ウェールズ語の動詞は、他のヨーロッパ言語並みに形を変える。
そんな動詞の姿をざっとお見せしよう。
前回の続き
BOD構文の復習
BOD構文って何?
まず「BOD(ボード)」の復習
BODは,英語でいえばbe動詞「~である」に相当する。
んで、その「BOD」と一緒に「動詞」を使うことで
「私は走る」みたいな文を作れる。
こういう文を「BOD構文」と言う。
なお、「BOD構文」の別の言い方として以下もあるらしい。
・迂言(うげん)的構造
・コピュラ文
BOD構文を使った例文
「私は走る」の場合,以下になる。
Rydw i’n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は 走る事の 中に いる
この例文では「Rydw(ラドゥ)」が「BOD」に相当する。
この文の主語は「私」なので、それに合わせて
元の形「BOD」を「Rydw(ラドゥ)」へ変えているだけ。
元の形と全然違うじゃん!
・・・と思うじゃん。
実はBODも動詞です!
「BOD」は、英語で言うbe動詞「~である」に相当する。
ところで英語の「be」って、主語が「私」だと「am」に変わるんだよね?
I am studentの「am」がそれ。
「am」って、be動詞の変化形なんだよね。
その言い方をウェールズ語に置き換えると
「Rydw(ラドゥ)」は「BOD」動詞の変化形である。
ね?
動詞はコロコロ変わるでしょ?
BOD動詞以外の動詞は変わらないの?
BOD構文で用いる動詞は変わらない
正確に言うと、
BOD構文におけるBOD動詞「以外」の動詞は形を変えない。
もう一度「私は走る」の例文を以下に示す。
Rydw i’n rhedeg
ラドゥ イン フレデグ
私は 走る事の 中に いる
最後の「rhedeg(フレデグ)」は「走る」の意味を持つ動詞
「rhedeg」の形を一切変えずに文で使うことができる。
え?「動詞」なのに形が変わらないっておかしいじゃん!
・・・と思うじゃん。
rhedegも変わるよ
まず、結論から。
上記の表は「動詞rhedegの変化形」+「人称代名詞」で挙げている。
他の言語だと、「動詞の変化形」だけで十分なのだが・・・
動詞の後に「人称代名詞」を付けて表にするのがウェールズ語の語学書らしい。
なお、上記の表だけ覚えておけばウェールズ語入門書は十分に学べる。
他にもrhedegの形がある
先ほど表で紹介したのは、ほんの一部。
実際には他にもいろいろな動詞の変化形が考えられる。
rhedeg(走る)の場合で、ざ~っと洗い出すと以下になる。
・文語形
・大過去
・動名詞
・形動詞
・方言による差
ね?動詞はコロコロ変わるでしょ?
でもヨーロッパ言語の中ではこれが普通なんだから恐ろしい
どういう時にrhedegの形が変わるの?
BOD構文で無い場合
「~である」の意味を持つ「BOD」動詞を「使わない」文もある。
「BOD」なしで動詞「rhedeg」を使った場合、
「rhedeg」の形を変える必要がある。
BOD構文だと、BOD動詞の形が色々と変わっていた。
そのBODが消えたら、今度はrhedegの方が変わる、と考えればいい。
屈折構文
屈折構文(くっせつこうぶん)っていうのは、簡単に言っちゃえば
BOD動詞を使わない構文
の認識でOK!
まぁ、実際には屈折構文でもBOD動詞を使う構文があるのだが・・・
こまけぇこたぁいいんだよ!!
なお、「屈折構文」という文法用語は
語学書によっては「屈折的構造」の言い方もあるらしい。
屈折構文を用いた例文
ここでは軽~く紹介する。
文法とか、こまけぇこたぁいいんだよ!!
私は走ったぞ!
Rhedes i
フレデスィ
私は走ったぞ!
「Rhedes」は「rhedeg(走る)」の過去形
厳密に言うと直説法・点過去・一人称・単数
「i」は「私」を意味する人称代名詞。
この文の主語になる。
私、これから走りますわ
Rheda i
フレダ イ
私、これから走りますわ
「Rheda」は「rhedeg(走る)」の未来形
厳密に言うと直説法・未来形・一人称・単数
あの、私、走るんですが・・・
Rhedwn i
フレドゥニ
あの、私、走るんですが・・・
「Rhedwn」は「rhedeg(走る)」の仮定形
「仮に私が走るとしたら~」っぽい意味になる。
厳密に言うと接続法・一人称・単数
走れ!
Rheda
フレダ
走れ!
「Rheda」は「rhedeg(走る)」の命令形
厳密に言うと命令形・二人称・単数
まとめ
動詞を使った文は2つある
ウェールズ語の文を読む場合、以下2つのどちらになるのか?
を意識する必要がある。
・BOD構文
・屈折構文
※文法書やサイトによっては、別の言い方もするので注意!
屈折構文だとrhedeg動詞の形が変わる!
「走る」の意味を持つ動詞「rhedeg(フレデグ)」の形が変わるのは「屈折構文」の方。
なお、「BOD構文」だとrhedegの形は一切変わらない。
「BOD構文」も「屈折構文」もどちらも良く出てくるから
結局は動詞の変化表を覚えないといけない・・・
なぜ屈折構文があるの?
あぁ~
ウェールズ語は全部「BOD構文」だったらよかったのに~
・・・と思うじゃん。
だけど、「BOD構文」縛りで表現しようとすると限界がある(と思う)
ウェールズ人に「BOD構文」縛りで文章を書かせてみたらどうなるんだろう?
そういう研究ってあるのかな?
ウェールズ語講座その29へ続く