韓国語とアラビア語の習得難易度は同じである理由を説明してみた【文法編】

前回は、韓国語とアラビア語の発音を比較して
「まぁ、どっちの言語も難しいよね」と言うことを確認した。

本記事では、文法を見ることにする。
文法用語がたくさんでてきて理解しにくいかもしれないけど。




前回の記事

韓国語とアラビア語の習得難易度は同じである理由を説明してみた【発音編】

韓国語とアラビア語の文法における特徴

文法=単語を組み立てるルール

「ことば」は音から成る。
その音を組み合わせて、「リンゴ」のような概念を表したのが「単語」

まぁ、言語学的には「単語」ではなく「語」なのだが・・・
本記事では「単語」に統一する。

 

で、「ことば」の性質はもう一つあったよね?
「音」を2段階に分けられる。

言い換えると「音」を2段階で組み立てる必要がある。

 

一段階目は、先ほど示した「単語」
そして二段階目は「単語」を組み合わせて文を作る。

その「単語」を組み合わせるルールが文法に相当する。

 

文法はでたらめに決まるから・・・
韓国語であろうが、アラビア語であろうが
「単語」を組み合わせるルールの複雑さは同じです!

 

と言っても説得力が無いので、具体的な言語で例を示す。

韓国語の文法

日本語と同じ
終わり!閉廷!

 

・・・と言っても良いくらい韓国語の文法は日本語と酷似している。

 

逆に日本語と文法が違う点を探す方が難しい。
ざっと挙げると以下になるかな?


母音の後ろについた子音(※)による発音変化
・動詞や形容詞の形を変える方法
・否定文の場合、先に否定を表す単語を置くことがある
・助詞にも尊敬語がある


 

※「sak」の場合,母音「a」の後の「k」
「母音の後ろについた子音」に相当する。
韓国語文法では「パッチム」と呼ぶ

アラビア語の文法

日本語とは全然違う。
終わり!閉廷!

 

どちらかと言うと、英語の方がアラビア語に近い。
英語とアラビア語で文法が異なる点をざっと挙げてみる。


・単語の並びによっては、母音が消えるケースがある
・名詞や形容詞の形に「男性」と「女性」がある
・「私の」のような代名詞を名詞の直後にくっつける
・時制の一致が無い


文法を「ことば」で説明するのは難しい

ここまで読んだ兄貴は

「なるほど、さっぱりわからん」

状態だと思う。

 

なので、具体的な例文を挙げて比較してみる。




ライフル銃で学ぶ韓国語とアラビア語の文法

「私は学生です」の例文も大切だが・・・

語学の最初に学ぶ例文は当たり前すぎて面白くない!

 

なので、本記事では基礎を飛ばして一気に変な例文に入ることにする。

文法そのものよりも
韓国語とアラビア語どちらも文法を学ぶのが難しいんだなー
と思ってもらえれば十分。

使う例文

以下記事からアラビア語例文を取ってきて、それを韓国語訳した。

ライフル銃で学ぶ第10型のアラビア語動詞

 


日本語:
いつも このライフル銃を使っているのですか?

韓国語:
언제나 이 소총을 사용하고 있습니까?
オンジェナ イ ソチョンウル サヨウンハゴ イッスムニッカ?

アラビア語:
هَلْ تَسْتَخْدِمُ هذِهِ الْبُنْدُقِيَّةَ دَائِمًا؟
ハル タスタフディム ハーズィヒ-ルブンドゥキーヤ ダーイマン?


 

なお、アラビア語は右から左へ読む。
アラビア語のカタカナ読みは左から読んで、どうぞ。

文法的に説明してみた

韓国語の場合(日本語と同じく、左から読む)


オンジェナ イ ソチョンウル サヨウンハゴ イッスムニッカ?

 

アラビア語の場合(右から←←←に向かって読む)


ハル タスタフディム ハーズィヒ-ルブンドゥキーヤ ダーイマン?
(カタカナ読みは左から読んで♡)

韓国語とアラビア語の文法を比べてみる

違いをざっと挙げると以下になる。


・韓国語の方が品詞分けが多い。
名詞の変化が無い代わりに、助詞や動詞などをくっつけることで意味を付け足している為。

・アラビア語の場合、単語の形そのもので韓国語における複数の品詞をまとめて表せるため、品詞数は少なくて済む

・「いつも」は、韓国語だと「代名詞」+「助詞」で表すのに対してアラビア語は「副詞」を使う

・動詞「使う」の現在形(=習慣)を表す時、韓国語はいちいち「存在詞」などを付け足す必要がある
アラビア語は、動詞の形から現在形(正確には「未完了形」)であることは明らか


 

韓国語やアラビア語の知識が全くない兄貴だと、
上記の箇条書きを見ても

「なるほど、さっぱりわからん」

ってなるだろう。

 

もう一回韓国語とアラビア語の文法説明を示す。


オンジェナ イ ソチョンウル サヨウンハゴ イッスムニッカ?

 

アラビア語の場合


ハル タスタフディム ハーズィヒ-ルブンドゥキーヤ ダーイマン?

 

文法の箇所(オレンジ図形)だけでもざ~っと眺めて欲しい。


・韓国語は日本語に近いんだな~
・アラビア語は英語に近いんだな~
っていうか最初に疑問詞が来るのかー


というような小並感でもよい。
韓国語とアラビア語の文法的な雰囲気が分かればOK!

