英語の知識で読めるイディッシュ語の例文を紹介してみる

イディッシュ語の文字の読み方さえ覚えれば、英語の知識で読めちゃう文が見つかる。

ドイツ語の知識が無くても何とか読める(と思われる)文を集めてみた。




前回の記事

PC画面でイディッシュ語をお手軽に入力する方法

英語の知識で読めるイディッシュ語の例文

とあるサイトの例文


דער עפּל איז נישט ביטער.
DeR ePL iZ NiSHT BiTeR
デル エプル イズ ニシュト ビテル


 

英語に置き換えると、以下になる。
The apple is not bitter.

日本語訳だと「そのリンゴは、苦くない」

 

引用元のブログ

雪掻きとイディッシュ語

一部だけ音が違うけど…

もう一度、同じ例文を挙げる。


דער עפּל איז נישט ביטער.
DeR ePL iZ NiSHT BiTeR
デル エプル イズ ニシュト ビテル


 

前から3つ目の単語איז(iZ・イズ)は、英語のbe動詞・3人称・単数is(イズ)と全く同じ音になっている。

 

前kら2つ目の単語עפּל(ePL・エプル)は、英語だとapple(アップル)
イディッシュ語のe(エ)が、英語だとa(ア)に置き換わっている。

 

最初の単語דער(DeR・デル)は、英語の定冠詞the(ザ)に相当する

דער(DeR・デル)とthe(ザ)は、音が共通していないように見えるが・・・

イディッシュ語の定冠詞は、基本的に「D」の音で始まる
英語だとthe(ザ)かthe(ズィ)、つまりth(ズ)の音で始まる。

イディッシュ語の子音「D」が、英語だと子音「Th(ズ)」に置き換わていると見なせる。

 

このようにイディッシュ語の音は、英語と少しズレているケースが多い。

文法は、ほぼ一致

以下のイディッシュ語例文の場合、英語とほぼ同じ文法になっている。


דער עפּל איז נישט ביטער.
DeR ePL iZ NiSHT BiTeR
デル エプル イズ ニシュト ビテル


 

上記のイディッシュ語単語を、そのまま英単語として並べると以下
The apple is not bitter.

 

定冠詞→名詞→be動詞→否定詞→形容詞
という語順になっている。

要するにSVC構文

 

まぁ、イディッシュ語はドイツ語と同様に定冠詞「数・性」によって変化するのが英語と大きな違いなのだが・・・

こまけぇこたぁいいんだよ!!

 

AA|こまけぇこたぁいいんだよ!!

私は、本を、持っています

1冊の本を持っている場合


איך האָב אַ בוך
iKH HoB a BuKH
イフ ホブ ア ブフ


 

英語だと、
I have a book

1つの物を表す不定冠詞「a」は、イディッシュ語だとאַ(a・ア)
音は、英語と全く同じ。

 

更に言うと、英語って不定冠詞「a」の後に母音で始まる単語が来た場合「an」になるよね?

イディッシュ語の場合はאַן(an・アン)になる。

不定冠詞って、英語と全く同じなのね。

複数の本を持っている場合


איך האָב ביכער
iKH HaB BiKHeR
イフ ホブ ビヘル


 

英語だと
I have books

 

イディッシュ語で、名詞の複数形を表すルールは英語よりも複雑なのだが・・・

複数形にする場合、単数名詞の最後に「何らかの文字をくっつける」という点では英語と同じ。

 

単数形のבוך(BuKH・ブフ)は、
複数形になるとביכער(BiKHeR・ビヘル)に変わる。

単数名詞の最後にער(eR・エル)がくっついているね。

これは、英語の「-s」に相当する。

 

まぁ、בוך(BuKH)の単語にある母音「u」
複数形だとביכער(BiKHeR)で、母音「i」に変わっている面もあるが・・・

 

英語だと、例えば「bodyの複数形が「bodies」
語末の「y」が複数形だと「i」に変化しているようなものだと思えば・・・(震え声




本を持っていない場合

否定文を作る方法は、英語と少し異なる。

否定する例文を見てみましょう


איך האָב ניט קײן בוך
iKH HoB NiT KeyN BuKH
イフ ホブ ニト ケイン ブフ


 

上記のイディッシュ語を英単語で並べると
I have not not book

一方、英文法に沿って英単語を並べると
I do not have a book

 

英語の場合は、動詞「do」を先にもっていって、その後に否定詞「not」を入れている。
イディッシュ語の場合は、動詞「do」は不要。
「have」の後に否定詞「not」を置く形。

 

またイディッシュ語の場合、「not」みたいな否定詞を2回以上使うこともある。
否定詞が2回以上出てきても「二重否定」にはならず「単なる否定」になるというややこしい文法もあるのだが・・・

 

こまけぇこたぁいいんだよ!! (2回目

 

否定する方法は英語と異なるけど・・・

動詞の後に否定詞「not」の単語を置くという面では英語と一致する。

 

なおヘブライ語の場合は否定詞を動詞の「前」に置くんですけどね。初見さん。

自分は本を持っているか質問する場合

記憶喪失になった時しか使わなそうな例文ですが・・・


האָב איך א בוך?
HoB iKH a BuKH
ホブ イフ ア ブフ


 

上記のイディッシュ語を英単語で並べると
Have I a Book?

一方、英文法に沿って英単語を並べると
Do I have a book?

