カチューシャ歌詞のポーランド語訳を解読してみた

ガルパンの影響で有名になったカチューシャ歌詞。
元々はロシア語で書かれている歌なんだけど・・・

なぜかポーランド語にも翻訳されている!

そのポーランド語訳を解説する。




そもそもカチューシャ歌詞って何?

ロシアで生まれた歌です。

カチューシャ Katyusha(Катюша)

当然ながら、ロシア語で書かれています。

「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」のロシア語訳を分析してみた

カチューシャ歌詞のポーランド語訳

そもそもポーランド語って何?

ざっくり言うと、ロシア語に近い言語。

「こころぴょんぴょん」のポーランド語訳を分析してみた

ニコニコ動画にポーランド語版の動画があります

カチューシャの歌詞を3か国語比較してみた【Катюша / Katiusza / Katjuscha】

下がポーランド語訳です。

参考までに、上側がロシア語(原文)

ポーランド語訳

ポーランド語訳は以下にも書かれています。
Katiusza (utwór)

※ニコニコ動画にアップされたポーランド語訳と少し異なる


Rozkwitały grusze i jabłonie,
popłynęła ponad rzeką mgła,
ku brzegowi szła Kasieńka błoniem,
ku brzegowi wysokiemu szła.

咲き誇る林檎と梨の花
川面にかかる朝靄
若いカチューシャは歩み行く
霧のかかる険しく高い河岸に

Ku brzegowi idąc, pieśń śpiewała,
o stepowym orle sponad skał,
o tym, kogo bardzo miłowała,
czyje listy chowa niby skarb.

カチューシャは歌い始めた
誇り高き薄墨色の鷲の歌を
彼女が深く愛する青年の歌
大事に持ってる彼からの手紙

Oj, ty pieśni, piosnko ty dziewczęca,
w ślad za słonkiem jaśniejącym śpiesz.
Żołnierzowi z pogranicza, dźwięczna,
od Kasieńki pozdrowienia nieś.

おお 歌よ 乙女の歌よ
太陽をかすめ 鳥の如く飛んでゆけ
遠い国境の若き兵士の元へ
カチューシャの想いを届けるのだ

Niech tam wspomni miłą swą dziewczynę,
jak mu śpiewa do utraty tchu,
gdy on strzeże ziemi swej rodzinnej,
Kasia – serce wiernie strzeże mu.

彼は思い起こすか 純真な乙女を
彼は聞くだろうか カチューシャの澄んだ歌声を
彼は愛すべき祖国の地を守り抜き
カチューシャは愛を強く守り抜く

Rozkwitały grusze i jabłonie,
popłynęła ponad rzeką mgła,
ku brzegowi szła Kasieńka błoniem,
ku brzegowi wysokiemu szła.

