英語で言うbe動詞を使わないで
未来の文を作る方法を紹介する。
前回の続き
そもそも「屈折構文」って何?
屈折構文を用いた過去の表現
過去と完了の違い
屈折構文を用いた未来形の例文
一番簡単な文
darllen(ダルセン)=読む
の動詞を使って、屈折構文の未来を表すと以下になる。
darllena i
ダルセナ イ
私は読むぞ!
darllena(ダルセナ)=(私は)読むぞ!
i(イ)=私
元の動詞の形「darllen」の後に「a」をくっつけるだけで未来形になる。
ね、簡単でしょ?
「darllena」は命令形にもなっている
先ほど、「darllena」は
元の動詞「darllen」の「未来形・一人称・単数」になる。
それとは別に、「darllena」は
元の動詞「darllen」の「命令形・二人称・単数」にもなる。
要するに「お前が読め!」っていうキツイ命令。
「darllena i」をgoogle翻訳に入れると?
命令形として翻訳される模様
(2020/6/26時点)
ウェールズ語「darllena i」
↓
英訳「read it」
日本語訳「それを読んで」
人称代名詞を含んだ命令形(のような文)になると
機械翻訳が難しくなることが読みとれる。
(「darllena」は未来形と命令形の2つの可能性がある)
・・まぁ、本記事では未来形の方の「darllena」を説明する。
命令形の方は、後の記事で説明する予定。
私はその本を読むぞ!
屈折構文の過去形でも紹介したけど・・・
「私は読むぞ!」だけだと面白くない!
なので、「本」を付け加えてみた。
darllena i’r llyfr
ダルセナ イル シヴル
私はその本を読むぞ!
i’r(イル)=i(イ)+yr(アル)
yr(アル)=定冠詞
llyfr(シヴル)=本
語順は、VSO型になってますね。
(過去形と同じ)
主語を省略することが多い
実際は,主語「私」である「i(イ)」を省略することが多い。
darllena’r llyfr
ダルセナル シヴル
私はその本を読むぞ!
darllena(ダルセナ)だけで、主語が「一人称・単数」であると分かる。
だから、主語「i(イ)」を省いた文も作れる。
単純未来と意思未来の違い
結論
2行でまとめると以下。
単純未来=~する予定です
意思未来=~するぞ!
ちなみに、「単純未来」「意思未来」は
文法グループ上では「時制(テンス)」に属する。
「完了」「未完了」を示す「相(アスペクト)」ではないよ!
ウェールズ語の場合
単純未来=BOD構文の未来形
意思未来=屈折構文の未来形
これは、「点過去」と「線過去」の区別と似ている。
要するに、時間を「線」か「点」で見るかの違い。
・BOD構文=時間を「線」で見る
・屈折構文=時間を「点」で見る
【復習】BOD構文での未来の表し方
「単純未来」として「私は本を読む予定です」と翻訳する場合、
BOD構文を使う。
Bydda i’n darllen y llyfr
バザ イン ダルセン ア シヴル
私はその本を読む予定です。
Bydda(バザ)=BOD(~である)の未来形・一人称・単数
屈折構文に現在形は無い!
ウェールズ語の動詞変化
もう一度、以下の動詞変化表を確認してほしい。
※元の動詞の形は「rhedeg(フレデグ)」
「走る」の意味
言語に詳しい人なら「あれ・・・?」って思うだろう。
そう、ウェールズ語の動詞に「現在形」の変化形は無いのです!
(例外的に、BOD動詞は「現在形」があるのだが)
屈折構文の未来形=現在形?
ウェールズ語の文法書によっては、
屈折構文の未来形を「現在形」として説明するケースもある。
なんで???
と思った兄貴は、「意思未来」の事を思い出して、どうぞ。
屈折構文の未来形だと「意思未来」になるんだったよね?
(「単純未来」ではない!)
「意思未来」を使うと「~するぞ!」という強い意志を表せる。
・・・これって、時制が「現在形」の考え方に近いよね?
英語の復習
英語でも、現在形で近い未来を表す表現があるよね?
「彼女は5時半に家に帰ります」
と言っている時点で、まだ5時半ではない(と想像できる)
つまり「家に帰ります」というのは、未来の事を言っている。
だけど、動詞は現在形でもOK!
と学校で習った兄貴が多いと思う。
「意思未来」である「~するぞ!」というのは
近い未来(のように見える)事を言っている。
文法上では、「屈折構文の未来形」になるけど
時制で考えると「現在」でも「未来」でもどっちでもいいんじゃね?
と、ウェールズ語の文法書では説明しているのだと思う。
屈折構文の未来形=「非過去」?
ウェールズ語はマイナー言語。
ほとんどの日本人は知らない。
書籍やネットでの情報も圧倒的に少ない。
なので、私の独断でウェールズ語文法の案を堂々と主張しても恥ずかしくない。
「屈折構文」の場合は、時制を日本語みたいに
「過去」「非過去」
で考えた方がスッキリするんじゃないだろうか?
(※直説法の場合。接続法は時制が無いのです!)
つまり、darllen(ダルセン)の「非過去」はdarllena(ダルセナ)だ!と見なす。
「darllena」は、文法上では未来形の変化をしている。
だけど、意味上では「非過去」と考える。
・・・以上が、専門家でもない私のウェールズ語文法案。
まぁ、こんなくだらない文法事項を主張するよりも、
ウェールズ語の単語を1つでも覚えた方がいいのだが。
語学の場合、文法に関する主張や質問は禁句と考えた方が良い
だって、文法書に全部書いてあるんだもん
まとめ
3行でまとめると以下。
・動詞の後に「a」をくっつければ、未来形になる(※1,2)
・屈折構文の未来形は「意思未来」を表す
・意味上では「非過去」と考えて良いかもしれない
※1.主語が一人称・単数の場合
※2.厳密に言うと「動詞の語幹」+「人称に応じた語尾」
ウェールズ語講座その32へ続く