ウェールズ語の「yn(アン)」は複雑。
用法を整理してみた。
目次
前回の続き
全部同じ「yn(アン)」じゃないですか!
まず、こち亀のコラ画像を見て、どうぞ
中川「全部同じ yn(アン) じゃないですか」
いろいろな「yn(アン)」を使った例文
yn+動詞
「i‘n」の「‘n」の部分に注目!
Rydw i‘n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は走ります
Rydw(ラドゥ)=~です
i’n(イン)=i+yn
i(イ)=私
rhedeg(フレデグ)=走る(動詞)
「’n」は、「yn」の省略形。
「’n」の後に動詞を続けると、
「動作の状態」を表せる。
つまり、「yn+動詞」で
「私は~しているところだ」を表現できる。
それに対して、「私は~するぞ!」
と表現する場合は、別の構文を使う。
それは、また後で紹介しますね。
叙述のyn(形容詞の場合)
これも「i’n」の「’n」の部分に注目!
Rydw i‘n flinedig
ラドゥ イン ヴリネディグ
私は疲れています
flinedig(ヴリネディグ)=疲れた(形容詞)
「’n」は、「yn」の省略形。
一見、「yn+動詞」と全く同じに見えるけど、
全然違うよ!
「’n」の後に形容詞を続けると、
「私は~です」を表せる。
それを表現するときに使う「yn」を
「叙述のyn」と呼ぶ。
叙述のyn(名詞の場合)
先ほど、「叙述のyn」を形容詞を使った例文で紹介した。
名詞の時も「叙述のyn」を使うよ。
Rydw i‘n athro
ラドゥ イン アスロ
私は先生です。
athro(アスロ)=先生(名詞)
「’n」は、「yn」の省略形。
「’n」の後に名詞を続けても、形容詞と同様に
「私は~です」を表せる。
「叙述のyn」が使われていますね!
副詞を作るyn
今度は、最後の方の「yn」に注目!
Rydw i’n rhedeg yn gyflym
ラドゥ イン フレデグ アン ガヴリム
私は速く走ります。
gyflym(ガヴリム)=速い(形容詞)
最初の方の「’n(=yn)」は先ほど説明した「yn+動詞」
それに対して、最後の方の「yn」は「副詞を作るyn」
「yn」の後に来た形容詞を副詞へ変える働きを持つ。
元は「gyflym(ガヴリム)」
「速い」という意味を持つ「形容詞」
※厳密には「cyflym(カヴリム)」なのだが、今回は簡略化のため無視する
「yn gyflym」だと
「速く」という意味を持つ「副詞」へと変わる。
動詞「rhedeg(走る)」を修飾している。
前置詞のyn
「yn」に注目!
Rydw i yn Japan
ラドゥ イ アン ジャパン
私は日本にいます
Japan(ジャパン)=日本
この例文で使っている「yn」は、英語の「in(=の中に)」と同じ
この時の「yn」は前置詞の働きを持つ。
「yn」の後に場所を表す単語を置くことで、
「私は~の中に居る」と表現できる。
実は、この「前置詞yn」が厄介・・・
こち亀のコラ画像で示したように「ym」の形になる事もある。
それも、この後で紹介しますね!
例文のまとめ
★yn+動詞
Rydw i‘n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は走ります
★叙述のyn(形容詞の場合)
Rydw i‘n flinedig
ラドゥ イン ヴリネディグ
私は疲れています
★叙述のyn(名詞の場合)
Rydw i‘n athro
ラドゥ イン アスロ
私は先生です。
★副詞を作るyn
Rydw i’n rhedeg yn gyflym
ラドゥ イン フレデグ アン ガヴリム
私は速く走ります。
★前置詞のyn
Rydw i yn Japan
ラドゥ イ アン ジャパン
私は日本にいます
ワシのウェールズ語文法は108式まであるぞ
以下は、まだ説明していないウェールズ語文法。
なので、さら~っと読み飛ばして、どうぞ。
(ずっと後で説明する予定)
「叙述のyn」だと軟音化する
要するに、
・叙述のyn+形容詞
・叙述のyn+名詞
・副詞を作るyn+形容詞
のどれかの場合、
後に来た単語の一番最初の文字が
c→g
へ変わる。
今回は
cyflym→gyflym
へ変化している。
「前置詞のyn」は鼻音化して「ym」になる事がある
「前置詞のyn」を使った時の単語の変化ルールはかなり複雑。
そのルールの1つとして・・・
「前置詞のyn」の後に来た単語の最初の文字が
p,b,m
のどれかの場合、
「前置詞のyn」は「ym」へと形を変える。
例えば・・・
ウェールズにはBangor(バンゴル)という町がある。
「バンゴルに」と表現する場合、
「前置詞のyn」+「Bangor」
→「yn Bangor」
だけでは不十分。
「Bangor」は「b」で始まる単語なので
「ym Bangor」
になる。
更に言うと・・・
「Bangor」に鼻音化(びおんか)が起こって
「ym Mangor(アン マンゴル)」
になる。
中川「なるほど、まったくわからん」
勉強は楽しいぞ!
上記の知識があればこち亀のコラ画像の内容を理解できる。
語学に限らないのだが・・・
今まで知らなかった「未知の世界」を理解できるのって楽しいね!
ウェールズ語講座その11へ続く