ウェールズ語講座その3~英語の知識では分からないウェールズ語の発音

ウェールズ語の文字の並びは、英語から見ると奇妙に見える。

あの黒田先生ですら恐れるウェールズ語の発音方法を紹介する。




前回の続き

ウェールズ語講座その2~名詞と形容詞の並べ方

黒田先生によるウェールズ語の紹介

参考文献

世界のことば アイウエオ (ちくま文庫)  黒田 龍之助

この本の44~45ページにウェールズ語の紹介がある。

黒田先生によるウェールズ語講座

以下、黒田先生の本から抜粋

 


マンガ風の吹き出しにあるウェールズ語を眺めてみれば、英語と驚くほど違う。

How are you ?がSut wit ti ?

で、それに対する答えがYn dda.

「元気です」だろうとは思うけど、いったい、どうやって発音するのか、見当もつかない。


黒田先生が紹介するウェールズ語の語学書

amazonから試し読みができる。

Welsh For Beginners (Internet Linked with Audio CD): Amazon

で、どうやって発音するの?

発音方法

黒田先生が引用した例文と、試し読みで書かれている例文が違う。

試し読みの方を確認すると、以下のように書かれている


Helo, sut wyt ti?
ヘロ、スィト ウィティ?
やあ、元気か?

Dim yn dda.
ディム アン ザ
(元気じゃ)ないです。
※全身に包帯を巻いている人の発言


難しいのが「y」の発音

「wyt」とか「yn」はどうやって発音するんだろう?
英語から見ると、全部子音に見えるよね・・・

 

実は、ウェールズ語の発音は英語やお隣のアイルランド語よりも簡単!
ルールがややこしい発音が「y」くらい。

 

それ以外は、1つのルールに対して1通りの読み方しかない。

詳しい発音ルールは次の章で説明しますね。




ウェールズ語の発音方法

基本は英語と同じでOK

ウェールズ語は、英語と同じ文字(a,b,c…)を使う。

文字の読み方は、英語とほぼ同じ。

 

また英語と違って、ウェールズ語は「文字通り」に読めばいい。
文字通りに読まない単語はほとんど無いので安心してほしい。

英語の知識では発音できないと思われるケース

ざっと挙げると以下になる


u=イ(「ウ」ではない!)

w=ウ(母音)

y=ア、イ(母音)

c=カ(「k」の音)

f=ヴ(「v」の音)

ff=フ(「f」の音)

ph=フ(ウェールズ語の「ff」と同じ)

dd=ズ(thisのthの音)

si=シ(shの音)

ll (=LL) =シ(「L」と発音する舌の形で「サシスセソ」と発音)

rh=フル(強く息を出しながら「r」と発音)


母音の上に「^」が付いた場合の発音

母音の上に「へ」のマークが付くケースもある。
例を以下に示す。


â=アー

î=イー

ŵ=ウー

ê=エー

ô=オー

ŷ=イー


 

母音の上に「へ」のマークが付いた場合、通常よりも長く読む。

 

・・・のだが、
ウェールズ語の場合、母音の長短はあまり区別しない。

「a」・「â」どちらも「ア」と発音すればOK

 

それよりも日本語の「ア・イ・ウ・エ・オ」よりもハッキリ発音することを意識しよう!(提案)

y(=ア、イ)の発音ルール

「y」が単語のどこに位置するかによって、発音が変わる。


★単語の最後の音節にある場合→「イ」
【例】byr=ビル(短い)

★それ以外の音節にある場合→「ア(ə)」
【例】ysgol=アスゴル(学校)

★特定の単語→常に「ア(ə)」
【例】y=ア(その)


 

ちなみに「ə」弱い「ア」の音になる。
(早口だと省略されやすい音)

実際のウェールズ語単語を発音してみよう!

「y」を使わないウェールズ語単語

「y」ありの発音は、ウェールズ語学習を始めたばかりの兄貴にとっては鬼門。

なので、まずは「y」なしのウェールズ語単語から発音してみようZE!

 

du=ディー(黒い)
u=イ(「ウ」ではない!)

cwsg=クゥスグ(眠り)
w=ウ(母音)

car=カル(車)
c=カ(「k」の音)

f=ハーヴ(夏)
f=ヴ(「v」の音)

corff=コルフ(体)
ff=フ(「f」の音)

ei phen=エィ フェン(彼女の頭)
ph=フ(ウェールズ語の「ff」と同じ)

hawdd=ハウズ(簡単な)
dd=ズ(thisのthの音)

siop=ショプ(店)
si=シ(shの音)

llaeth=サェス(牛乳)
ll=シ(「L」と発音する舌の形で「サシスセソ」と発音)

rhoi=フロイ(与える)
rh=フル(強く息を出しながら「r」と発音)

「y」付きのウェールズ語単語

とりあえず、たくさんのウェールズ語単語を発音して慣らして、どうぞ。

 

hefyd=ヘヴィド(~もまた)
Dafydd=ダヴィズ(男性の名前)
dydd=ディーズ(日)
tŷ=ティー(家)
★単語の最後の音節にある場合→「イ」

 

yfed=アヴェド(飲む)
yma=アマ(ここに)
yno=アノ(そこに)
★それ以外の音節にある場合→「ア(ə)」

 

mynydd=マニズ(山)
ysbyty=アスバティ(病院)
※「y」が最後の音節、それ以外の音節で混合するケース

 

bywyd=バウィド(生活)
tywydd=タウィズ(天気)
wythdeg=ウィスデグ(80)
tywysog=タウィソグ(王子)
※ただし「wy」の場合は、常に「ウィ」と読む(二重母音扱い)

 

yr=アル(その)
fy=ヴァ(私の)
dy=ダ(君の)
yn=アン(~の中に)
★特定の単語→常に「ア(ə)」

 

「特定の単語」とは以下を指す。


・冠詞
・代名詞の所有格形
・前置詞


 

上記はアクセントが置かれないことが多い

その為、常に弱い発音である「ア(ə)」になる。
(通常の「y」の発音とは違うらしい・・・)

発音出来たらカッコいいウェールズ語単語

語学はチャラい!
カッコいい事が大切なのだ(by 黒田先生)

という訳で、普通の人なら読めないウェールズ語単語を発音してみようZE!

 

unrhywbeth=インフラウベス(何でも)

trwydded=トルウィゼド(ライセンス)

Rhufeinig=フリヴェイニグ(ローマ人)

milltir=ミスティル(マイル)

llwyddiant=スゥィズィアント(成功)

hyfforddi=ハフォルズィ(訓練)

dwfn=ドゥヴン(深い)

cyllell=カセス(ナイフ)

cyllyll=カシス(ナイフ【複数】)

cwbwl=クブル(たくさん)

anwybyddu=アヌゥィバズィ(無視する)

anghytuno=アングハティノ(賛成しない)

ceffyl=ケフィル(馬)

dwyn=ドゥィン(盗む)

tywysoges=タウィソゲス(プリンセス)

「プリンセス・オブ・ウェールズ」のウェールズ語を文法的に説明してみた

ウェールズ語講座に使った参考文献

ウエールズ語の基本 | 永田 喜文, 小池 剛史

日本語で読める数少ないウェールズ語の語学書
(現時点で、2冊しかない。)

 

以降は、上記の本を元にウェールズ語の解説をしていくゾ~

ウェールズ語講座その4へ続く

ウェールズ語講座その4~「私は~です」の表現