サウジアラビアの国旗に書かれているアラビア語を文法的に説明してみた

アラビア語学習者の立場で、サウジアラビア国旗の内容を文法的に説明してみた。
異論は認める!




前回の記事

サウジアラビアの国旗に書かれているアラビア語を解読してみた

文法的に説明するアラビア語

母音記号ありのアラビア語

サウジアラビア国旗にあるアラビア語は2つの文から成っている。


ََلَا إِلَٰهَ إِلَّا ٱللَّٰهُ
مُحَمَّدٌ رَسُولُ ٱللَّٰهِ


【注意】←←←へ向かって読む

カタカナ読み

ラー イラーハ イッラー ッラーフ
ムハンマドゥン ラスール ッラーヒ

【注意】カタカナ読みは→→→に向かって読んで♡

意味

アッラーの他に神なし

ムハンマドはアッラーの使徒なり

アッラーの他に神なし

絶対否定

لاَ(ラー) の後に 冠詞なしの「限定・対格」名詞を続けると
「~は一人も居ない」
と言う風に、存在を強く否定する。

 

ここでは、「(単なる)神」の存在自体を否定している。

ラオウ風に言うと


うぬぅ、(アッラー以外に)神なぞ一人も存在しないわ!!


みたいなイメージ。

接続詞「~を除いて」

 

接続詞إِلَّا(イッラー)の前に来た文によって、後の単語の「格」が変わる。

إِلَّا(イッラー)の前の文によって、3パターンに分かれる。


1.肯定文で、完結している
2.否定文で、完結している
3.完結していない


1.の場合は、إِلَّا(イッラー)の後に来た単語が「対格」になる
2,3の場合は、文の「格」に従う。

 

今回の例文は2.だと思われる。
なのでٱللَّٰهُ(アッラー)主格になる。

(主格なので、単語の最後の母音を「ウ」にする)




ムハンマドはアッラーの使徒なり

イダーファ表現

 

「イダーファ表現」とは、「~の…」に相当する。

 

アラビア語には「~の…」に対応する単語が無い。
その代わりに、語順名詞の格・定性(限定or非限定)で区別している。

 

ここでは「使徒」+「アッラーの」「アッラーの使徒」と表現している。

「AのB」は、アラビア語だと「B→A」の語順になる。

 

もっと詳しい「イダーファ表現」の説明は、以下サイトが参考になる。

図解 アラビア語文法

主語と述語

 

アラビア語は、2つの単語(or文)を「~である」で結びつける単語が無い
過去形はあるんだけどね

英語で言うと、「is」が無いようなモノ

 

じゃあ、どうやって結び付けるの?
簡単。そのまま並べるだけ!

 

ここでは「ムハンマド」と「アッラーの使徒」の2つの単語(or文)がある。

これを


「ムハンマド」「アッラーの使徒」


の順番に並べるだけで


「ムハンマド」+「は」+「アッラーの使徒」+「である」


と表現できる。

 

上記のような文法を持つ言語は別に珍しくない。
ロシア語やインドネシア語も同様。

「こころぴょんぴょん」のインドネシア語を分析してみた

アラビア語に対して誤解して欲しくない事

アラビア語だけが特別な言語ではありません!

私はアラビア語学習者なんで、サウジアラビア国旗に書かれているアラビア語を文法的に説明できる。
細かい箇所で間違っているかもしれないけど

 

だけど、アラビア語が特に難しい言語とは思っていない。

また、アラビア語が特別に素晴らしい言語なんだ!
という宗教的な賞賛なんて無い!
イスラム教徒は、アラビア語を褒めたたえるんだろうけど

 

アラビア語は、韓国語とか、他の色々な言語と同じ習得難易度だと思っている。

韓国語とアラビア語の習得難易度は同じである理由を説明してみた【発音編】

そしてアラビア語で表現できる内容は、他の言語でも表現できる。
だって、「ことば」で「無限の文」を表せるんですもん。

紹介した文法は、あくまでも一例ね!

本記事で説明した文法は、あくまでもアラビア語という「ことば」の一例。
他の言語だと、また違った文法の見方になる。

私は英語だけでなくアラビア語、韓国語、中国語、ロシア語、ラテン語、古典ギリシャ語、ペルシア語、ウェールズ語、その他色々な言語・・・に触れてきた。

あ、インドネシア語はあまり学んでいないな。
すまんな。

 

で、色々な言語の文法を学んで覚えた上でアラビア語文法に触れると

「あ~アラビア語って、特別な文法を持つ言語じゃないんだ~。どこにもある言語と同じじゃん!」

ってなる。

 

逆に、よほどの特別な文法を持つ言語ってあるんですかねぇ?
「単語」を言語学では「語」と呼ぶ原因を作ったエスキモー語?

いやいや、エスキモー語も普通の言語でしょ?
エスキモー語を学んでみようか~

 

って考えるアラビア語学習者は、絶対に語学マニアの素質があるよ!
私の事ですね。ハイ

1つの外国語「だけ」を熱心に学ぶのは危険

アラビア語に限らず、1つの外国語「だけ」を熱心に学んでいる兄貴が多いと思う。
例えば英語とか・・・

 

そういう兄貴は、語学の先生とか、現地の人からは

「わぁ~!一生懸命学んでいるね~」

と歓迎される

 

その反面、言語に対する視野が狭くなってしまう。

自分が学んでいる言語「だけ」を基準に「ことば」について語ってしまう。
まるで、他の言語を排除するかのように・・・

その結果、戦争が起きるんですね、分かります。

 

日本人が学ぶ外国語は「英語のみ」が圧倒的。
だってビジネス(=金儲け)に結びつく言語だもーん。

 

だけど英語・英語・英語!
の圧力で苦しんでいる人もいると思う。(私です)

 

そういう兄貴は、たま~には気分転換に英語以外の言語も勉強してみたら?

気分転換に学ぶ外国語なので、どうせマスターできないでしょ?
だったら、日本人なら、誰もがやらない言語を選んでみては?

その例としてアラビア語でも学んでみたら?
決してステマではない!

 

他に、どんな言語があるのかな~
って興味を持った兄貴は、以下が参考になるよ!

色々な言語で翻訳された「こころぴょんぴょん」を解読してみた