ウェールズ語講座その28~動詞はコロコロ変わる

ウェールズ語の動詞は、他のヨーロッパ言語並みに形を変える。

そんな動詞の姿をざっとお見せしよう。




前回の続き

ウェールズ語講座その27~h音化

BOD構文の復習

BOD構文って何?

まず「BOD(ボード)」の復習

 

BODは,英語でいえばbe動詞「~である」に相当する。

んで、その「BOD」と一緒に「動詞」を使うことで
「私は走る」みたいな文を作れる。

こういう文を「BOD構文」と言う。

 

なお、「BOD構文」の別の言い方として以下もあるらしい。


・迂言(うげん)的構造
・コピュラ文


BOD構文を使った例文

「私は走る」の場合,以下になる。


Rydw i’n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は 走る事の 中に いる


ウェールズ語講座その13~現在形の色々な表現方法

この例文では「Rydw(ラドゥ)」「BOD」に相当する。

この文の主語は「私」なので、それに合わせて
元の形「BOD」を「Rydw(ラドゥ)」へ変えているだけ。

 

元の形と全然違うじゃん!

・・・と思うじゃん。

実はBODも動詞です!

「BOD」は、英語で言うbe動詞「~である」に相当する。

 

ところで英語の「be」って、主語が「私」だと「am」に変わるんだよね?
I am studentの「am」がそれ。

「am」って、be動詞の変化形なんだよね。

 

その言い方をウェールズ語に置き換えると

「Rydw(ラドゥ)」「BOD」動詞の変化形である。

 

ね?
動詞はコロコロ変わるでしょ?




BOD動詞以外の動詞は変わらないの?

BOD構文で用いる動詞は変わらない

正確に言うと、
BOD構文におけるBOD動詞「以外」の動詞は形を変えない。

もう一度「私は走る」の例文を以下に示す。


Rydw i’n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は 走る事の 中に いる


最後の「rhedeg(フレデグ)」「走る」の意味を持つ動詞

「rhedeg」の形を一切変えずに文で使うことができる。

 

え?「動詞」なのに形が変わらないっておかしいじゃん!

・・・と思うじゃん。

rhedegも変わるよ

まず、結論から。

上記の表は「動詞rhedegの変化形」+「人称代名詞」で挙げている。

他の言語だと、「動詞の変化形」だけで十分なのだが・・・
動詞の後に「人称代名詞」を付けて表にするのがウェールズ語の語学書らしい。

なお、上記の表だけ覚えておけばウェールズ語入門書は十分に学べる。

他にもrhedegの形がある

先ほど表で紹介したのは、ほんの一部。

実際には他にもいろいろな動詞の変化形が考えられる。
rhedeg(走る)の場合で、ざ~っと洗い出すと以下になる。


・文語形
・大過去
・動名詞
・形動詞
・方言による差


rhedeg wiktionary

ね?動詞はコロコロ変わるでしょ?

でもヨーロッパ言語の中ではこれが普通なんだから恐ろしい

どういう時にrhedegの形が変わるの?

BOD構文で無い場合

「~である」の意味を持つ「BOD」動詞を「使わない」文もある。

「BOD」なしで動詞「rhedeg」を使った場合、
「rhedeg」形を変える必要がある。

 

BOD構文だと、BOD動詞の形が色々と変わっていた。
そのBODが消えたら、今度はrhedegの方が変わる、と考えればいい。

屈折構文

屈折構文(くっせつこうぶん)っていうのは、簡単に言っちゃえば

BOD動詞を使わない構文

の認識でOK!

 

まぁ、実際には屈折構文でもBOD動詞を使う構文があるのだが・・・
こまけぇこたぁいいんだよ!!

 

なお、「屈折構文」という文法用語は
語学書によっては「屈折的構造」の言い方もあるらしい。

屈折構文を用いた例文

ここでは軽~く紹介する。

文法とか、こまけぇこたぁいいんだよ!!

私は走ったぞ!


Rhedes i
フレデスィ
私は走ったぞ!


「Rhedes」は「rhedeg(走る)」の過去形

厳密に言うと直説法・点過去・一人称・単数

「i」は「私」を意味する人称代名詞。
この文の主語になる。

私、これから走りますわ


Rheda i
フレダ イ
私、これから走りますわ


「Rheda」は「rhedeg(走る)」の未来形

厳密に言うと直説法・未来形・一人称・単数

あの、私、走るんですが・・・


Rhedwn i
フレドゥニ
あの、私、走るんですが・・・


「Rhedwn」は「rhedeg(走る)」の仮定形
「仮に私が走るとしたら~」っぽい意味になる。

厳密に言うと接続法・一人称・単数

走れ!


Rheda
フレダ
走れ!


「Rheda」は「rhedeg(走る)」の命令形

厳密に言うと命令形・二人称・単数

まとめ

動詞を使った文は2つある

ウェールズ語の文を読む場合、以下2つのどちらになるのか?
を意識する必要がある。


・BOD構文
・屈折構文


※文法書やサイトによっては、別の言い方もするので注意!

屈折構文だとrhedeg動詞の形が変わる!

「走る」の意味を持つ動詞「rhedeg(フレデグ)」の形が変わるのは「屈折構文」の方。

なお、「BOD構文」だとrhedegの形は一切変わらない。

 

「BOD構文」も「屈折構文」もどちらも良く出てくるから
結局は動詞の変化表を覚えないといけない・・・

なぜ屈折構文があるの?

あぁ~
ウェールズ語は全部「BOD構文」だったらよかったのに~

・・・と思うじゃん。

 

だけど、「BOD構文」縛りで表現しようとすると限界がある(と思う)

ウェールズ人に「BOD構文」縛りで文章を書かせてみたらどうなるんだろう?
そういう研究ってあるのかな?

ウェールズ語講座その29へ続く

ウェールズ語講座その29~屈折構文を用いた過去の表現