古典ヘブライ語に出てくるタアメー・ハミクラーの紹介

聖書に出てくるヘブライ語では、母音記号やダゲシュ以外にもいろいろな符号が付きまくる。

現代ヘブライ語を学んだ兄貴でも「うぉっ!」ってなるタアメー・ハミクラーを紹介する。




前回の復習

現代ヘブライ語の「満ちた表記」で出てくるוו(V)とיי(Y)の発音

タアメー・ハミクラーって何?

ヘブライ文字の上下に付く符号

ヘブライ文字のに付く例として、以下がある。

上記の青い部分「タアメー・ハミクラー」

 


לֹ֥א צָחַ֖קְתִּי
ロ ツァハクティ
Lo TsaKhaKTi
私は、笑わなかった


 

 

ヘブライ文字のに付くケースもある

 

上記の青い部分「タアメー・ハミクラー」

 


לְזַרְעֲךָ֗ נָתַ֨תִּי֙
レザルアハ ナタッティ
LeZaR’aKha NaTaTTi
私は、あなたの子孫に与えた


3つのどれかの働きを持つ

3行で書くと、以下になる。


1.音符、リズム

2.アクセント位置

3.句読点


 

聖書の意味を理解する時に、重要となるのは
2の「アクセント」と、3の「句読点」

 

1の「リズム」は、意味をつかむ上では重要ではない。
(音楽的には重要だと思うけど)

注意点

「タアメー・ハミクラー」は母音や子音とは全く関係ない符号

 

今まで習った「母音記号」や「ダゲシュ」とは別物です!

現代ヘブライ語で出てくる「ニクダー」や「ダゲッシュ」って何?

古典ギリシャ語のアクセント記号に似ている

古典ギリシャ語って何?

「こころぴょんぴょん」の古典ギリシャ語訳を分析してみた

古典ギリシャ語の「アクセント記号」

ヘブライ語の「タアメー・ハミクラー」は、古典ギリシャ語の「アクセント記号」に似ている。

 

古典ギリシャ語のα(アルファ)に付いている符号に注目~


ά 鋭アクセント
重アクセント
曲アクセント
無気記号
有気記号
下書きイオタ


 

古典ギリシア語の特殊な記号について

 

古典ギリシャ語を勉強したことのある兄貴なら、上記の記号は見覚えがあると思う。

全部で27種類ある

聖書を読むときに関係があるのは9個

「タアメー・ハミクラー」は、全部で27種類ある

 

・・・のだが、聖書を読むときに注意すべき符号は9個だけ
三分の一だけ覚えれば、何とかなる。




なぜ9個なの?

聖書の意味を理解する上で、重要となる符号は
「アクセント位置」「句読点」

 

その働きを持つ「タアメー・ハミクラー」は27個中9個

まずは、9個だけ覚えよう(提案)

重要な9個の符号

子音א(アレフ)に「タアメー・ハミクラー」を付けた場合、以下になる。

 

上記は、全部「アクセント位置」を示す符号。

一部の符号は、「句読点」を示す働きも持っている。

その他、18個の符号

リズムに関連する符号。
聖書を理解して読む上では重要ではない。

 

ヘブライ文字の上 or 下に付く符号

 

単語の最初よりも左側に付く符号

 

単語の最後よりも右側に付く符号

 

詳細は、以下のウィキペディア記事を読んで、どうぞ

Hebrew cantillation
(※英語)

前にアクセント記号「<」が出て来たよね?

前回の復習

ヘブライ語のアクセントは、最後の音節に来るのが基本

「<」は「オレー」と言う名前の符号

聖書に出てくるヘブライ語だと、「オレー」「ヨレッド」2つで1セット

 

なお、聖書では「<(オレー)」単独では使わない。

どんな時に「<(オレー)」を単独で使うの?

主にヘブライ語の学習書で使われる。


・現代ヘブライ語の語学書
・ヘブライ語の辞書や単語リスト


 

アクセント位置が、最後の音節で無い場合
「<(オレー)」でアクセント位置を明示する。

聖書の場合は「<(オレー)」以外の符号も使う

聖書ヘブライ語の場合、アクセント位置が最後の音節であっても
アクセント記号(=タアメー・ハミクラー)を付ける。

 

そして、アクセントを示す記号は「<(オレー)」1つだけではない!
9種類もあるぞ!

 

とりあえず、どこから覚えればいいの?

まずは、以下2つだけ覚えとけばOK


1.語学書の単語リストとかに「<(オレー)」が付いたら、そこはアクセント

2.ヘブライ文字の左側、右側に付いている「タアメー・ハミクラー」はアクセント位置ではない!


 

2.について、
以下の6つはアクセントを示す符号ではない!

 

聖書ヘブライ語の意味がつかめるようになった後で
「タアメー・ハミクラー」の細かいルールを覚えればいいんじゃないかな?(適当

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