咲き誇る林檎と梨の花
川面にかかる朝靄
若いカチューシャは歩み行く
霧のかかる険しく高い河岸に





ポーランド語訳を解読してみた

発音方法

本記事では解説しない。

カタカナ読みを参考にして♡

文法解説

文法解説は、ポーランド語を学んでいる日本人向けのレベルになっている。
一般人には意味不明で、漢字の羅列にしか見えないと思う。

ポーランド語を学んでいる日本人は、こんな複雑な思考回路で読んでいるんだな~
と思ってもらえれば充分である。

咲き誇る林檎と梨の花


Rozkwitały grusze i jabłonie,
ロスクフィタウィ グルシェ イ ヤブウォニェ


Rozkwitały=未完了体動詞rozkwitać(咲いている)の過去形・三人称・複数・非男性

grusze=grusza(梨の木)の複数・対格

i=~と

jabłonie=jabłoń(リンゴの木)の複数・対格

【直訳】梨の木とリンゴの木の花が咲いていた

川面にかかる朝靄


popłynęła ponad rzeką mgła,
ポポゥィネワ ポナト ジェコン ムグゥァ


popłynęła=完了体動詞popłynąć(流れてしまった)の過去形・三人称・単数・女性

ponad==~を横切る

rzeką=rzeka(川)の単数・造格

mgła=mgła(霧)の単数・主格

【直訳】霧が川を横切って流れてしまった

若いカチューシャは歩み行く


ku brzegowi szła Kasieńka błoniem,
クブジェゴヴィ シュゥァ カシエィンカ ブウォニエム


ku=~へ向かって

brzegowi=brzeg(海岸線)の単数・与格

szła=未完了体動詞iść(歩いて行く)の過去形・三人称・複数・女性

Kasieńka=Kasieńka(カチューシャ)の単数・主格

błoniem=błonie(牧草地)の単数・造格

【直訳】牧草地としてのカチューシャは海岸線へ向かって歩いて行った

「若いカチューシャ」の「若い」をポーランド語では「牧草地」で表現している。

霧のかかる険しく高い河岸に


ku brzegowi wysokiemu szła.
クブジェゴヴィ ヴィソキエム シュゥァ


ku=~へ向かって

brzegowi=brzeg(海岸線)の単数・与格

wysokiemu=wysoki(高い)の単数・与格

szła=未完了体動詞iść(歩いて行く)の過去形・三人称・複数・女性

【直訳】高い海岸線に向かって歩いて行った

ポーランド語訳では、mgła(霧)が省略されている。

カチューシャは歌い始めた


Ku brzegowi idąc, pieśń śpiewała,
クブジェゴヴィ イドンツ、ピエシィン シピエヴァウァ


ku=~へ向かって

brzegowi=brzeg(海岸線)の単数・与格

idąc=未完了体動詞iść(歩いて行く)の副動詞現在
→「歩きながら~」の意味になる

pieśń=pieśń(歌)の単数・対格

śpiewała=未完了体動詞śpiewać(歌っている)過去形・三人称・単数・女性

【直訳】高い海岸線に向かって歩きながら、歌を歌っていた

śpiewała(歌っていた)は未完了体動詞。
「歌う」という動作はまだ終わっていない。

だから、「歌い始めた」とも解釈できるんじゃないかな?
(適当)

誇り高き薄墨色の鷲の歌を


o stepowym orle sponad skał,
オステポヴィム オルレ スポナト スカゥ


o=~について

stepowym=stepowy(草原)の単数・前置格・男性・非人間

orle=orzeł(鷲)の単数・前置格

sponad=~から横切って

skał=skała(風景)の複数・生格

【直訳】風景から横切った草原の鷲について

薄墨色をポーランド語訳では草原(stepowym)の色で表現している。
(と思う)

stepowy (język polski)

彼女が深く愛する青年の歌


o tym, kogo bardzo miłowała,
オティム、コゴ バルヅォ ミウォヴァウァ


o=~について

tym=ten(これ)の単数・前置格・男性

kogo=kto(誰)の単数・対格・男性

bardzo=とても

miłowała=未完了体動詞miłować(愛する)の過去形・三人称・単数・女性

【直訳】彼女がとても愛していた(ところの)彼について

kogo(誰、who)が関係代名詞になっている。

「kogo」の後の「bardzo miłowała」は「彼女はとても愛していた」の意味になる。

彼女が愛していたのが「o tym(これについて)」

ポーランド語「tym」は「これ(=this)」の意味になるが・・・
歌詞では「彼(=青年)」と訳するのが適切。

大事に持ってる彼からの手紙


czyje listy chowa niby skarb.
チィイェ リスティ ホヴァ ニビィ スカルプ


czyje=czyj(誰の)の単数・主格・中性

listy=list(手紙)の複数・主格

chowa=未完了体動詞chować(しまい込んでいる)の現在形・三人称・単数

niby=まるで~のように

skarb=skarb(宝物)の単数・主格

【直訳】まるで宝物のようにしまい込んでいる(彼の)手紙

czyje(誰の,whose)が関係代名詞になっている
ここで言う「誰の」は「彼から」の意味になる。

それを詳しく説明しているのが、「czyje」の後に続く「listy chowa niby skarb」

「まるで宝物のようにしまい込んでいる」=「大事に持ってる」と解釈できる。

おお 歌よ 乙女の歌よ


Oj, ty pieśni, piosnko ty dziewczęca,
オィ、ティ ピエシニ、ピオスンコ ティ ヂエフチェンツァ


Oj=おお

ty=ty(君)の単数・呼格

pieśni=pieśń(歌)の単数・呼格

piosnko=piosnka(詩)の単数・呼格

ty=ty(君)の単数・呼格

dziewczęca=dziewczęcy(乙女)の単数・呼格・女性

【直訳】おお!君の歌よ!君の乙女の詩よ!

