אָיוは「aYV(アイヴ)」と読みそうだが、実は「aV(アヴ)」と読む。
「彼の~」を意味する接尾人称代名詞で出てくるレアな表記法。
前回の復習
「אָיו」の発音
aV(アヴ)と読む
אָיוを文字通りに読むと「aYV(アイヴ)」
だけど、実際は「aV(アヴ)」と発音される。
2文字目のי(Y)は発音しない。
י(Y)を発音しない理由
私の推測ですが・・・
例えば、以下の単語がある
בָּנָיו(BaNaV・バナヴ)=彼の息子たち
「BaNaYV(バナイヴ)」ではなく「BaNaV(バナヴ)」と発音する。
それだったら、י(Y)を抜いた בָּנָו(バナヴ・BaNaV)
のスペルでいいじゃん!
ってなるよね?
だけど、ヘブライ語はどんな文字を使う言語だっけ?
ヘブライ語で使う文字は子音しか無い (←そこ重要)
母音記号とかダゲシュは、あくまでも「補助」として付けた「読み仮名」
子供とか外国人向けに書かれたヘブライ語なら、母音記号が親切に振ってある。
日本語で言うと、小学生や外国人向けの本に漢字のフリガナが付いているようなモノ。
בָּנָיו(BaNaV・バナヴ)
は、ネイティブ向けだと母音記号がダゲシュを使わずに
בניו
と表記する。
先ほどי(Y)は要らなくね?
と言った。
その通りに反映すると、以下のスペルになる
בנו
上記だと、「BaNu ?」「BaNo ?」と読み間違える可能が高い。
なぜならוは、以下2つの読み方が考えられる文字だから。
・子音(V)
・母音「ウ」or「オ」であることを示すマーク
単語の最後のוが子音「V」である事を明示するために、
発音しない文字יをわざわざ付けて
בניו
にしてあげている。
そうすれば
「BaNiV?」「BaNaV ?」
と推測できる。
「BaNaYo」の可能もあるけど・・・
「BaNu ?」「BaNo ?」と勘違いする事は防げる。
更に言うと、単語の最後が
יו
の文字で終わる場合、大抵は「彼の~」を意味する単語になる。
発音は「~aV」と決まっている。
そういう知識があれば
בניו
は「BaNaV」って読むんだな~
ってことが一発でわかる。
だから
בָּנָיו(BaNaV・バナヴ)
の3文字目に、発音しないיをあえて付け加えている。
以上が、私の推測内容。
(間違っているかもしれないけど)
正確な理由が知りたい兄貴はヘブライ語の専門書を読んで、どうぞ。
語末に「אָיו(aV)」が来る単語
「彼の~」を意味する接尾人称代名詞
「彼の~」を意味する単語は、元々はוֹ(o・オ)
וֹが、単語の最後にくっつくと「彼の~」の意味を付け加える。
その「彼の~」の部分を接尾人称代名詞と言う。
カッコ良く文法的に言うと、三人称・男性・単数の接尾人称代名詞
以下の単語に「彼の~」がくっつく場合、「彼の~」の形がיו(aV・アヴ)変わる事がある。
・名詞の男性形
・前置詞
単語の最後にוֹ(o)が付くと発音しにくい単語は、יו(aV・アヴ)の音に変えているんじゃないかな?(適当)
名詞の男性形
אָבִיו(aViV・アヴィヴ)=彼の父
上記は、男性・単数形
רַגְלָיו(RaGLaV・ラグラヴ)=彼の両足
上記は男性・双数形
足は「2」本あるので、「双数形」になる。
עֵינָיו(eNaV・エナヴ)=彼の両目
אֶחָיו(eKhaV・エハヴ)=彼の兄弟たち
上記は男性・複数形
סוּסָיו(SuSaV・スサヴ)=彼の馬たち
אֲבוֹתָיו(aVoTaV・アヴォタヴ)=彼の父たち
「彼らの父たち」ではなく「彼の父たち」である事に注意
「父たち」は、聖書に出てくる偉い人たち(複数)を指すことが多い。
前置詞
עָלָיו(aLaV・アラヴ)=彼の上に
אֵלָיו(eLaV・エラヴ)=彼へ
לְפָנָיו(LeFaNaV・レファナヴ)=彼の前に
אַחֲרָיו(aKhaRaV・アハラヴ)=彼の後に
新たな発音ルール~シェヴァが二連続で並ぶ場合