アラビア語の文法書では「فعل(ファアラ)」を使って単語の成り立ちを説明している。
その「فعل(ファアラ)」の使い方を説明する。
前回の内容
アラビア語における「三語源」の表面的な事だけ、さら~っと紹介した。
三語源から動詞を作る方法の復習
語学は繰り返しが大切だゾ~
一番簡単な動詞の作り方
アラビア語の単語は、3個の子音がベースになる
その3個の子音から動詞を作る方法の1つが以下。
3個の子音すべてに母音「ア」を付ければ動詞になる。
「KTB」の場合
「KTB」は3個の子音から成っている。
3個の子音すべてに母音「ア」を付けると「KaTaBa(カタバ)」になる。
「彼は書いてしまった」という動詞になる。
「DRS」の場合
「KTB」と同様、「DRS」も3個の子音から成っている(=三語源)
3個の子音すべてに母音「ア」を付けると「DaRaSa(ダラサ)」になる。
「彼は学んでしまった」という動詞になる。
「JLS」の場合
「JLS」の子音全部に、母音「ア」を付けると「JaLaSa(ジャラサ)」になる。
「彼は座ってしまった」という動詞になる。
「F’L」の場合
ここで、本記事でメインとなる「فعل」の三語源を紹介する。
なお、「ع (’)」は無音の子音。
(のどからしぼり出す音)
「F’L」の子音全部に、母音「ア」を付けると「Fa’aLa(ファアラ)」になる。
「彼は~してしまった」という動詞になる。
・・・その三語源となる
فعل
(「F」 + 「’」 + 「L」)
は、アラビア語の単語の成り立ちを説明する時に頻繁に使われる子音の組み合わせにもなっている。
文法説明としての「فعل(ファアラ)」の使い方
単語をいちいち図示するのは面倒!
繰り返しになるが、もう一度「KTB」を流用する。
三語源「KTB」の子音すべてに母音「ア」を付けると「KaTaBa(カタバ)」になる。
すると「彼は書いてしまった」という意味の動詞になる。
これを図で説明すると以下になる。
・・・だけど、この説明方法は面倒くさい!
1つの単語の「型」を説明するごとに、別々の図を作らないとアカン!
言葉で説明すると以下のように長文になってしまう
・一文字目 → 三語源の1つ目の子音+母音「ア」
・二文字目 → 三語源の2つ目の子音+母音「ア」
・三文字目 → 三語源の3つ目の子音+母音「ア」
「فعل(ファアラ)」を使って説明すると楽
「فعل(ファアラ)」を使って、三語源から動詞を作る方法を説明すると以下になる
この単語は「فَعَلَ」型の動詞である。
・・・と文法書では一行で済ませる。
アラビア語文法の伝統的な説明方法
「فعل(「F」+「’」+「L」)」の3個の子音を使って
「F」 → 三語源の1つ目の子音
「’」 → 三語源の2つ目の子音
「L」 → 三語源の3つ目の子音
と仮想する。
例として「فَعَلَ」型の動詞を作ってみる。
三語源「KTB」を「فَعَلَ」型にあてはめると、どんな単語ができるのか?
仮想的な子音から、実際の子音へ置き換える
「فعل(「F」+「’」+「L」)」は仮で決めた子音。
「فَعَلَ」型と考えて、仮想的な子音を分解すると以下になる。
次に、仮想的な子音を実際に使う子音へ置き換える。
三語源「KTB」の場合だと以下になる。
言葉で説明すると以下になる
1文字目の仮想的な子音ف → 実際の子音ك
2文字目の仮想的な子音ع → 実際の子音ت
3文字目の仮想的な子音ل → 実際の子音ب
結果として「KaTaBa(カタバ)」という子音+母音の組み合わせができる。
以上が、「فعل(ファアラ)」を使った単語の説明でした。
「فعل(ファアラ)」の使用例
Ka-TiBun(作家)の場合
前に紹介した「Ka-TiBun(カーティブ)」の場合・・・
上記は
「فَاعِلٌ」型の名詞
Fa- ’i Lun(ファー イ ルン)
の一言で説明できる。
別の「فَاعِلٌ」型の名詞を作ってみる
例えば「座る」を意味する三語源「JLS」をもう一度取り上げる。
三語源「JLS」を「فَاعِلٌ」型の名詞の名詞にすると
「座っている男の人」という意味の名詞になる
「Ja-LiSun」は「ジャーリス」と読む。
他の「فَاعِلٌ」型の名詞
今度は「運ぶ」を意味する三語源「حمل(H M L)」
一文字目の「H」はのどから強く息を出す「ハ」ね。
「حمل(H M L)」を「فَاعِلٌ」型の名詞にすると
حَامِلٌ
Ha- Mi run(ハーミル)
になる
上記は「運んでいる」という意味の名詞。
また「妊婦」の意味もある。(「赤ちゃんを運ぶ人」と考える)
別のタイプの名詞も作ってみる
上記は「مَفْعُولٌ」型の名詞に相当する。
「MaF.u-Lun(マフウール)」と読む
さて、今度は「開ける」を意味する三語源「فتح(F T H)」を紹介しようか。
三文字目の「H」は同様に、のどから強く息を出す「ハ」ね。
これを「مَفْعُولٌ」型の名詞にすると「مَفْتُوحٌ」になる。
「MaFTu-Hun(マフトゥーフ)」と読む
「開けられた」という意味の名詞になる。
まとめ
「فعل(ファアラ)」は便利!
「فعل」という子音の組み合わせを使えば、アラビア語の複雑な動詞変化も簡単に説明できる。
参考までに、完了体の動詞活用(の一部)を「فعل」で書くと以下になる。
例えば「私は~してしまった」という動詞は
فَعَلْتُ型
「Fa’aLTu(ファアルトゥ)」
もし「私は書いてしまった」の単語を作りたい場合,三語源「KTB」を当てはめると・・・?
كَتَبْتُ
「KaTaBTu(カタブトゥ)」
になるなー、って分かる。
ね?簡単でしょ?
「فعل(ファアラ)」の単語は覚えよう!
アラビア語に限らず、外国語の単語は何万個もあるんですが・・・
その中でもかなり高頻度で出てくるのが
فَعَلَ
「Fa’aLa(ファアラ)」
「彼は~してしまった」という完了を表す動詞。
同時に、アラビア語単語の「型」を識別する仮想的な単語としても使われる。
アラビア語を勉強しようかな~?
と考えている変わり者兄貴は、予習として
فعل
「F」+「’」+「L」
という子音の組み合わせ(三語源)を覚えても損はないよ!