ウェールズ語講座その17~所有表現「~を持っています」

前回は「~があります」を紹介した。

これを流用して「~を持っています」と表現する方法を紹介する。




前回の続き

ウェールズ語講座その16~存在表現「~があります」

所有表現の例文

私はパンを持っています


Mae bara ‘da fi
マエ バラ ダ ヴィ
私はパンを持っています


直訳すると「パンが、私と共にある」

Mae(マエ)=~がある

まず、復習。

本来,Mae「彼は~です」の意味を持つ動詞。

 

しかし


Mae+名詞+場所


の語順になると、Mae「~がある」の意味になる。

bara(バラ)=パン

「バラ・ブリス(Bara brith)」という名前のパンがある。

これは、ウェールズのお菓子の名前。

ウェールズ料理の一覧

その「バラ(Bara)」「パン」の意味になる。

 

ちなみに「ブリス(brith)」「プツプツの点」の意味らしい。

‘da(ダ)=~と共に

英語の前置詞「with」と同じ。

 

本来は「gyda(ギダ)」
しかし口語になると、省略されて「’da(ダ)」になる事が多い。

fi(ヴィ)=私

本来、「私」を表す単語は「i(イ)」

 

しかし、前置詞「gyda(ギダ)」「’da(ダ)」の後に「i(イ)」が来ると
fi(ヴィ)」に変わる。




なんで所有を回りくどく表現するの?

一般人からされそうな質問

普通の人から,

「なんでウェールズ語の所有表現はストレートに言わないの?」

と質問されそうな気がする。

その質問に対して、言語学的な立場で回答してみようと思う。

恣意性(しいせい)で説明できる

「恣意(しい)」を簡単に言うと「自分勝手な考え」の意味になる。

 

人間が使っている「言語」は「恣意(しい)」の特徴が備わっている。
その現象を、言語学では「恣意性(しいせい)」と定義している。
(なんか難しいね・・・)

 

日本語「私はパンを持っています」をウェールズ語で言うと
「パンが、私と共にある」

日本語・ウェールズ語両方とも「恣意性(しいせい)」に基づいた表現になっている。

 

言語によって、所有の表し方は色々あるけど・・・
最終的には、相手へ「私は~を持っています」と伝えることができる。

 

だから、ウェールズ語の「パンが、私と共にある」
という言い方を言語学的に見ると、別に「回りくどい表現」ではない。

「回りくどい表現」だと感じる理由

普通の日本人が「言語のしくみ」をある程度熟知している言語は


・日本語
・英語


の2つだけだろう。
その他の外国語も熟知していれば、語学マニア

 

日本語、英語両方とも所有表現は

「私は~を持っています」

で表現する。
だから所有表現は「私は~を持っています」であるべきだと思い込んでしまう。

 

そんな一般人が、突然ウェールズ語の

「パンが、私と共にある」

と言う表現を見せられたら、奇妙に見えてしまう。

だから「回りくどい表現」と感じてしまうだろう。

ほかの言語での表現方法

ロシア語の場合

ロシア語も、所有を表す時
ストレートに「私は~を持っています」と言わない。

「(人)のところに~がある」

と表現する。

【ロシア語】所有を表す表現 「~は…を持っている」

ウェールズ語の「パンが、私と共にある」
と同様に、ロシア語も主語が「私」にならない。

アラビア語の場合

アラビア語も、所有を表す時
ストレートに「私は~を持っています」と言わない。

「(人)の元に~がある」

と表現する。

「~を持っている」という表現 ARABAND アラビア語

ウェールズ語の「~が、(人)と共にある」と近い考え方になっているね。

色々な言語を学ぶのは面白い!

ウェールズ語やロシア語、アラビア語に限らないんだけど・・・

英語以外にもいろいろな言語を学んでみると
言語には色々な表現方法があるんだなーって気づく。

だから語学は面白い!

まとめ

ウェールズ語の話から脱線してしまったけど、
3行でまとめる。


・所有は「~が、(人)と共にある」の形で表す

「私と共に」「~’da fi(ダ ヴィ)」と書く

「’da」「gyda(ギダ)」の省略形


ウェールズ語講座その18へ続く

ウェールズ語講座その18~体調不良を表す表現