今後はウェールズ語ネイティブ向けの本にある文の一部をピックアップして文法解説してみる。
今回は「星の王子様」にある感嘆文を説明する。
前回の続き
本記事で使うウェールズ語の本
星の王子様
のウェールズ語版が以下。
(原文はフランス語)
全部ウェールズ語で書かれている。
詳細は以下を読んで、どうぞ。
日本語訳
日本語訳は、以下文献から引用した。
星の王子さま (新潮文庫)
フランス語→日本語に翻訳した人は「河野 万里子」氏である。
私はフランス語→ウェールズ語へ翻訳された文の意味を
フランス語→日本語へ訳した本で確認した。
直接フランス語で読んだ方が早いのは内緒
感嘆の表現
なんてきれいなんだ!
赤枠で囲んだところが、本記事でピックアップした例文。
Dyna hardd ych chi!
ダナ ハルズ アヒ!
なんてきれいなんだ!
英語で機械的に訳すると以下のような感じになる。
How beautiful that you are!
原文のフランス語ではどう書かれているのか興味深い。
「星の王子様」のフランス語版も買おうかな・・・?
Dyna(ダナ)=なんと!
Dyna(ダナ)は、本来は「あそこに~がある」の意味。
だけど「感嘆」を表すケースもある。
hardd(ハルズ)=美しい
英語だとbeautifulに相当する形容詞。
Dyna(ダナ)の後に形容詞を置いて感嘆文を作っている。
英語だと
「What a」+形容詞
のような感じかな?
ych(アヒ)=(あなたは)~である
元の形はydych(アディヒ)
「~である」を意味するbod動詞の変化形。
以下のように変化・省略されたと考えて♡
bod(ボード)
→ydych(アディヒ)
→ych(アヒ)
ちなみにbod動詞については以下で復習して、どうぞ。
chi(ヒ)=あなた
chi(ヒ)は、本来は「あなた達」の意味。
難しく言うと「人称代名詞の二人称・複数形」
しかーし!
ヨーロッパ言語では「あなた達」を意味する単語を一人の相手に対して使うと・・・
「あなた様」のような丁寧な意味になる事が多い。
ウェールズ語の場合も上記の法則に従う。
今回紹介した例文「なんてきれいなんだ!」と言った相手は「1つの花」
一人(?)の相手に対して言っているので、chi(ヒ)は「あなた様」の意味になる。
感嘆を使った他の例文
例文のソース
私が愛用しているウェールズ語ー英語辞書を使った。
「Dyna(ダナ)」で調べた結果
赤枠で囲んだところを読んで、どうぞ。
(英語だけど)
左側を見ると、dyna(ダナ)の短縮形は
‘na(ナ)
であることが分かる。
右側を見ると、‘How…!(なんて~だ!)’に関する説明がある。
その下の例文は、感嘆を使った表現だな~、と想像できる。
3つの感嘆文
辞書にある例文を以下に挙げる。
‘na neis!
ナ ネイス!
なんて素敵なんだ!
‘na bert!
ナ ベルト!
なんて可愛いんだ!
‘na ryfedd!
ナ ラヴェズ!
なんて変なんだ!
文頭に、いきなり「‘(アポストロフィ)」が付いているがウェールズ語ではよくある事。
例文の解説
全ての例文は「’na(ナ)」、
すなわち「dyna(ダナ)」で始まっている。
「’na(ナ)」の後に来ている単語は、どれも形容詞。
もっと細かく言うと・・・
「’na(ナ)」の後に来た単語は「軟音化」する。
軟音化が起こっている単語
ウェールズ語学習者なら、どこで軟音化が起こっているのか一発で分かる。
‘na bert!
ナ ベルト!
なんて可愛いんだ!
軟音化パターン:p→b
pert(ペルト)→bert(ベルト)
‘na ryfedd!
ナ ラヴェズ!
なんて変なんだ!
軟音化パターン:rh→r
rhyfedd(フラヴェズ)→ryfedd(ラヴェズ)
なお、私が使っている辞書の場合・・・
単語の前に小さな「〇」が付いていたら、「軟音化」した後の単語だと分かる。
つまり、単語の意味を調べる時は「軟音化」する前のスペルで辞書を引く必要がある。
まとめ
3行で
・「Dyna(ダナ)+形容詞」で感嘆文になる
・Dyna(ダナ)の後に来た単語は軟音化する
・hardd(ハルズ)は子音が「h」で始まっているので軟音化しない
もっと細かく文法を見ると・・・
本記事では、簡単に説明する為に「感嘆文」だけ取り上げた。
実は、他にも紹介すべき文法事項があるのだが・・・
これを説明するには余白が狭すぎる。
今の私のウェールズ語力では、文法をうまく説明できないだけなのだが
Dyna hardd ych chi!
ダナ ハルズ アヒ!
なんてきれいなんだ!
上記の英語(機械的)が以下。
How beautiful that you are!
3つ目の単語「that(~と言う事)」が、ウェールズ語では省略されているのだと思う。
(もしかしたら省略ではなく、単なる語順ルールなのかもしれない)
まぁ、こまけぇこたぁいいんだよ!!
ウェールズ語講座~続き~
3年半ぶりに書いた。