太陽をかすめ 鳥の如く飛んでゆけ


w ślad za słonkiem jaśniejącym śpiesz.
フシラト ザシュウォンキエム ヤシニエヨンツィム シピエシュ


w=~の上に

ślad=ślad(道、ルート)の単数・対格

za=~の後ろに

słonkiem=słonko(太陽)の単数・造格

jaśniejącym=jaśniejący(輝く)の単数・造格

śpiesz=未完了体動詞śpieszyć(急いている)の命令法・二人称・単数

【直訳】輝く太陽の後ろのルートの上を急いで(駆け上がれ!)

w ślad(ルートの上)と、śpiesz(お前は急げ!)で、

「ルートの上を急いで駆け上がれ!」
→「鳥の如く飛んでゆけ」

と解釈できる。

直接「鳥」という単語を使っていない。

これがポーランド語の美しい歌詞の条件なのだろうか?

遠い国境の若き兵士の元へ


Żołnierzowi z pogranicza, dźwięczna,
ジョウニエジョヴィ スポグラニチャ ヂヴィエンチュナ


Żołnierzowi=żołnierz(兵士)の単数・与格

z=~から

pogranicza=pogranicze(国境)の単数・属格

dźwięczna=dźwięczny(活気づいている)の単数・主格・女性

【直訳】国境から兵士に

dźwięczna(活気づいている)は女性形としての形容詞。

一方、Żołnierzowi(兵士に)は男性名詞
(単数・主格「żołnierz」が子音「rz」で終わっている→男性形)

よって「活気づいている兵士に」の訳は不適切だと思われる。

dźwięczna(活気づいている)は、次の文の「Kasieńki(カチューシャ)」にかかっているのかな?
(多分)

カチューシャの想いを届けるのだ


od Kasieńki pozdrowienia nieś.
オトカシエィンキ ポズドロヴィエニヤ ニエシ


od=~の為に

Kasieńki=Kasieńka(カチューシャ)の単数・生格

pozdrowienia=pozdrowienie(あいさつ)の単数・生格

nieś=未完了体動詞nieść(運ぶ)の命令法・二人称・単数

【直訳】カチューシャのあいさつの為に運べ!

「想い」をポーランド語では「あいさつ(pozdrowienia)」と訳している

彼は思い起こすか 純真な乙女を


Niech tam wspomni miłą swą dziewczynę,
ニエフ タム フスポムニ ミウォン スフォン ヂェフチュネン


Niech=~しろ!

tam=あの

wspomni=完了体動詞wspomnieć(思い出させる)の命令法・三人称・単数
→必ず「Niech」を伴う

miłą=miły(良い)の単数・対格・女性

swą=swój(自分の)の単数・対格・女性

dziewczynę=dziewczyna(女の子)の単数・対格

【直訳】あれを思い出させろ!自分の良い女の子を

彼は聞くだろうか カチューシャの澄んだ歌声を


jak mu śpiewa do utraty tchu,
ヤク ム シピエヴァ ドウトラティ トフ


jak=どのように(how)

mu=on(彼)の単数・与格

śpiewa=未完了体動詞śpiewać(歌っている)の現在形・三人称・単数

do=~へ

utraty=utrata(損失,loss)の単数・生格

tchu=dech(息)の単数・生格

【注意】男性・非人間名詞「dech(息)」の格変化はやや不規則

※単数形のみ。複数形は無い

Wiktionary dech ポーランド語

【直訳】損失の息として彼に歌っている(のを彼は聞くだろうか?)

utraty(損失の)だと、変な訳になる。

ネットで調べた限りでは、「loss」の訳しか無い・・・

Wiktionary utrata ポーランド語

紙の辞書も使う必要があるんだって、はっきりわかんだね。

彼は愛すべき祖国の地を守り抜き


gdy on strzeże ziemi swej rodzinnej,
グディ オン ストシェジェ ジエミ スフェィ ロヂンネィ


gdy=~の時

on=on(彼)の単数・主格

strzeże=未完了体動詞strzec(守っている)の現在形・三人称・単数

ziemi=ziemia(土地)の単数・生格

swej=swój(自分)の単数・生格・女性

rodzinnej=rodzinny(家族)の単数・女性・生格

【直訳】彼は、自分の家族の土地を守っているとき~

カチューシャは愛を強く守り抜く


Kasia – serce wiernie strzeże mu.
カシャ - セルツェ ヴィエルニェ ストシェジェ ム


Kasia=Kasia(カチューシャちゃん)の単数・主格
→Kasieńkaの愛称

serce=serce(心)の単数・対格

wiernie=忠実な(※副詞)