 

英語の場合は、語頭に動詞「do」を置いて、その後に
「主語→動詞」を続ける。

イディッシュ語の場合は肯定文にあった「主語→動詞」の語順を逆にして「動詞→主語」にするだけ
英語で言う「do」は不要。

 

英文法とは異なるけど、「語頭に動詞を置く」という面では英語と共通している。

 

なお、ヘブライ語の場合は動詞を語頭においても疑問の意味にはならない。
書く時は、語末に「?」を付けるだけ。
しゃべる時は、イントネーションの変化で疑問文を示す。

 

または語頭に、質問専用の
הַאִם(Ha’iM・ハイム) ※現代ヘブライ語の場合

を付けることもあるけど、必須ではない。

 

ヘブライ語では疑問文を作るルールが「ゆる~い」けど、イディッシュ語はハッキリしている。

質問する時は、語順を入れ替えてハッキリ示す!

と言う面では、英語と似ていますね(無理やりこじつけ

他に、英語と似ている例文

物の所有を示す場合


דעם טאַטנס בוך
DeM TaTNS BuKH
デム タトゥンス ブフ


 

英語だと
The fater‘s book

faterの後に「’s」を付けて物の所有を表す方法はイディッシュ語でも同じ。

名詞の後にס(s)を付けるだけ。
英語で言う「'(アポストロフィー)」は不要

前置詞を用いた「~へ行く」構文


איך גײ אין דער שול
iKH Gey iN DeR SHul
イフ ゲイ イン デル シュル


 

英単語で並べると
I go in the school

英文法で書くと
I go to school

 

運動の方向を表す「~へ」の表現方法が異なるだけ。
英語だと「to」のところが、イディッシュ語だと「in the」になっている。

 

例文だと
אין דער(iN DeR・イン デル)
の部分

 

英語とイディッシュ語で共通するのは、
「動詞を先に置く、前置詞はその後!」

 

とにかく動詞は先に置け!
という心構えは英語もイディッシュ語も同じですな。

同様に前置詞を使った例文


זײ זיצן בײַם ים
Zey ZiTSN BayM YaM
ゼイ ズィツゥン バイム ヤム


 

英語だと
They sit by the sea
「彼らは、海のそばに座る」

 

「座る」という動詞を使った場合、英語もイディッシュ語も同じ音になる前置詞
בײַ(Bay・バイ)
を使う。

 

例文にある
בײַם(BayM・バイム)

は、「前置詞+定冠詞」で合体した形。
英語だと「by the」「bythe」と合体させるようなもの。

人に物を与える例文


איך גיב דיר אַ בוך
iKH GiB DiR a BuKH
イフ ギブ ディル ア ブフ


 

英語だと
I give you a book

「君に」に相当する「you」はイディッシュ語だとדיר(DiR・ディル)

「君は」を意味するדו(Du・ドゥ)が「君に」の意味になる時は
דיר(DiR・ディル)の形へと変化する。

 

人称代名詞が格変化する面では、英語もイディッシュ語も同じ。

「~は…です」構文


ישׂראל איז אַ נײַ לאַנד
IsRo’eL iZ a Nay LaND
イスロエル イズ ア ナイ ランド


 

英語だと
Israel is a new country
「イスラエルは、1つの新しい国です」

 

be動詞を使って「~は…です」を表現している。
SVC構文ですな。

 

נײַ לאַנד(Nay LaND・ナイ ランド)
の部分だけ、英語と音がずれているが・・・

נײ(Nay・ナイ)と英語の「new」は発音がかなり近い。
「new」の[ju]の部分が、イディッシュ語では[ay]の違いだけ。

 

לאַנד(LaND・ランド)は、英語の「land(土地)」を連想させる単語

英語の「土地」は、イディッシュ語だと「国」の意味になる。

ヘブライ語も「土地」で「国(=イスラエル)」を意味する単語がある。

以下がヘブライ語の「土地」を意味する単語。
אֶרֶץ( eReTS・エレツ ) 土地、国(=イスラエル)

 

こういう単語の意味の捉えかたの面では、ヘブライ語とイデッシュ語は共通しているのかもしれませんね。

気候を表す非人称構文

要するに、主語が無い文


עס איז קאַלט
eS iZ KaLT
エス イズ カルト


 

英語だと
It is cold
「寒いです」

 

主語は「天気」だと思われるが、英語では主語を「不明」としている。
主語が分からんので、とりあえず「it」で代用する面ではイディッシュ語も同じ

 

イディッシュ語の場合は
עס(eS・エス)で不明な主語の代用として使っている。

その時に使う動詞はbe動詞・三人称・単数「is」

それは、イディッシュ語でも同じ

 

非人称構文の表し方って、英語と全く同じなのね。

まずは英文法に近いイディッシュ語例文から覚える

既有知識を活用した語学

頑張らないで語学をするためには既有知識(きゆうちしき)を活用しよう(提案

新しい事を覚える時の負担を減らす

イディッシュ語を学ぶ場合、それに近い言語
例えば英語やドイツ語の知識があれば、できるかぎり利用する。

 

初めてのイディッシュ語例文を読んで
「あ、ここ、進研ゼミ英語で出たところだ!」

ってピーンとなった単語や例文「だけ」ピックアップしてブログ記事化してみた。

 

まぁ、ヘブライ語の場合は英語と全然違うので既有知識が使いにくいんだけど・・・
それでも「あ、この文法は覚えやすい!」っていう部分が見つかると思う

 

語学書のページ通りに進める必要は無い!
語学書をパラパラとめくって、覚えやすい箇所だけピックアップしてノートにメモしておく。

 

ノートにメモした単語や例文だけ覚える。
他の部分は、覚えにくいから後回し!

 

・・・・というのが、私の語学方針。

イディッシュ語講座~?

気が向いたら、追加する予定
(追加するとは言ってない)