英語で言うbe動詞を使わないで
過去の文を作る方法を紹介する。
そもそも「屈折構文」って何?
前回の記事を読んで、どうぞ。
とりあえず屈折構文を作ってみる
darllen=読む
今回、使う動詞は「darllen(ダルセン)」
「読む」の意味がある。
一番簡単な文を作ってみる
「私は読んだ」を屈折構文で書くと以下になる
Darllenes i
ダルセネスィ
私は読んだぞ!
屈折構文の語順
Darllenes(ダルセネス)=(私は)読んだぞ!
i(イ)=私
単語で並べると以下になる。
「読んだぞ!」+「私」
語順は「動詞+主語」になる。
英語とは逆になっているね。
(英語だと主語+動詞)
動詞の変化
「読んだぞ!」の部分を見てみようか。
その動詞の形は
darllen(ダルセン)→darllenes(ダルセネス)
に変わっている。
よ~く観察すると、元の動詞に「-es(エス)」がくっついているだけ。
動詞に「-es」を付けるだけで「私は~した」という過去の動作を表せる。
ちなみにBOD構文で書くと?
本記事の話題とは少し外れるが・・
「屈折構文」のペアとして「BOD構文」もある。
今まで習った「BOD構文」を使って
「私は読んだ」と書くと以下になる。
Roeddwn i’n darllen
ロェズゥニン ダルセン
私は読んでいました
「BOD構文」の場合、動詞darllen(ダルセン)の形は一切変わらない。
その代わりにBOD動詞の方の形が変わる。
BOD(ボード)→Roeddwn(ロェズゥン)
BOD動詞の方は、単純に「-es」を付けて
「*Bodes」にして「私は~した」と表すことはできない。
※「*」は誤用の意味
なぜかというと、BOD動詞は不規則動詞だから。
こんな風に、どんな動詞でも単純に「-es」を付ければOK・・・
という訳にはいかないので注意!
目的語を付けてみる
「本」という目的語を追加すると?
「私は読んだ」だけだと面白くない。
なので、少しだけ複雑にしてみる。
今回は目的語「本」を追加しようか。
Darllenes i‘r llyfr
ダルセネスィル シヴル
私はその本を読んだぞ!
先ほどの例文の最後に「’r llyfr(ル シヴル)」を追加しただけ。
i’r(イル)=i(イ) + yr(アル)
i(イ)は「私」を表す。
文の主語になっている。
yr(アル)は定冠詞
後ろに続く単語が世界に一つしかない事を表すマークだと思ってくれ。
llyfr(シヴル)=本
文の一番最後にあるllyfr(シヴル)は「本」を意味する名詞。
この文の目的語に相当する。
屈折構文の場合、目的語は一番最後に置く。
(これはBOD構文でも同じ)
語順としては「動詞+主語+目的語」になりますね。
英語風に説明すると「VSO型」になる。
※英語だと「SVO型」です。念のため
例文の復習
もう一度同じ例文を示す。
Darllenes i’r llyfr
ダルセネスィル シヴル
私はその本を読んだぞ!
単語だけで並べると
「読んだぞ」「私」「その」「本」
みたいな感じになる。
BOD構文と比べるとシンプルに理解できると思う。
BOD構文だと「私は読む事の中にいた」
みたいな感じになって理解しずらいんだよなぁ・・・
なんで屈折構文とBOD構文を使い分けるの?
結論
3行でまとめると以下
・ウェールズ語の過去には「点過去」と「線過去」がある
・屈折構文の過去形=「点過去」
・BOD構文の過去形=「線過去」
※BOD構文でも「点過去」を表すことが可能だが、ほとんど使わないらしい
「点過去」と「線過去」って何?
ウェールズ語の過去形には2種類がある。
違いを簡単に言うと以下になる
・点過去=「~したぞ!」
・線過去=「~しているところだった。」
「点過去」は、過去の「ある時点」で行われた動作を指す。
それに対して「線過去」は、過去の「ある期間」に行われた動作を指す。
理科とか物理の授業で、先生から
「時刻」と「時間」の違いについてうるさく言われたと思う。
その言葉を使って説明すると以下になる
・点過去=過去の「時刻」で動作を見ている
・線過去=過去の「時間」で動作を見ている
なんか難しそうな内容なのだが・・・
これは他のヨーロッパ言語でも当たり前のように見られる現象。
フランス語の場合は、過去形だけでも4つあるんだよ・・・(汗
「~したぞ!」を表す時は屈折構文を使う
「私は読んだぞ!」のような過去の表現をする場合、屈折構文を使う。
一方BOD構文で、文頭を「Roeddwn(ロエズゥン)」にすると
「私は読んでいるところだった」の意味になってしまう。
※RoeddwnではなくBues(ビエス)にすると屈折構文と同じような表現が可能
なお、使用頻度はかなり低い模様。
まぁ、こんな風に「点過去」「線過去」という微妙な意味を使い分ける必要がある。
それがウェールズ語なんです!
他のヨーロッパ言語でも同じなのだが
まとめ
3行でまとめると以下
・屈折構文の語順はVSO型になる
・動詞に「-es」を付けると「私は~した」
・屈折構文の過去形は、厳密には「~したぞ!」の意味になる
ウェールズ語講座その30へ続く