strzeże=未完了体動詞strzec(守っている)の現在形・三人称・単数

mu=on(彼)の単数・与格

【直訳】カチューシャちゃんは彼に心を忠実に守っている

心(serce)で「愛」を表しているね。

その「愛」の内容が、文末の「mu(彼に)」

「彼に愛」→「彼の愛」→「恋愛」と解釈できる。

咲き誇る林檎と梨の花


Rozkwitały grusze i jabłonie,
ロスクフィタウィ グルシェ イ ヤブウォニェ


※解説済

【直訳】梨の木とリンゴの木の花が咲いていた

川面にかかる朝靄


popłynęła ponad rzeką mgła,
ポポゥィネワ ポナト ジェコン ムグゥァ


※解説済

【直訳】霧が川を横切って流れてしまった

若いカチューシャは歩み行く


ku brzegowi szła Kasieńka błoniem,
クブジェゴヴィ シュウァ カシエィンカ ブウォニエム


※解説済

【直訳】牧草地としてのカチューシャは海岸線へ向かって歩いて行った

霧のかかる険しく高い河岸に

クブジェゴヴィ ヴィソキエム シュウァ


ku brzegowi wysokiemu szła.
クブジェゴヴィ ヴィソキエム シュゥァ


※解説済

【直訳】高い海岸線に向かって歩いて行った

ポーランド語訳のまとめ

もう一度、全体のポーランド語訳を見てみる。


Rozkwitały grusze i jabłonie,
popłynęła ponad rzeką mgła,
ku brzegowi szła Kasieńka błoniem,
ku brzegowi wysokiemu szła.

咲き誇る林檎と梨の花
川面にかかる朝靄
若いカチューシャは歩み行く
霧のかかる険しく高い河岸に

Ku brzegowi idąc, pieśń śpiewała,
o stepowym orle sponad skał,
o tym, kogo bardzo miłowała,
czyje listy chowa niby skarb.

カチューシャは歌い始めた
誇り高き薄墨色の鷲の歌を
彼女が深く愛する青年の歌
大事に持ってる彼からの手紙

Oj, ty pieśni, piosnko ty dziewczęca,
w ślad za słonkiem jaśniejącym śpiesz.
Żołnierzowi z pogranicza, dźwięczna,
od Kasieńki pozdrowienia nieś.

おお 歌よ 乙女の歌よ
太陽をかすめ 鳥の如く飛んでゆけ
遠い国境の若き兵士の元へ
カチューシャの想いを届けるのだ

Niech tam wspomni miłą swą dziewczynę,
jak mu śpiewa do utraty tchu,
gdy on strzeże ziemi swej rodzinnej,
Kasia – serce wiernie strzeże mu.

彼は思い起こすか 純真な乙女を
彼は聞くだろうか カチューシャの澄んだ歌声を
彼は愛すべき祖国の地を守り抜き
カチューシャは愛を強く守り抜く

Rozkwitały grusze i jabłonie,
popłynęła ponad rzeką mgła,
ku brzegowi szła Kasieńka błoniem,
ku brzegowi wysokiemu szła.

咲き誇る林檎と梨の花
川面にかかる朝靄
若いカチューシャは歩み行く
霧のかかる険しく高い河岸に


全体的に見ると、一行一行のポーランド語文の長さが大体同じ。

原文のロシア語をそのままポーランド語に訳すると・・
行ごとに文の長さがバラバラになるかもしれない。

試しに原文のロシア語をgoogle翻訳に入れてポーランド語に訳してもらうと・・
行によっては文の長さが2倍近く異なってしまう。

そういう意味では、見事なポーランド語訳だと思う。

私が一生ポーランド語を勉強しても、こんなに素敵なポーランド語なんて作れないなぁ~

ポーランド語訳の歌を解読することで色々な発見があると思った
(小並感)