ウェールズ語講座その11~過去(状態)の表現

今までは、時制が現在形の例文を紹介してきた。

では、過去形にするとどうなるのか?




前回の続き

ウェールズ語講座その10~ynの用法まとめ

まずは現在形の例文から復習

例文

現在形の例文を以下に示す。


Rydw i’n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は走ります


 

Rydw(ラドゥ)=~です

i’n(イン)=i+yn
i(イ)=私
yn(アン)=後ろの動詞をつなげる

rhedeg(フレデグ)=走る(動詞)

 

動詞「Rydw(ラドゥ)」に注目!

Rydw(ラドゥ)「~です」を意味する動詞

その元の形が「Bod(ボード)」

 

「Bod」時制人称に合わせて形を変えた結果が「Rydw」


時制→「現在形」
人称→「私」


「BOD構文」の定義

「~です」を意味する「Bod」動詞を使った構文を

「BOD構文」

と呼ぶ。

 

ウェールズ語文法上では、最重要の用語なので、
是非とも覚えて♡

注意点

最後の「rhedeg(フレデグ)」「走る」を意味する動詞なのだが・・・

 

動詞「Rydw(ラドゥ)」を使う構文、
つまり「BOD構文」の場合は

「rhedeg」の形は一切変化しない!

 

つまり、過去形にしても「rhedeg」のままになる。




「BOD構文」を過去で表すと?

「状態を表す過去」になる

「BOD構文」の時制を「過去形」にした場合、
「状態を表す過去」を表現できる。

 

無理やり日本語で書くと「私は~していた状態だった」

英語だと、「過去進行形」みたいな感じ。

「過去の出来事」ではない!

もう一つの「過去形」として「単純過去」という文法用語がある。
語学マニアなら「単純過去」という用語を聞いたことがあるかもしれない。

「単純過去」=「過去の出来事」

 

日本語で書くと「私は~したぞ!」

 

これをウェールズ語で表す場合、
「BOD構文」は使えない事に注意!

別の構文を使う必要がある。
これは、また後で説明する。

「状態を表す過去」の例文

繰り返しになるが、「状態を表す過去」を表現する場合、
「BOD構文」を使う。


Roeddwn i’n rhedeg
ロエズゥ ニン フレデグ
私は走っているところでした


 

「Rydw(ラドゥ)」の部分の時制が「現在形」→「過去形」に変わっただけ。

Rydw → Roeddwn(ロエズゥン)
現在形 → 過去形


時制→「過去形」
人称→「私」


 

「Rydw(ラドゥ)」の部分の時制をちょこっといじるだけで
「状態を表す過去」になる。

もっと短く言う方法

Roeddwn(ロエズゥン)の短縮形

なんか「Roeddwn(ロエズゥン)」の単語って長くね?

 

英語だと「I was」「was」
たったの3文字で済んでいる。

それに比べて、ウェールズ語の「Roeddwn」は7文字もある・・・

 

「Roeddwn」は頻繁に出てくるので、
当然、短縮形もある。

それが

Ro’n(ロン)

 

「Roeddwn」の3文字目~6文字目「~eddw~」の部分が省略されている。
省略した箇所を「’」で示している。

短縮形を使った例文

「Roeddwn(ロエズゥン)」→「Ro’n(ロン)」
にした時の例文を以下に示す。


Ro’n i’n rhedeg
ロ ニン フレデグ
私は走っているところでした


更に省略することも可能

「Ro’n(ロン)」は厳密には

「R」+「o’n」

に分解できる。

「R」=肯定文である事を示す
「o’n」「oeddwn」の短縮形

 

「この文は肯定文ですよ~」といちいち明示しなくても分かる場合、
肯定を示す「R」が省略されることもある。

つまり


Roeddwn(ロエズゥン)
→Ro’n(ロン)
→O’n(オン)


まで略することができる。

更に略した例文


O’n i’n rhedeg
オ ニン フレデグ
私は走っているところでした


英語だと「was」だけなのに、
ウェールズ語だと色々な書き方があるんですねぇ~

 

だから、

ウェールズ語は表現豊かな言語だ!

とアピールしたい訳ではない。

 

英語も、英語なりに「was」以外の単語や語順で
微妙なニュアンスを表現しているんじゃないかな?
(適当)

まとめ

箇条書きすると?


・「~です」を意味する動詞を使った構文を「Bod構文」と呼ぶ

・「Bod構文」の時制が過去になると「状態を表す過去」になる

・「過去の出来事」=「単純過去」を表す場合、「Bod構文」とは別の構文を使う

・「Rydw(ラドゥ)」の時制を過去にすると「Roeddwn(ロエズゥン)」

・「Roeddwn(ロエズゥン)」の短縮形は以下の2つがある

Ro’n(ロン)
O’n(オン)

・先頭の「R」は,肯定文である事を示す


 

いやー、覚えることが多すぎてキツイっすね~

 

とりあえず「Rydw(ラドゥ)」の過去形は「Roeddwn(ロエズゥン)」になる!
だけ覚えとけばいいんじゃないかな?
(適当)

過去形の次は未来形でしょ?

学校で英語を習った人なら、

「過去形の次は未来形やろ?」

と予想する兄貴が多いかもしれない。

 

ウェールズ語にも、時制として「未来形」が用意されている。

・・・のだが、その「未来形」の表し方がちょっと厄介。

「未来形」については、次の記事で紹介しますね。

ウェールズ語講座その12へ続く

ウェールズ語講座その12~未来(予定)の表現