ウェールズ語講座その10~ynの用法まとめ

ウェールズ語の「yn(アン)」は複雑。

用法を整理してみた。




前回の続き

ウェールズ語講座その9~ynを使った副詞の作り方

全部同じ「yn(アン)」じゃないですか!

まず、こち亀のコラ画像を見て、どうぞ

中川「全部同じ yn(アン) じゃないですか」

いろいろな「yn(アン)」を使った例文

yn+動詞

「i‘n‘nの部分に注目!


Rydw i‘n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は走ります


Rydw(ラドゥ)=~です
i’n(イン)=i+yn
i(イ)=私
rhedeg(フレデグ)=走る(動詞)

 

「’n」は、「yn」の省略形。

「’n」の後に動詞を続けると、
「動作の状態」を表せる。

つまり、「yn+動詞」
「私は~しているところだ」を表現できる。

 

それに対して、「私は~するぞ!」
と表現する場合は、別の構文を使う。

それは、また後で紹介しますね。

叙述のyn(形容詞の場合)

これも「i’n」「’n」の部分に注目!


Rydw i‘n flinedig
ラドゥ イン ヴリネディグ
私は疲れています


flinedig(ヴリネディグ)=疲れた(形容詞)

 

「’n」は、「yn」の省略形。

一見、「yn+動詞」と全く同じに見えるけど、
全然違うよ!

「’n」の後に形容詞を続けると、
「私は~です」を表せる。

それを表現するときに使う「yn」を
「叙述のyn」と呼ぶ。

叙述のyn(名詞の場合)

先ほど、「叙述のyn」を形容詞を使った例文で紹介した。

名詞の時も「叙述のyn」を使うよ。


Rydw i‘n athro
ラドゥ イン アスロ
私は先生です。


athro(アスロ)=先生(名詞)

 

「’n」は、「yn」の省略形。

「’n」の後に名詞を続けても、形容詞と同様に
「私は~です」を表せる。

「叙述のyn」が使われていますね!

副詞を作るyn

今度は、最後の方の「yn」に注目!


Rydw i’n rhedeg yn gyflym
ラドゥ イン フレデグ アン ガヴリム
私は速く走ります。


gyflym(ガヴリム)=速い(形容詞)

 

最初の方の「’n(=yn)」は先ほど説明した「yn+動詞」

 

それに対して、最後の方の「yn」は「副詞を作るyn」

「yn」の後に来た形容詞を副詞へ変える働きを持つ。

 

元は「gyflym(ガヴリム)」
「速い」という意味を持つ「形容詞」

※厳密には「cyflym(カヴリム)」なのだが、今回は簡略化のため無視する

 

「yn gyflym」だと
「速く」という意味を持つ「副詞」へと変わる。

動詞rhedeg(走る)」を修飾している。

前置詞のyn

「yn」に注目!


Rydw i yn Japan
ラドゥ イ アン ジャパン
私は日本にいます


Japan(ジャパン)=日本

 

この例文で使っている「yn」は、英語の「in(=の中に)」と同じ
この時の「yn」は前置詞の働きを持つ。

 

「yn」の後に場所を表す単語を置くことで、
「私は~の中に居る」と表現できる。

 

実は、この「前置詞yn」が厄介・・・

こち亀のコラ画像で示したように「ym」の形になる事もある。
それも、この後で紹介しますね!




例文のまとめ


★yn+動詞
Rydw i‘n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は走ります


 


★叙述のyn(形容詞の場合)
Rydw i‘n flinedig
ラドゥ イン ヴリネディグ
私は疲れています


 


★叙述のyn(名詞の場合)
Rydw i‘n athro
ラドゥ イン アスロ
私は先生です。


 


★副詞を作るyn
Rydw i’n rhedeg yn gyflym
ラドゥ イン フレデグ アン ガヴリム
私は速く走ります。


 


★前置詞のyn
Rydw i yn Japan
ラドゥ イ アン ジャパン
私は日本にいます


 

ワシのウェールズ語文法は108式まであるぞ

以下は、まだ説明していないウェールズ語文法。

なので、さら~っと読み飛ばして、どうぞ。
(ずっと後で説明する予定)

「叙述のyn」だと軟音化する

要するに、


・叙述のyn+形容詞
・叙述のyn+名詞
・副詞を作るyn+形容詞


のどれかの場合、

後に来た単語の一番最初の文字

c→g

へ変わる。

 

今回は

cyflym→gyflym

へ変化している。

「前置詞のyn」は鼻音化して「ym」になる事がある

「前置詞のyn」を使った時の単語の変化ルールはかなり複雑。

 

そのルールの1つとして・・・
「前置詞のyn」の後に来た単語の最初の文字


p,b,m


のどれかの場合、

「前置詞のyn」は「ymへと形を変える。

 

例えば・・・
ウェールズにはBangor(バンゴル)という町がある。

 

「バンゴルに」と表現する場合、

「前置詞のyn」+「Bangor」
→「yn Bangor」

だけでは不十分。

 

「Bangor」「b」で始まる単語なので
「ym Bangor」

になる。

 

更に言うと・・・

Bangor」鼻音化(びおんか)が起こって
「ym Mangor(アン マンゴル)」

になる。

 

中川「なるほど、まったくわからん」

勉強は楽しいぞ!

上記の知識があればこち亀のコラ画像の内容を理解できる。

語学に限らないのだが・・・
今まで知らなかった「未知の世界」を理解できるのって楽しいね!

ウェールズ語講座その11へ続く

ウェールズ語講座その11~過去(状態)の表現