【ポケモンSV】ナンジャモちゃんのセリフを言語学における「役割語」で分析してみた

ナンジャモちゃんのセリフって翻訳が難しいなぁ~
と思ったので、その理由を言語学における「役割語」で整理してみた。




ナンジャモって誰?

以下を読んで、どうぞ。

【ポケモンSV】クリア後の中国語版ナンジャモちゃんも紹介してみた(繁体字)

「役割語」って何?

ポケモンの「役割理論」ではない!

ナンジャモ氏のヤーティは電気タイプ以外ありえないwww

役割理論(ポケモン)

・・・の方の「役割」ではないです。
念のため。

言語学における「役割語」の紹介

「役割語」は「やくわりご」と読む。

 

物語のキャラって、言葉遣いで特徴づけるよね?
その言葉遣いを「役割語」と定義している。

 

「役割語」の例を以下に挙げる。


・拙者は~でござる →武士

・ヤツが来ましたぜ →刑事さん

・ご機嫌よう、庶民の皆様 →金持ちお嬢様

・おフランスに行くざます →スネ夫のママ

・そうだニャー →猫

・アッーー---  →阿部さん

・イキスギィ!   →野獣先輩


 

わざわざキャラクターの詳細説明を読まなくても
上記セリフの一部を見ただけで、外見とか性格がなんとなく分かっちゃうよね?

「役割語」は現実世界では使わない言葉遣い

「役割語」は、あくまでも「物語上」でキャラを区別するための言葉遣いね!

 

例えば、ホモビ(ゲイ向けのエッチな動画)で「イキスギィ!」と言うのは自然。

ホモビは、あくまでも「お芝居」
「イキスギィ!」と言った登場人物は、これから何をするのか一瞬で想像できる。

 

だけど、現実世界で「イキスギィ!」と言ったら、ほぼ100%周りの人から引かれる。

学校の先生や会社の上司に「イキスギィ!」って言えないよね?
(よほどの親しい人、ホモビに詳しい人なら別だが)

 

要するに、「役割語」は現実世界では使っちゃダメな用語ですなwww
(↑のロジカル語法も現実世界で使ったら嫌われますな。)

 

「役割語」は、あくまでも「お芝居」の中で使う言葉遣いね!

「オーッホッホッホ」と嫌味を言う20代前後の女性が現実世界では居ないのは「役割語」のせいだよ!
と説明できるね。

ナンジャモちゃんの役割語

セリフ一覧(日本語)

ナンジャモちゃんのセリフ(日本語版)って
以下サイトで見れたのか・・・(汗

ポケモンSV/ナンジャモ会話セリフイベント一覧

「役割語」の視点で分析してみた

ナンジャモちゃんの言葉遣いを「役割語」の視点で読んで、分かった事を整理した。

 


・ボクっ娘 (一人称が「僕」)

・文末の母音を頻繁に伸ばす(~だよー、出てこいやー)

・方言がごちゃごちゃに混ざっている (例:~ねん)
→どこの地方の「ことば」なのか更に分析してみると面白いかも?

・単語の省略が見られる(バトルする→バトる)

・ネット用語を使う
(例:スゴいぞ かっこいいぞ!←遊戯王の海馬)


一発でナンジャモちゃんを特徴づける「役割語」は無さそう

上記で挙げたセリフは、2020年の10~20代辺りの人も普通に使っている(と思う)

一言だけで「あっ!ナンジャモちゃんだ!」と分かる言葉は無いかな?
(ナンジャモちゃん独特の固有名詞を使うなら別だが。)

 

「イキスギィ!」=野獣先輩

のように明確化された「役割語」は無い。

 

だけどたくさんのセリフを聞いて行くうちに

「こいつって、もしかしてナンジャモじゃね?」

と段々分かってきそうだなー
というのが、ナンジャモちゃんを特徴づける「役割語」かな?

なぜナンジャモちゃんのセリフは翻訳が難しいのか?

ナンジャモちゃんの中国語版も「役割語」が使われている

「役割語」は日本語に限らず、他のどの言語にもある。
と言うか、「役割語」を作れない言語は無いと思うのだが

 

私は中国語を学んだから分かるんだけど・・・
ナンジャモちゃんの中国語を日本語に訳する時、
「訳しやすい」・「訳しにくい」中国語がハッキリ分かれているように思う。

だって、中国語で使われる「役割語」と、その背景知識は全然知らないし・・・(震え声

外国人にとって「役割語」は難しい

外国語を学ぶ人にとっては、外国語の「役割語」の理解はマジで難しい。

 

例えば、日本語を学んでいる外国人が忍者とかナルトの影響で
「~でござる」「~だってばよ」

という言葉遣いをするよね?

 

だけど、「~でござる」「~だってばよ」はあくまでも忍者キャラを表す「役割語」

日本語ネイティブの人が「~でござる」と言うとなんだか妙に感じるよね?
(その「妙に感じる」の理由を説明するのは、日本語ネイティブでも難しい、と言うか無理)

 

日本語を学んでいる外国人は、その言葉が「役割語」なのか?ネイティブが使う言葉遣いなのか?が区別できない。

だって、日本語の裏にある「背景知識」を知らないんだし。
ある日本語を使って「妙に感じる」というネイティブの勘(カン)が使えない。

 

実際、ロシア語の専門家でも…
ロシア語版の刑事ドラマで理解に苦しむシーンがあるらしい。

ソースは「黒田龍之助」先生の本を読んで、どうぞ。

「役割語」の翻訳に正解は無い!

ナンジャモちゃんに限らず物語上で「役割語」を使って話すキャラの会話を翻訳するのは難しい。

 

私の 中→日 翻訳が間違いだらけ・・・
の言い訳ではない!

日本語ネイティブの人が読んで「間違いだらけだ!」
と頻繁に言われてしまうのは、単に翻訳者の語学力不足なだけ。

 

だけど、キャラを特徴づける「役割語」は翻訳のしようがない。

その外国語に対応する日本語の語彙情報が無いんだから、どうしても意訳になってしまう。
「役割語」の翻訳に正解は無いんだよね・・・

外国語から翻訳された会話文を読むときに気を付けて欲しい事

ポケモンSVで言うと、中国語版ナンジャモのセリフを「あえて」日本語に訳した変わり者人が書く内容ね!
(私の事です)

 

「役割語」の翻訳は、どうしても意訳が多くなってしまうから、
原文となる日本語と大きく訳が外れてしまうかもしれない。

そういう時は


訳する人って、外国語の「役割語」の理解に苦しんでいるんだなー


と、温かい目で読んで欲しい。
間違いがあっても激しく批判しないで♡

【補足】ポケモンSVに出てきた言語学の授業は「言語学」と言えるのか?

本記事を書いてきて、追加で疑問に思ったので備忘録に。

ポケモンSVの言語学の授業は本当に「言語学」と言えるのか?

結論から言うと、ポケモンSVで出てきた言語学の授業を正確に言うと
「心理言語学」
になるんじゃないかなぁ?

話が長くなるので別途記事にまとめました。