アラビア語の紹介で良く聞く「三語源」って何よ!?

アラビア語の多くの単語は、三つの子音から成り立っているぞ!
・・・という自慢話が多い。

その一例を「書く」を意味するكتب(KTB)」を使って説明する。




アラビア語の文字の読み方

以下を読んで、どうぞ

アラビア語~残り6個のアルファベットの読み方(語中形)

そもそも「三語源」って何

「三語源」=3つの子音

以下の例だと、「K」「T」「B」3つの子音「三語源」に相当する。

読む方向は←←←←です。
念のため

で、上記のようにアラビア語は3つの子音を組み合わせて単語を作る。
この時に選定された3つの子音を「三語源」と呼ぶ

「K」「T」「B」から単語が作れる

先ほど紹介した「K」「T」「B」は、あくまでも「三語源」
母音を持たない、子音だけの「KTB」というアラビア語単語は存在しない

 

しかし、「KTB」自体には「書く」の意味が込められている。
例えると,「音を持たない漢字」のようなイメージ

 

「KTB」の子音すべてに母音「ア(a)」を付けたのが以下。

上記の「KaTaBa(カタバ)」「書く」という意味を持つ

三語源「KTB」を動詞化したモノ。

 

はぇ~…三語源の子音すべてに母音「ア(a)」を付けると動詞になるんですねぇ~

・・・というのが「三語源」の考え方

三語源「KTB」を使った別の単語を紹介

アラビア文字を色分けする為、以降のアラビア語は手書きで示す。
(PCでアラビア文字に色を付けると、アラビア文字が途切れてしまうので・・・)

「Ka-TiBun」で「作家」

「Ka-TiBun」「カーティブ」と呼ぶ。
(最後の”un”は省略されることが多い)

 

「KTB」の「K」と「T」の間に、1つのアラビア文字が挿入されている。

挿入されているアラビア文字がا(アリフと呼ぶ。とかLではない。)
「K」の後にاが来ると、母音を長く発音する

 

まとめると


1文字目 → 三語源の子音1「K」+母音「ア」
2文字目 → 追加した子音「ا (アリフ)
3文字目 → 三語源の子音2「T」+母音「イ」
4文字目 → 三語源の子音3「B」+母音「ウン(発音しない)」


 

三語源「KTB」を「Ka-TiBun」にすると「書く」「~する人」の意味が加わる。
文法的に言うと「能動分詞」とか「行為者名詞」

意味としては「書く人」、すなわち「作家」の意味になる。

 

こういう子音と母音の組み合わせを図に表すと以下になる

他の三語源でも、上記のように子音と母音を並べれば「~する人」としての単語に変身する。




「MaKTaBun」で「机」

「MaKTaBun」「マクタブ」と呼ぶ。
(最後の”un”は省略されることが多い)

「KTB」の「K」の前に「M」が挿入されている。

 

まとめると以下になる。


1文字目 → 追加した子音「M」+母音「ア」
2文字目 → 三語源の子音1「K」
3文字目 → 三語源の子音2「T」+母音「ア」
4文字目 → 三語源の子音3「B」+母音「ウン(発音しない)」


 

三語源「KTB」を「MaKTaBun」にすると「書く」「場所」の意味が加わる。
文法的に言うと「場所名詞」と呼ぶ。

 

意味としては「書く場所」、すなわち「机」の意味になる。
更に派生して「職場、オフィス」の意味にもなる

 

子音と母音の組み合わせとしては、以下になる。

「KiTa-Bun」で「本」

「KiTa-Bun」「キターブ」と読む
(最後の”un”は省略されることが多い)

今度は、三語源「KTB」の2つ目の「T」の後にا(アリフ)が追加されたパターン


1文字目 → 三語源の子音1「K」+母音「イ」
2文字目 → 三語源の子音2「T」+母音「ア」
3文字目 → 追加した子音「ا  (アリフ)
4文字目 → 三語源の子音3「B」+母音「ウン(発音しない)」


 

「KiTa-Bun」は「本」の意味になる。

単語の成り立ちを説明しようとするとかなり複雑になる。

一行で言うならば、第三形動詞を動名詞にした単語。
・・・まぁ、こんなものもあるんだなー、っていう感じで読み飛ばして欲しいゾ~

 

子音と母音の組み合わせは、以下になる。

「KiTa-Batun」で「書くこと」

「KiTa-Batun」「キターバ」と読む
(最後の”tun”は、基本的に読まない)

先ほど紹介した「本」を意味する「KiTa-Bun(キターブ)」の最後に「tun」がくっついた形。

 

これは、「書く」を意味する動詞「KaTaBa(カタバ)」名詞化したもの
文法的に言うと「動名詞」とか「マスダル」と呼ぶ

「KiTa-Batun」は「書くという事」の意味になる。
英語だと「writing」に相当する。

 

子音と母音の組み合わせは、以下になる。

「MakTu-Bun」で「手紙」

「MakTu-Bun」「マクトゥーブ」と読む
(最後の”un”は省略されることが多い)

三語源「書く」に「~されたモノ」の意味が追加される。
文法的に言うと「受動名詞」

 

「書かれたモノ」、この場合は「手紙」の意味になる。

 

子音と母音の組み合わせは、以下になる。

まとめ

三語源から色々な単語が派生する

「書く」を意味するكتب(KTB)」から、いろいろな単語が出来上がる。

色々な単語の根っこが「KTB」

「K」「T」「B」の3つの単語が根っこなので、「三語源」と呼ぶ

アラビア語学習者は三語源を意識する

新たに出てきたアラビア語の単語を覚える時は、まず

「この単語の三語源は何か?」

と考える。(アラビア語学習者あるある)

 

まぁ、初めて見る単語から三語源を導くのは難しいんですが・・・
導けたとしても、意味が類推できないことが多い

 

でも、頭の中で「あっ!この単語の三語源は○○○だ!」
と分かると嬉しい。

そんなアラビア語の三語源のお話でした。

【参考】ヘブライ語にも三語源があるよ

ヘブライ語における三語源を説明してみた