ウェールズ語講座その29~屈折構文を用いた過去の表現

英語で言うbe動詞を使わないで
過去の文を作る方法を紹介する。




そもそも「屈折構文」って何?

前回の記事を読んで、どうぞ。

ウェールズ語講座その28~動詞はコロコロ変わる

とりあえず屈折構文を作ってみる

darllen=読む

今回、使う動詞は「darllen(ダルセン)」
「読む」の意味がある。

一番簡単な文を作ってみる

「私は読んだ」屈折構文で書くと以下になる


Darllenes i
ダルセネスィ
私は読んだぞ!


屈折構文の語順

Darllenes(ダルセネス)=(私は)読んだぞ!

i(イ)=私

 

単語で並べると以下になる。

「読んだぞ!」+「私」

 

語順は「動詞+主語」になる。

英語とは逆になっているね。
(英語だと主語+動詞)

動詞の変化

「読んだぞ!」の部分を見てみようか。

その動詞の形は

darllen(ダルセン)→darllenes(ダルセネス)

に変わっている。

 

よ~く観察すると、元の動詞に「-es(エス)」がくっついているだけ。
動詞に「-es」を付けるだけで「私は~した」という過去の動作を表せる。

ちなみにBOD構文で書くと?

本記事の話題とは少し外れるが・・
「屈折構文」のペアとして「BOD構文」もある。

ウェールズ語講座その11~過去(状態)の表現

今まで習った「BOD構文」を使って
「私は読んだ」と書くと以下になる。


Roeddwn i’n darllen
ロェズゥニン ダルセン
私は読んでいました


「BOD構文」の場合、動詞darllen(ダルセン)の形は一切変わらない。
その代わりにBOD動詞の方の形が変わる。

BOD(ボード)→Roeddwn(ロェズゥン)

 

BOD動詞の方は、単純に「-es」を付けて
Bodes」にして「私は~した」と表すことはできない。
※「」は誤用の意味

なぜかというと、BOD動詞は不規則動詞だから。

 

こんな風に、どんな動詞でも単純に「-es」を付ければOK・・・
という訳にはいかないので注意!




目的語を付けてみる

「本」という目的語を追加すると?

「私は読んだ」だけだと面白くない。
なので、少しだけ複雑にしてみる。

今回は目的語「本」を追加しようか。


Darllenes i‘r llyfr
ダルセネスィル シヴル
私はその本を読んだぞ!


先ほどの例文の最後に「’r llyfr(ル シヴル)」を追加しただけ。

i’r(イル)=i(イ) + yr(アル)

i(イ)「私」を表す。
文の主語になっている。

yr(アル)定冠詞
後ろに続く単語が世界に一つしかない事を表すマークだと思ってくれ。

ウェールズ語講座その22~冠詞の使い方

llyfr(シヴル)=本

文の一番最後にあるllyfr(シヴル)「本」を意味する名詞。
この文の目的語に相当する。

 

屈折構文の場合、目的語は一番最後に置く。
(これはBOD構文でも同じ)

語順としては「動詞+主語+目的語」になりますね。

英語風に説明すると「VSO型」になる。

※英語だと「SVO型」です。念のため

例文の復習

もう一度同じ例文を示す。


Darllenes i’r llyfr
ダルセネスィル シヴル
私はその本を読んだぞ!


単語だけで並べると
「読んだぞ」「私」「その」「本」

みたいな感じになる。

 

BOD構文と比べるとシンプルに理解できると思う。

BOD構文だと「私は読む事の中にいた」
みたいな感じになって理解しずらいんだよなぁ・・・

なんで屈折構文とBOD構文を使い分けるの?

結論

3行でまとめると以下


・ウェールズ語の過去には「点過去」「線過去」がある

屈折構文の過去形=「点過去」

BOD構文の過去形=「線過去」


※BOD構文でも「点過去」を表すことが可能だが、ほとんど使わないらしい

「点過去」と「線過去」って何?

ウェールズ語の過去形には2種類がある。
違いを簡単に言うと以下になる


・点過去=「~したぞ!」

・線過去=「~しているところだった。」


「点過去」は、過去の「ある時点」で行われた動作を指す。
それに対して「線過去」は、過去の「ある期間」に行われた動作を指す。

 

理科とか物理の授業で、先生から
「時刻」「時間」の違いについてうるさく言われたと思う。
その言葉を使って説明すると以下になる


・点過去=過去の「時刻」で動作を見ている

・線過去=過去の「時間」で動作を見ている


 

なんか難しそうな内容なのだが・・・
これは他のヨーロッパ言語でも当たり前のように見られる現象。

フランス語の場合は、過去形だけでも4つあるんだよ・・・(汗

「~したぞ!」を表す時は屈折構文を使う

「私は読んだぞ!」のような過去の表現をする場合、屈折構文を使う。

 

一方BOD構文で、文頭を「Roeddwn(ロエズゥン)」にすると
「私は読んでいるところだった」の意味になってしまう。

※RoeddwnではなくBues(ビエス)にすると屈折構文と同じような表現が可能
なお、使用頻度はかなり低い模様。

 

まぁ、こんな風に「点過去」「線過去」という微妙な意味を使い分ける必要がある。
それがウェールズ語なんです!

他のヨーロッパ言語でも同じなのだが

まとめ

3行でまとめると以下


・屈折構文の語順はVSO型になる

・動詞に「-es」を付けると「私は~した」

・屈折構文の過去形は、厳密には「~したぞ!」の意味になる


ウェールズ語講座その30へ続く

ウェールズ語講座その30~動作の完了を表す方法