ウェールズ語講座その31~屈折構文を用いた未来の表現

英語で言うbe動詞を使わないで
未来の文を作る方法を紹介する。




前回の続き

そもそも「屈折構文」って何?

ウェールズ語講座その28~動詞はコロコロ変わる

屈折構文を用いた過去の表現

ウェールズ語講座その29~屈折構文を用いた過去の表現

過去と完了の違い

ウェールズ語講座その30~動作の完了を表す方法

屈折構文を用いた未来形の例文

一番簡単な文

darllen(ダルセン)=読む
の動詞を使って、屈折構文の未来を表すと以下になる。


darllena i
ダルセナ イ
私は読むぞ!


darllena(ダルセナ)=(私は)読むぞ!

i(イ)=私

 

元の動詞の形「darllen」の後に「a」をくっつけるだけで未来形になる。

ね、簡単でしょ?

「darllena」は命令形にもなっている

先ほど、「darllena」は
元の動詞「darllen」の「未来形・一人称・単数」になる。

 

それとは別に、「darllena」は
元の動詞「darllen」の「命令形・二人称・単数」にもなる。

要するに「お前が読め!」っていうキツイ命令。

「darllena i」をgoogle翻訳に入れると?

命令形として翻訳される模様
(2020/6/26時点)


ウェールズ語「darllena i」

英訳「read it」
日本語訳「それを読んで」


 

人称代名詞を含んだ命令形(のような文)になると
機械翻訳が難しくなることが読みとれる。
「darllena」は未来形と命令形の2つの可能性がある)

 

・・まぁ、本記事では未来形の方の「darllena」を説明する。

命令形の方は、後の記事で説明する予定。

私はその本を読むぞ!

屈折構文の過去形でも紹介したけど・・・
「私は読むぞ!」だけだと面白くない!

なので、「本」を付け加えてみた。


darllena i’r llyfr
ダルセナ イル シヴル
私はその本を読むぞ!


i’r(イル)i(イ)+yr(アル)

yr(アル)=定冠詞

llyfr(シヴル)=本

 

語順は、VSO型になってますね。
(過去形と同じ)

主語を省略することが多い

実際は,主語「私」である「i(イ)」省略することが多い。


darllena’r llyfr
ダルセナル シヴル
私はその本を読むぞ!


darllena(ダルセナ)だけで、主語が「一人称・単数」であると分かる。
だから、主語「i(イ)」を省いた文も作れる。




単純未来と意思未来の違い

結論

2行でまとめると以下。


単純未来=~する予定です

意思未来=~するぞ!


 

ちなみに、「単純未来」「意思未来」は
文法グループ上では「時制(テンス)」に属する。

「完了」「未完了」を示す「相(アスペクト)」ではないよ!

ウェールズ語の場合


単純未来=BOD構文の未来形

意思未来=屈折構文の未来形


これは、「点過去」「線過去」の区別と似ている。

ウェールズ語講座その29~屈折構文を用いた過去の表現

要するに、時間を「線」「点」で見るかの違い。


・BOD構文=時間を「線」で見る

・屈折構文=時間を「点」で見る


【復習】BOD構文での未来の表し方

ウェールズ語講座その12~未来(予定)の表現

「単純未来」として「私は本を読む予定です」と翻訳する場合、
BOD構文を使う。


Bydda i’n darllen y llyfr
バザ イン ダルセン ア シヴル
私はその本を読む予定です。


Bydda(バザ)BOD(~である)の未来形・一人称・単数

屈折構文に現在形は無い!

ウェールズ語の動詞変化

もう一度、以下の動詞変化表を確認してほしい。

※元の動詞の形は「rhedeg(フレデグ)」
「走る」の意味

ウェールズ語講座その28~動詞はコロコロ変わる

言語に詳しい人なら「あれ・・・?」って思うだろう。

そう、ウェールズ語の動詞に「現在形」の変化形は無いのです!
(例外的に、BOD動詞は「現在形」があるのだが)

屈折構文の未来形=現在形?

ウェールズ語の文法書によっては、
屈折構文の未来形「現在形」として説明するケースもある。

なんで???

と思った兄貴は、「意思未来」の事を思い出して、どうぞ。

 

屈折構文の未来形だと「意思未来」になるんだったよね?
(「単純未来」ではない!)

「意思未来」を使うと「~するぞ!」という強い意志を表せる。
・・・これって、時制が「現在形」の考え方に近いよね?

英語の復習

英語でも、現在形で近い未来を表す表現があるよね?

「彼女は5時半に家に帰ります」

と言っている時点で、まだ5時半ではない(と想像できる)
つまり「家に帰ります」というのは、未来の事を言っている。

だけど、動詞は現在形でもOK!
と学校で習った兄貴が多いと思う。

 

「意思未来」である「~するぞ!」というのは
近い未来(のように見える)事を言っている。

文法上では、「屈折構文の未来形」になるけど
時制で考えると「現在」でも「未来」でもどっちでもいいんじゃね?

と、ウェールズ語の文法書では説明しているのだと思う。

屈折構文の未来形=「非過去」?

ウェールズ語はマイナー言語。

ほとんどの日本人は知らない。
書籍やネットでの情報も圧倒的に少ない。

なので、私の独断でウェールズ語文法の案を堂々と主張しても恥ずかしくない。

 

「屈折構文」の場合は、時制を日本語みたいに

「過去」「非過去」

で考えた方がスッキリするんじゃないだろうか?
(※直説法の場合。接続法は時制が無いのです!)

 

つまり、darllen(ダルセン)「非過去」darllena(ダルセナ)だ!と見なす。

「darllena」は、文法上では未来形の変化をしている。
だけど、意味上では「非過去」と考える。

 

・・・以上が、専門家でもない私のウェールズ語文法案。

まぁ、こんなくだらない文法事項を主張するよりも、
ウェールズ語の単語を1つでも覚えた方がいいのだが。

語学の場合、文法に関する主張や質問は禁句と考えた方が良い
だって、文法書に全部書いてあるんだもん

まとめ

3行でまとめると以下。


・動詞の後に「a」をくっつければ、未来形になる(※1,2)

・屈折構文の未来形は「意思未来」を表す

・意味上では「非過去」と考えて良いかもしれない


※1.主語が一人称・単数の場合
※2.厳密に言うと「動詞の語幹」+「人称に応じた語尾」

ウェールズ語講座その32へ続く

ウェールズ語講座その32~主語が無い文の作り方