ウェールズ語は、ヨーロッパ言語によくある名詞や形容詞の「格変化」が無い!
属格すら無い!英語と同じだな!
でも前置詞の後に人称代名詞が来ると、前置詞の形が変化する。
本記事では、主に「話し言葉」でよく使われる6つの前置詞の変化形を紹介する。
目次
前回の記事
biim兄貴ことbûm(ビーム)
ウェールズ語基礎1500語
ウェールズ語の人称代名詞
全部で7つある
赤字は、注意すべき箇所だゾ~
表の右側にある
fi(ヴィ)やfe(ヴェ)
は、前に来た単語によって使われるスペル。
ちなみに、「彼」の基本形 e(エ)は、前置詞の後では使われない模様。
あと、「彼ら」を意味するnhwは「ヌフ」ではなく「ヌゥ」と読む。
(例外の読み方)
「ヌッ」ではない!
三人称単数だけ「性」の区別あり
ウェールズ語の「性」は「男」と「女」の2つだけ
「中性」なんていらんかったんや!
英語の場合の前置詞の扱い
人称代名詞が「目的格」になる
英語には、例えば for(~の為に)という前置詞がある。
forの後に人称代名詞 (例:he) が来ると、人称代名詞が「目的格」になる。
※前置詞 for の形はそのままです。念のため
ウェールズ語の代名詞に合わせて書くと?
以下になる
for me (私の為に)
for you (君の為に)
for him (彼の為に)
for her (彼女の為に)
for us (私たちの為に)
for you (アナタたちの為に)
for them (彼らの為に)
なお、英語では
for it (それの為に)
の表現もあるが、ウェールズ語には「it」に対応する人称代名詞が無い!
なので、「性」に合わせて
「for him」 か「for her」
のどちらかで書き表すしかない。
ウェールズ語の場合の前置詞の扱い
前置詞が人称変化する
英語の場合は、以下だった
・前置詞の形はそのまま
・後ろに人称代名詞が来た場合「目的格」になる
ウェールズ語の場合は、以下になるゾ~
・前置詞の形が人称変化する (しないケースもある)
・後に来た人称代名詞はそのまま (一部は子音が追加される)
am(~の為に)で説明
英語のforは、ウェールズ語だとam(アム)になる
am(アム)の後に人称代名詞が来た場合、以下のように書く
amdana i (アムダナ イ)
amdanat ti (アムダナ・ティ)
amdano fe (アムダノ ヴェ)
amdani hi (アムダニ ヒ)
amdanon ni (アムダノ・ニ)
amdanoch chi (アムダノ・ヒ)
amdanyn nhw (アムダニ・ヌゥ)
↑の意味は、上から順番に
・私の為に
・君の為に
・彼の為に
・彼女の為に
・私たちの為に
・アナタたちの為に
・彼らの為に
発音の補足
前の単語の最後の子音と次の単語の最初の子音が同じ場合、子音を1つにまとめて読む事が多い。
例えば、「君の為に」を意味する
amdanat ti (アムダナ・ティ)
↑を、文字通りに読むと以下になる
amdanat ti (アムダナトゥ ティ)
これだと、子音「t」が連続して読みにくいよね?
そこで、子音「t」を1つにまとめて読む
amdanat ti
のスペルは、発音上では↓になる
amdanati (アムダナティ)
人称変化する前置詞
よく使われるのは6つ
ウェールズ語の教科書でよく紹介されるのは↓
am(アム)=~について、~の為に
i(イ)=~に、~へ
o(オ)=~から
ar(アル)=~の上に
at(アト)=~に向かって
gan(ガン)=~と一緒に
他にも、人称変化する前置詞があるけど・・・・
dan(ダン)=~の下に
wrth(ウルス)=~のそばに
dros(ドロス)=~を超えて
上記で挙げた前置詞の人称変化はあまり出てこないので、本記事ではカット!
良く出てくる6つの前置詞の人称変化形だけ紹介するゾ~
前置詞am(アム)の場合
am(アム)=~について、~の為に
「彼」の場合は、
amdano e(アムダノ エ)
ではなく
amdano fe(アムダノ ヴェ)
であることに注意!
「彼」を意味する人称代名詞 e(エ) の前の単語の最後が母音で終わる場合は fe(ヴェ) になる模様。
他に紹介する5つの前置詞も同様。
前置詞i(イ)の場合
i(イ)=~に、~へ
「私」の場合は
i i(イ イ)
ではなく
i fi(イ ヴィ)
である事に注意!
「私」を意味する人称代名詞 i(イ) の前に、前置詞 i(イ) が来ると
「イイ」と連続して読みにくい!
なので、人称代名詞 i(イ) の方を fi(ヴィ)にする
なお、逆に人称代名詞 i(イ) の後に前置詞 i(イ) が来た場合は、そのまま書く
例文を以下に挙げるゾ~
Fe es i i Gymru
ヴェ エス・ィ イ ガムリ
私は、ウェールズに行きました
3つ目の i(イ) は「私」を意味する人称代名詞
4つ目の i(イ) は「~へ」を意味する前置詞
「i i(イ イ)」という変なスペルになっちゃうけど、ウェールズ語としてはOKらしい
前置詞o(オ)の場合
o(オ)=~から
前置詞ar(アル)の場合
ar(アル)=~の上に
前置詞atの場合
at(アト)=~に向かって
前置詞gan(ガン)の場合
gan(ガン)=~と一緒に
方言や書き言葉だと、少し違う変化をする
いろいろな前置詞の変化形がある
先ほど説明したのは、一応標準となっているウェールズ「南部」の言い方。(話し言葉)
ウェールズ「北部」の方言とか、書き言葉になると前置詞の「人称変化形」が少し異なる。
細かく説明すると「超」長くなるんで・・・
本記事では「~と一緒に」を意味する前置詞 gan(ガン) だけ紹介するゾ~
北部方言の場合
左側が,北部方言(話し言葉)
ウェールズ北部の「彼」は fe(ヴェ) ではなく fo(ヴォ) になる
書き言葉の場合
左側が、書き言葉
「書き言葉」の場合、人称代名詞「アナタたち」と「彼ら」の形が少し異なる
話し言葉 chi(ヒ) → 書き言葉 chwi(フゥィ)
※書き言葉でもchi(ヒ)と書く事もある
話し言葉 nhw(ヌゥ) → 書き言葉 hwy(フゥィ)
また「書き言葉」は「人称変化形」した時の「語尾」で「人称・数」をハッキリ区別する。
話し言葉では、「私たち」「彼ら」両方とも人称語尾は
-n (ン) になっているが・・・
書き言葉だと
「私たち」の人称語尾は -m (ム)
「彼ら」の人称語尾を-nt (ント)
にする事で、「私たち」「彼ら」をハッキリ区別している。
前置詞の人称変化まとめ
英語の場合
・前置詞の形はそのまま
・後ろに人称代名詞が来た場合「目的格」になる
ウェールズ語の場合
前置詞の後に人称代名詞が来た場合、人称変化することが多い。
一部の前置詞は、人称変化しない。
例:trwy(トルウィ)=~を通して
なお、前置詞の後に来た人称代名詞の形は、基本的にそのままだゾ~
「私」や「彼」は形がちょぴっとだけ変わることもあるけど、誤差だよ誤差。
動詞の活用も整理してみた