男性名詞と女性名詞の2つのグループがある
・男性名詞と女性名詞どちらも複数形がある
・ウェールズ語の「複数形」の扱いが英語と少し異なる
今回紹介するのは「複数形」
ウェールズ語の名詞には「男性」と「女性」の区別があるのだが・・・
どちらの「性」でも複数形の作り方は同じ傾向にある(と思う)
なので、本記事では名詞の「性」は無視する
ウェールズ語の複数形の作り方は複雑
大まかな4つのルール
英語の場合、名詞の後ろに「-s」を付ければ「複数形」になるんだったよね?
まぁ一部の単語は「-es」を付けたりとか、単数形とは全然違う形になる例外もあるけどね。
ウェールズ語の複数形も、英語と同じような感じだと思って♡
・単数形の後ろに文字をくっつける
・単数形の後ろの文字が省略される
・単数形の文字の一部が変わる
・単数形の原形がほぼ消えるパターン
ただし、ウェールズ語の方が英語よりも複数形の作り方が複雑。
それに萌えるのが語学マニア
単数形の後ろに文字をくっつける
後ろにくっつける文字をざっと挙げると以下になる。
-au
-iau
-ydd
-ed
-i
-ion
-oedd
-ys
-s
-iaid
うわぁ・・・
これだけで、10パターンもあるのか・・・(汗
英語だと、大体「-s」「-es」しかないんだよねー
単数形の後ろの文字が省略される
要するに、単数形よりも複数形の方が短くなるケース。
例として、「木」を意味する単数形を紹介しよう。
coeden(コエデン)
この複数形は
coed(コエド)
単数形の最後の文字「-en」が消えると複数形になる。
念のために言っておくが、
coed(コエド)が単数で、coeden(コエデン)が複数形ではない!
coeden(コエデン)が単数で、coed(コエド)が複数形です!
単数形の文字の一部が変わる
「フォーク」を意味する名詞
fforc(フォルク)
の複数形は
ffyrc(ファルク)
単数形の後ろに何も文字がくっついていない。
「o」が「y」に変わるだけで複数形になる単語もある。
英語でいうなら「man」→「men」のケース。
単数形の原形がほぼ消えるパターン
「星の王子様」のウェールズ語版を読んだとき、
「え~!」ってビックリした単語がある。
「ヘビ」を意味する単語が
neidr(ネイドル)
その複数形が、なんと
nadredd(ナドレズ)
nadredd(ナドレズ)が、まさかneidr(ネイドル)の複数形だとは思わなかった・・・
別の単語だと思ってた。
正確に見ると
単数形の母音「ei」が「a」に置き換わっている
単数形の後ろに「-edd」がくっつく
・・・のだが、そんな複雑なルールを覚えるよりも
neidr(ネイドル)の複数形はnadredd(ナドレズ)!
と覚えてしまった方が早い。
実際の複数形を見てみよう!
以下の実例を見れば、
ウェールズ語の複数形がいかに複雑なのか体感できると思う。
-au
「本」を意味する単数形
llyfr(シヴル)
その複数形が
llyfrau(サヴライ)
-iau
「友達」を意味する単数形
ffrind(フリンド)
その複数形が
ffrindiau(フリンディアィ)
-ydd
「橋」を意味する単数形
pont(ポント)
その複数形が
pontydd(ポンティズ)
-ed
「女の子」を意味する単数形
merch(メルフ)
その複数形が
merched(メルヘド)
-i
「窓」を意味する単数形
ffenestr(フェネストル)
その複数形が
ffenestri(フェネストリ)
-ion
「男」を意味する単数形
dyn(ディン)
その複数形が
dynion(ダニォン)
-oedd
「街路」を意味する単数形
stryd(ストリド)
その複数形が
strydoedd(ストリドエズ)
-ys
「ブラウズ」を意味する単数形
blows(ブロウス)
その複数形が
blowsys(ブロウスィス)
-s
「ネクタイ」を意味する単数形
tei(ティ)
その複数形が
teis(ティス)
これは英語と同じ複数形パターンだね。
-iaid
「動物」を意味する単数形
anifail(アニヴァイル)
その複数形が
anifeiliaid(アニヴェイリアイド)
ついでに途中の母音「a」が「e」に変わっている事にも注意!
「-yn」が消える
「魚」を意味する単数形
pysgodyn(パスゴディンン)
その複数形が
pysgod(パスゴド)
「e」→「y」
「ナイフ」を意味する単数形
cyllell(カセス)
その複数形が
cyllyll(カシス)
「a」→「e」
「男の子」を意味する単数形
bachgen(バハゲン)
その複数形が
bechgyn(ベヘギン)
2文字目の「a」→「e」と同時に、
6文字目の「e」→「y」の変化もある事に注意!
「a」→「ei」
「車」を意味する単数形
car(カル)
その複数形が
ceir(ケイル)
「ŵ」→「wŷ」
「夫」を意味する単数形
gŵr(グゥール)
その複数形が
gwŷr(グゥィル)
アルファベットの上に付いている「へ」の記号が移動していることに注意!
「ŷ」→「ai」
「家」を意味する単数形
tŷ(ティ)
その複数形が
tai(タイ)
これだけ見ると、不規則形に見えてもおかしくない。
「r」→「yr」
「農家」を意味する単数形
ffermwr(フェルムル)
その複数形が
ffermwyr(フェルムィル)
男性の職業等を表す単語の複数形は、このパターンになる事が多い。
「wch」→「chod」
これは不規則と見た方がいいかもしれない・・・
「メス牛」を意味する単数形
buwch(ビウフ)
その複数形が
buchod(ビホド)
共通点が最初の「bu-」しかないので、
複数形が別の単語に見えてしまう
他にも複数形のルールがある
今まで紹介してきた複数形は、あくまでも入門書に書かれている内容。
私が使った参考文献は以下の2冊。
Beginner’s Welsh with Online Audio (Hippocrene Beginner’s)
ウェールズ語の専門書を読めば、
もっと細かい複数形ルールが記載されていると思う。
もっと他の名詞を見たい方へ
以下のウェールズ語単語リストを読んで、どうぞ。
なお、複数形に関する品詞の凡例は以下。
m=男性名詞(Masculine noun)
f=女性名詞(Feminine noun)
pl=名詞の複数形(Plural)
ウェールズ語講座その22へ続く