現代ヘブライ語の場合、母音記号を使わない「満ちた表記」になっている。
この場合、子音である事を明示するために וו (V)や יי(Y) で書く表記法がある。
前回の復習
「満ちた表記」って何だっけ?
前に書いた記事
ヘブライ語は大まかに2通りの表記方法がある
ヘブライ語で使う文字は子音しか無い
それだと、母音が何なのか分からない!
そこで、以下2つの表記方法がある。
・母音記号を付ける
・母音であることを示す文字を付け足す
母音記号を付ける表記方法
例えば、以下の単語がある。
חֹם(KhoM・ホム)=熱
↑の1文字目の左上に点「・」が付いている。
この点「・」は母音「オ」を示す記号。
חֹםは、母音記号が付いている表記方法になる。
母音記号が付いているので、母音「オ」である事を示す文字 וֹ をわざわざ付け足す必要は無い!
このような表記方法を「欠けた表記」と呼ぶ。
「欠けた」と言うのは、「母音を示す文字が無い」の意味ね!
母音記号を付けない表記方法
先ほど紹介した単語
חֹם(KhoM・ホム)=熱
に対して、母音記号を消すと
חם
になる。
読み方は、以下2通りの可能がある
1.KhaM (ハム)
2.KhoM (ホム)
要するに、חに付く母音が
「ア」と「オ」の2通りの可能がある。
文脈判断すれば、どっちの母音になるか分かるんだけど・・・
文脈判断にも限界はある。
חםの表記方法だと、母音が分かりにくいので、
母音「オ」であることを示す為に、 ו を ח の後に付け足す。
חום(KhoM・ホム)
上記の表記方法であれば、少なくとも「KhaM(ハム)」と読み間違える事は無い。
「KhuM(フム)」と読む可能もあるのは内緒
このような表記方法を「満ちた表記」と呼ぶ。
ここで言う「満ちた」は「母音を示す文字が含まれている」の意味ね!
「満ちた表記」「欠けた表記」の使い分け
聖書に出てくる古典ヘブライ語は、必ず母音記号が振ってある。
なので、古典ヘブライ語は「欠けた表記」
それに対して現代ヘブライ語では母音記号を付けないのが普通
つまり、現代ヘブライ語は「満ちた表記」
本記事で扱うのは、現代ヘブライ語の「満ちた表記」ね!
「満ちた表記」で使われる表記方法
結論
以下の2点だけ気を付ければ、現代ヘブライ語は問題なく読める(と思う)
母音記号が無いから、古典ヘブライ語よりも読む難易度は高いけど
1.語中の子音ו(V)はוו(V)と表記する
2.語中の子音י(Y)はיי(Y)と表記する
現代ヘブライ語の場合、語中に
ווやיי
のスペルを見つけたら、それは子音と見なす。
「子音+母音」ではない事に注意!
以下はNG
・ווを「Vu(ヴ)」と読んじゃう
・ייを「Yi(イ)」と読んじゃう
「強ダゲシュ」ではない!
「強ダゲシュ」って何だっけ?
と忘れた兄貴は以下を読んで、どうぞ。
「強ダゲシュ」を簡単に言うと
「同じ子音が2つ重なっていることを示すマーク」
例えば יּ は、יの真ん中に点「・」が付いているね。
その点「・」が「強ダゲシュ」
יּは、子音י(Y) が2つ重なっている事を示している。
つまりיּはיי(YY) と同じ意味
現代ヘブライ語でייが出て来た場合、
「強ダゲシュ」と勘違いして「YY」と読まないでね!
現代ヘブライ語のייは「Y」と読む。
ייは、あくまでも子音「Y」である事を明示する表記法ね!
「וו」と「יי」を使う単語の例
「וו」の場合
אוויר(aViR・アヴィル)=空気
↑は、母音記号を使わない「満ちた表記」
現代ヘブライ語の書き方ね!
それに対して、母音記号を付けた「欠けた表記」で書くと以下になる。
אֲוִיר(aViR・アヴィル)=空気
↑は、古典ヘブライ語の書き方ね!
まとめると、以下になる。
אווירとאֲוִירどちらも同じ「aViR (アヴィル)」の発音になる。
単語の意味は、両方とも同じ。
子音「V」を表す表記方法だけ違う
「満ちた表記」だとוו、「欠けた表記」だとוになる
以降の単語も「満ちた表記」「欠けた表記」の2セットで示す。
発音や意味は、どちらも同じ。
「満ちた表記」
בוודאי(BeVaDaY・ベヴァダイ)=もちろん
「欠けた表記」
בְּוַדַּאי
「満ちた表記」
הלוואי(HaLVaY・ハルヴァイ)=そうであってほしい
「欠けた表記」
הַלְוַאי
「満ちた表記」
מזג אוויר(MeZeG aViR・メゼグ アヴィル)=天気
「欠けた表記」
מֶזֶג־אֲוִיר
「満ちた表記」
מכיוון ש(MiKeVaN She・ミケヴァン シェ)=~だから
「欠けた表記」
מִכֵּיוָן שֶׁ
「満ちた表記」
סוודר(SeVeDeR・セヴェデル)=セーター
「欠けた表記」
סְוֶדֶר
「満ちた表記」
קיווה(KiVa・キヴァ)=彼は、期待した
「欠けた表記」
קִוָּה
古典ヘブライ語の「欠けた表記」だと、
וに「強ダゲシュ」が付いたוּになっている。
上記を「満ちた表記」に置き換えた場合
ווו(VV)に相当する(と思う)
ただし、現代ヘブライ語では子音の重なりは無視するので
וו(V)と表記される。
「יי」の場合
「満ちた表記」
בניין(BinYaN・ビンヤン)=建物
「欠けた表記」
בִּנְיָן
ちなみに、ヘブライ語の「態(たい)」をヘブライ語で言うと
בִּנְיָן(BinYaN・ビンヤン)になる。
「満ちた表記」
אופניים(oFaNaYiM・オファナイム)=自転車
「欠けた表記」
אוֹפַנַּיִם
「満ちた表記」
טייל(TiYeL・ティイェル)=彼は、旅行した
「欠けた表記」
טִיֵּל
「満ちた表記」
עייף(aYeF・アイェフ)=疲れた
「欠けた表記」
עָיֵף
「満ちた表記」
מעוניין(Me’uNYaN・メウンヤン)=興味がある
「欠けた表記」
מְעֻנְיָן
「満ちた表記」
מעניין(Me’aNYeN・メアンイェン)=興味深い
「欠けた表記」
מְעַנְיֵן
「満ちた表記」
מצויין(MeTsuYaN・メツヤン)=すばらしい
「欠けた表記」
מְצֻיָּן
ヘブライ語講座~タアメー・ハミクラー