ウェールズ語の場合、1つの文に1つの主語を明示する必要がある。
だけど動詞の非人称形を使えば、主語が無い文も作れる。
前回の続き
屈折構文を使った未来の表現
今までは主語が必ず存在した
今まで紹介してきたウェールズ語の例文は「主語」をハッキリと示していた。
一部は主語を省いた例文もあるのだが・・・
動詞の形から主語が分かる。
ウェールズ語って、英語と同様に「主語」にうるさい言語なんですね・・
主語が無い文の作り方
例文
「メイド・イン・チャイナ」のウェールズ語版が以下。
Gwnaed yng Nghymru
グゥナエド アングハムリ
ウェールズ製、ウェールズ産
Gwnaed(グゥナエド)=作られた
これが、本記事のメインである「動詞の非人称形」
元の動詞の形はgwneud(グゥネイド)
「作る」の意味がある。
これを非人称形にしたのがGwnaed(グゥナエド)
正確に言うと「非人称・過去形」の形になる。
※「非人称・非過去形」もあります
yng(アング)=~の中に
元の形はyn(アン)
「~の中に」を意味する前置詞。
詳細は以下を読んで、どうぞ。
Nghymru(ングハムリ)=ウェールズ
あらかじめ言っておくが・・・
「Nghymru」が「ウェールズ」と思ってもらっては困る!
「ウェールズ」は、ウェールズ語で「Cymru(カムリ)」と言う。
この前に前置詞「yn(アン)」が来ている。
すると、その後に来た単語が鼻音化(びおんか)する。
鼻音化は、前にも説明したゾ~
忘れた兄貴は以下を読んで復習して、どうぞ。
「Cymru(カムリ)」の場合、最初に始まっている子音は「C」
それが鼻音化すると
C→Ngh
の音変化が起こる。
よって、
Cymru→Nghymru
のように変わる。
鼻音化につられて「yn」も変わる
先ほど、「Cymru(カムリ)」が鼻音化すると説明した。
その時、「~の中に」を意味する前置詞「yn(アン)」の形も変わる。
yn→yng
まとめると・・・
「yn」+「Cymru」→「yng」+「Nghymru」
のような音変化が起こる。
・・・まぁ、本記事のメインは動詞の非人称形だけどな。
動詞の非人称形って何?
そもそも「非人称」って何だよ!(哲学)
日本で普通に暮らしている人なら、
「非人称」という言葉を見る機会は無いと思う。
学生時代の時に、英語の授業で「非人称」という文法用語を聞いたっけ?
っていう程度かな?
さて、
「非人称」を簡単に言うと「人称が無い文」
要するに「主語がハッキリしない文」
英語で言うなら「It rains(雨が降る)」の例文が有名。
「It(それ)」は、あくまでも仮の主語
主語が何なのかは、誰にも分からない。
こういう文は「非人称」の文法に属する。
・・・ここまでOKですか?
一般人から見るとなんだが難しい事ばかり言っている気がする
外国語を言葉で説明するのって難しい
ウェールズ語における非人称文
もう一度、ウェールズ語の例文を見てみようか。
Gwnaed yng Nghymru
グゥナエド アングハムリ
ウェールズ製、ウェールズ産
Gwnaed(グゥナエド)が「動詞の非人称形」になっている。
(元の形はGwneud)
日本語だと
「(ハッキリ特定できない誰かによって)作られた」
のような意味になる。
英語における非人称文
一方、英語だと・・・
Made in Wales
メイド イン ウェィルズ
この「Made」は「~で作られた」の意味を持つ形容詞。
(動詞の過去形ではない)
もっと詳しく見ると、原形「Make」の過去分詞になっている。
過去分詞を「形容詞的用法」として使うと「~された」の意味になる。
ウェールズ語みたいに「動詞の非人称形」になっていないね・・・
英語には「動詞の非人称形」が無いらしい。
なお、昔の英語は非人称形があった模様。
ウェールズ語と英語を比べてみる
「ウェールズで作られた商品」と表現したい場合、
ウェールズ語→動詞の非人称形
英語→動詞の過去分詞(=形容詞)
要するに、
ウェールズ語は動詞を使うのに対して
英語は形容詞を使って「~製」と表現している。
まぁ、絶対にこの文法を適用せよ!
という訳ではないのだが・・・
「~製」は、言語によっていろいろな表現方法があるんだなー
という風に思ってもらえればOK
他にも形動詞があるのだが・・・
形動詞って何?
先ほど説明した、動詞の過去分詞(=形容詞)みたいなモン。
動詞の形が変化して形容詞の働きをするようになったのが「形動詞」
ロシア語のような言語でたくさん出て来るらしい。
gwneud(グゥネイド)の形動詞は?
「作る」という意味を持つ動詞「gwneud(グゥネイド)」の「形動詞」は
gwneuthuredig(グゥネイスィレディグ)
になるらしい。
なんか長い形だなぁ~
これは、動詞の非人称形と同様に「作られた」の意味を持つ。
形動詞で「~製」と表現できるのか?
結論:ウェールズ人に聞いて、どうぞ(説明放棄)
私としては以下の文の可能もあると思うのだが・・・
(間違った文だと思うが)
Gwneuthuredig yng Nghymru
グゥネイスィレディグ アングハムリ
ウェールズで作られた
だけど、形動詞よりも動詞の非人称形を使った方が自然らしい。
(とgoogle先生は言っている)
Gwnaed yng Nghymru
グゥナエド アングハムリ
ウェールズ製、ウェールズ産
要するに、ネット検索して出てきた単語をそのまま使って作文すると
(ネイティブから見て)とんでもない文になるよ!
って事。
まずは教科書や辞書に書かれている例文を覚えよう(提案)
なお、今回紹介した例文「Gwnaed yng Nghymru」は
「ウェールズ語ー英語辞書」からそのまま抜き出しただけ。
まとめ
3行で
・主語がハッキリしない文を「非人称文」と呼ぶ
・「非人称文」専用の動詞の形がある
・形動詞?知らない子ですね。
ウェールズ語講座その33へ続く