で、韓国語とアラビア語の文法どっちが難しいの?

結論:両方とも難しい

終わり!閉廷!

どの言語も無駄な単語は無い

先ほど示した韓国語とアラビア語の文法を眺めてみて、無駄な単語とかはあったかな?

「この単語って、どう考えてもいらねーだろwww」
っていう品詞はあったかな?

 

例えば、韓国語の動詞の後にくっつく連結語尾「~て」がもし無かったらどうなるか?

 

「使用する」+「であるか?」になっちゃうね。

「使用する」と「であるか?」は、果たして意味がつながっているのか?
それとも、「~するなら」のような仮定の意味を表すのか?

 

文の意味が少し曖昧になってしまうね。

 

アラビア語も、同様に最初の「~か?」の単語を消すとどうなるか?

「あなたは、いつも このライフル銃を使っている」のような肯定文に変わってしまう。

アラビア語で疑問文を表す場合は、文の最初に「~か?」を表す単語を置くルールになっている。
一応、「~か?」が無くても文脈で疑問文かどうか判断できるかもしれないが・・・

いちいち文脈で判断していたら、文の意味が曖昧になっちゃうね

まぁ、アラビア語における仮定文の時制は文脈判断になるケースが多いけど

 

という訳で、韓国語やアラビア語どちらも無駄な単語
すなわち無駄な文法は無いのです!

「ことば」はシステム化された文法から成る

そもそも「ことば」は、自分が伝えたい意図を他の人へ伝えたい!
という欲求から生まれた物。

「この獲物を狩るぞ!」と他の人に素早く伝えたい。
自分の意図が、他の人へ素早く伝われば伝わるほど、狩りの成功率も高かったハズ。

こうやって、他の人へ素早く分かりやすく伝える「ことば」が作られたのだと思う。

 

そして「ことば」を多くの人に使ってもらう為には、言語の習得難易度を低くした方が良い。
となると、めったに使わないような難しい文法は消えていく。

こういう文法の無駄が排除されて「ことば」は現在まで常に変化してきた。

 

韓国語やアラビア語は、どちらも
「この獲物を狩るぞ!」
という意図を 誰もが簡単に、他の人へ素早く伝えれる言語だよね?

 

でないと、大韓民国や北朝鮮、アラブ諸国の公用語になる訳ないよね?
「ことば」が使い物にならないと、戦争の時に困る。

 

という訳で、韓国語やアラビア語どちらも文法は最適化されているのです!
つまり、無駄な文法は無い!とも言える。

語学は覚える作業の繰り返し

結論

語学は、以下の2つを繰り返す作業に尽きる。


・単語を覚える
・文法を覚える


言語学の知識があれば、上記の理由が納得できると思う。

一段階目の分解=文法

「ことば」は音を二段階に分けて分解できるのだから・・・

「文法」の知識があれば、一段階目の分解ができる。

韓国語の知識があれば、つながっている単語でも、どこで区切るのか分かる。
アラビア語の知識があれば、ミミズみたいにつながっている文字をどこで区切るか分かる。

 

その「文を区切るルール」はでたらめに決まるのだから・・・
韓国語であろうが、アラビア語であろうが、ルールを覚える手間は同じです!

 

韓国語の場合、日本語と文法がほぼ同じだから覚える負担はアラビア語よりも楽かもしれないが・・・

文法の量は、次に述べる「単語」の量よりもはるかに少ない。
むしろ、「単語」を覚えまくるのが語学の大部分を占めると思う。

二段階目の分解=単語

「単語」を覚えておけば二段階目の分解ができる。

文を単語に区切れても、その単語の意味が分からないと文が理解できないよね?
だから何千個もの「単語」とその意味を結び付けて覚える必要がある。

 

その「単語」と意味の結びつきはデタラメに決まるのだから・・・
韓国語であろうが、アラビア語であろうが「単語」を覚える負担は同じです!

 

え?韓国語は日本語と近いから、単語を覚えるのが楽だって?

確かに韓国語では漢字が元になった単語ならすぐ覚えれると思うが・・・

問題は韓国語独特の単語。
その単語は日本語とは全く違う「音」なので、アラビア語と同様にイチから覚える必要がある。

 

むしろ、日本語と韓国語で意味が微妙に異なる単語を覚えるのに苦労すると思う。
(言語学的には「母語の干渉」と言う)

 

そう考えると、知識が真っ白のアラビア語の単語を覚える方が楽かもしれない。

だから、総合的にみると韓国語やアラビア語どちらも単語を覚える手間は変わらないと私は思うね。

実際に韓国語とアラビア語の文法を深く学んだ私の感想

私の場合、最初の頃は

韓国語の方が簡単~
アラビア語は苦労した・・・

と言う記憶。
だけど、それは最初の頃だけ。

 

文字の読み方をマスターして、文法をある程度身に着けると、
韓国語とアラビア語の文法とか単語を覚える手間に差は無いなーと感じてきた。

 

自分の母語である「日本語」に関係なく、
韓国語やアラビア語の難易度が収束してきたのかなー
と思う。

そこからが語学の本番。

 

あとはひたすら「単語」を覚えまくって
「文法」を使いこなす精度を上げていく作業プレイ・・・

 

この経験を通して分かった事


楽して外国語を覚える方法は無いよ。
留学しても、結局は覚える作業は同じなのね。


 

言語を学んでいる兄貴への励みになれば幸いである。

以上!