ウェールズ語講座その21~名詞の複数形

今までは、文の作り方を紹介してきた。

今回は単語そのものを紹介する。




前回の続き

ウェールズ語講座その20~天気を表す表現

ウェールズ語の名詞

3行で説明すると?

男性名詞女性名詞の2つのグループがある

・男性名詞と女性名詞どちらも複数形がある

・ウェールズ語の「複数形」の扱いが英語と少し異なる

今回紹介するのは「複数形」

ウェールズ語の名詞には「男性」と「女性」の区別があるのだが・・・
どちらの「性」でも複数形の作り方は同じ傾向にある(と思う)

なので、本記事では名詞の「性」は無視する

ウェールズ語の複数形の作り方は複雑

大まかな4つのルール

英語の場合、名詞の後ろに「-s」を付ければ「複数形」になるんだったよね?
まぁ一部の単語は「-es」を付けたりとか、単数形とは全然違う形になる例外もあるけどね。

 

ウェールズ語の複数形も、英語と同じような感じだと思って♡


・単数形の後ろに文字をくっつける

・単数形の後ろの文字が省略される

・単数形の文字の一部が変わる

・単数形の原形がほぼ消えるパターン


ただし、ウェールズ語の方が英語よりも複数形の作り方が複雑。

それに萌えるのが語学マニア

単数形の後ろに文字をくっつける

後ろにくっつける文字をざっと挙げると以下になる。


-au
-iau
-ydd
-ed
-i
-ion
-oedd
-ys
-s
-iaid


うわぁ・・・
これだけで、10パターンもあるのか・・・(汗

英語だと、大体「-s」「-es」しかないんだよねー

単数形の後ろの文字が省略される

要するに、単数形よりも複数形の方が短くなるケース。

 

例として、「木」を意味する単数形を紹介しよう。

coeden(コエデン)

この複数形は

coed(コエド)

単数形の最後の文字「-en」が消えると複数形になる。

 

念のために言っておくが、

coed(コエド)が単数で、coeden(コエデン)が複数形ではない!

coeden(コエデン)単数で、coed(コエド)複数形です!




単数形の文字の一部が変わる

「フォーク」を意味する名詞

fforc(フォルク)

の複数形は

ffyrc(ファルク)

 

単数形の後ろに何も文字がくっついていない。
「o」が「y」に変わるだけで複数形になる単語もある。

英語でいうなら「man」→「men」のケース。

単数形の原形がほぼ消えるパターン

「星の王子様」のウェールズ語版を読んだとき、
「え~!」ってビックリした単語がある。

 

「ヘビ」を意味する単語が

neidr(ネイドル)

その複数形が、なんと

nadredd(ナドレズ)

nadredd(ナドレズ)が、まさかneidr(ネイドル)の複数形だとは思わなかった・・・
別の単語だと思ってた。

 

正確に見ると


単数形の母音「ei」「a」に置き換わっている

単数形の後ろに「-edd」がくっつく


 

・・・のだが、そんな複雑なルールを覚えるよりも

neidr(ネイドル)の複数形はnadredd(ナドレズ)

と覚えてしまった方が早い。

実際の複数形を見てみよう!

以下の実例を見れば、
ウェールズ語の複数形がいかに複雑なのか体感できると思う。

-au

「本」を意味する単数形
llyfr(シヴル)

その複数形が
llyfrau(サヴライ)

-iau

「友達」を意味する単数形
ffrind(フリンド)

その複数形が
ffrindiau(フリンディアィ)

-ydd

「橋」を意味する単数形
pont(ポント)

その複数形が
pontydd(ポンティズ)

-ed

「女の子」を意味する単数形
merch(メルフ)

その複数形が
merched(メルヘド)

-i

「窓」を意味する単数形
ffenestr(フェネストル)

その複数形が
ffenestri(フェネストリ)

-ion

「男」を意味する単数形
dyn(ディン)

その複数形が
dynion(ダニォン)

-oedd

「街路」を意味する単数形
stryd(ストリド)

その複数形が
strydoedd(ストリドエズ)

-ys

「ブラウズ」を意味する単数形
blows(ブロウス)

その複数形が
blowsys(ブロウスィス)

-s

「ネクタイ」を意味する単数形
tei(ティ)

その複数形が
teis(ティス)

これは英語と同じ複数形パターンだね。

-iaid

「動物」を意味する単数形
anifail(アニヴァイル)

その複数形が
anifeiliaid(アニヴェイリアイド)

 

ついでに途中の母音「a」「e」に変わっている事にも注意!

「-yn」が消える

「魚」を意味する単数形
pysgodyn(パスゴディンン)

その複数形が
pysgod(パスゴド)

「e」→「y」

「ナイフ」を意味する単数形
cyllell(カセス)

その複数形が
cyllyll(カシス)

「a」→「e」

「男の子」を意味する単数形
bachgen(バハゲン)

その複数形が
bechgyn(ベヘギン)

 

2文字目の「a」→「e」と同時に、
6文字目の「e」→「y」の変化もある事に注意!

「a」→「ei」

「車」を意味する単数形
car(カル)

その複数形が
ceir(ケイル)

「ŵ」→「wŷ」

「夫」を意味する単数形
gŵr(グゥール)

その複数形が
gr(グゥィル)

アルファベットの上に付いている「へ」の記号が移動していることに注意!

「ŷ」→「ai」

「家」を意味する単数形
tŷ(ティ)

その複数形が
tai(タイ)

これだけ見ると、不規則形に見えてもおかしくない。

「r」→「yr」

「農家」を意味する単数形
ffermwr(フェルムル)

その複数形が
ffermwyr(フェルムィル)

男性の職業等を表す単語の複数形は、このパターンになる事が多い。

「wch」→「chod」

これは不規則と見た方がいいかもしれない・・・

「メス牛」を意味する単数形
buwch(ビウフ)

その複数形が
buchod(ビホド)

共通点が最初の「bu-」しかないので、
複数形が別の単語に見えてしまう

他にも複数形のルールがある

今まで紹介してきた複数形は、あくまでも入門書に書かれている内容。

私が使った参考文献は以下の2冊。

ウエールズ語の基本  永田 喜文, 小池 剛史 著

Beginner’s Welsh with Online Audio (Hippocrene Beginner’s)

 

ウェールズ語の専門書を読めば、
もっと細かい複数形ルールが記載されていると思う。

もっと他の名詞を見たい方へ

以下のウェールズ語単語リストを読んで、どうぞ。

ウェールズ語の基礎1000語リスト

なお、複数形に関する品詞の凡例は以下。


m=男性名詞(Masculine noun)

f=女性名詞(Feminine noun)

pl=名詞の複数形(Plural)


ウェールズ語講座その22へ続く

ウェールズ語講座その22~冠詞の使い方