ウェールズ語の特徴として、音変化がある。
本記事では、女性名詞の前に冠詞が付いた時の音変化について紹介する。
前回の続き
軟音化(なんおんか)って何?
参考記事
パート19でも、軟音化(なんおんか)について説明した。
ウェールズ語における「軟音化」
「軟音化」のパターンをもう一度紹介する。
p→b
t→d
c→g
b→f
d→dd
g→なし
m→f
rh→r
ll→l
女性名詞が「軟音化」するパターン
冠詞が付いた場合の音変化一覧
表にまとめると以下になる。
なお、こういう音変化の特徴はウェールズ語だけでなく、
他の言語でも見られる。
例えばアイルランド語でも「軟音化」があるヨ
注意点1
女性名詞の前に冠詞が付く場合、以下の「軟音化」は起こらない。
rh→r
ll→l
つまり、女性名詞の最初の子音が
「Rh…」「Ll…(Lが2つ)」
で始まる場合は「軟音化」しない!
(男性名詞と同じ扱いになる)
注意点2
上記は、女性名詞が「単数形」の場合の話。
女性名詞が「複数形」になると、冠詞が付いても「軟音化」は起こらない。
(男性名詞と同じ扱いになる)
「軟音化」を使った例文
冠詞+女性名詞のパターン
女性名詞の前に冠詞が付いて
「軟音化」が起こっている例文を紹介する
Mae‘r ferch yn dysgu Cymraeg yn y dre
マエル ヴェルフ アン ダスギ カムラエグ ア ナ ドレ
その女の子は、その町でウェールズ語を学んでいる
注目すべきキーワード
いきなり、知らない外国語の文全体の意味をつかむのは難しい。
語学書では、いきなり長い例文を出して来るから困るんだよなぁ
なので「軟音化」が起こっている部分だけピックアップして説明する。
注目するのは、以下2つ!
「‘r ferch(ル ヴェルフ)」=その女の子
「y dre(ア ドレ)」=その町
「’r ferch」=「その女の子」
「’r(ル)」は「定」を表す冠詞
冠詞の前に「Mae(マエ)」という単語が来ている。
その単語は、母音「e」で終わっている。
次に来る冠詞を発音しやすくする為には、子音で始める必要がある。
だから「’r(ル)」の形を使う。
ところで、「女の子」はウェールズ語で「merch(メルフ)」と書く。
名詞のグループとしては「女性名詞」に属する。
その女性名詞「merch(メルフ)」の前に、冠詞「’r」が付いている。
なので、以下のように「軟音化」が起こる。
merch(メルフ)→‘r ferch(ル ヴェルフ)
「y dre」=「その町」
「町」をウェールズ語で書くと「tre(トレ)」になる
名詞のグループとしては「女性名詞」に属する。
その女性名詞「tre(トレ)」の前に、冠詞「y」が付いているので
以下のように「軟音化」が起こる。
tre(トレ)→y dre(ア ドレ)
まとめ
3行でまとめると以下
・「女性名詞」の前に冠詞が付くと「軟音化」する
・ただし、最初の子音が「Rh」「Ll」で始まる場合は「軟音化」しない
・女性名詞が「複数形」になると「軟音化」しなくなる
ウェールズ語講座その25へ続く