ウェールズ語で鼻音化(びおんか)が起こるケースを整理してみた

ウェールズ語で、2つ目に良く使われる音変化である

「鼻音化(びおんか)」

について、音声学の立場で説明してみたゾ~

専門用語が出て来るけど、許して下さい! オナシャス!!




前回の記事

こ↑こ↓の知識がある事を前提として説明するゾ~

ウェールズ語で軟音化(なんおんか)が起こるケースを整理してみた

鼻音化(びおんか)って何?

息を鼻から吐き出す音

6パターン音変化がある


p→mh
t→nh
c→ngh
b→m
d→n
g→ng


ウェールズ語講座その25~「私の~」で学ぶ鼻音化

ちなみに「鼻音化」のキーワードだけでggると、韓国語の発音ルールが大量にHITする・・・(汗

韓国語版ポケモン名に潜んでいる様々な発音変化

もっとkswk

出来る限り、音声学に近づけて説明すると…


口の中の軟口蓋(なんこうがい)の部分を下げる

→息を鼻から抜く

→口の中の圧力が下がる

調音(ちょうおん)時の力を弱める


 

の音変化がウェールズ語の文法に使われる時、この音変化を鼻音化(びおんか)と呼ぶ
ケルト語の専門家っぽくカッコよく言うと鼻変異(びへんい)

 

本記事では「鼻音化」で統一するゾ~

なるほど、さっぱりわからん

ってなる兄貴が全国に114514人居ると思うので、詳しく説明してイキますよ~イクイク~ヌッ!

鼻音化(びおんか)するときの口の中の動き

例としてp→mhの音変化を考える

例えば子音[p]鼻音化すると子音[mh]に変わる。

音変化の関係を矢印で書くと、になる

[p]→[mh]

子音[p]の時の口の中の位置

子音[p]を発音する時の、口の位置が

 

口の奥の上側の部分を軟口蓋(なんこうがい)って言う。
要するに「のどちんこ」の手前の柔らかい部分。

 

舌の奥を、「のどちんこ」に向けてグイグイ押し付けてみよう(意味深)
その時に当たる部分が軟口蓋(なんこうがい)だゾ~

 

で、子音[p]の時は、鼻への空気の通り道がふさがっているよなぁ~
当たり前だよなぁ?

MUR「そうだよ(便乗)」

軟口蓋を下げると?

軟口蓋(なんこうがい)を下げると、鼻への空気の通り道ができるゾ~

 

空気が口だけでなく鼻へも流れる。
つまり、口へ流れる空気の量が減る。

すると、口の中の空気の圧力が下がり・・・
口の中での発音が弱まる。

 

その代わりに、鼻から空気が出るようになる。
これが子音[mh]の発音

例えるなら、内緒のポーズで「ムー」と言うような音




鼻音化が起こるケース

ある単語の後に鼻音化

鼻音化を起こす対象の単語は2つだけ
(他にも鼻音化を起こすケースがあるけど、省略)


yn(アン)=~の中

fy(ヴァ)=私の


 

2つの単語の直後に来た単語の、最初の子音が


[p],[t],[k],[b],[d],[g]


 

の場合、鼻音化を起こして


[mh],[nh],[ngh],[m],[n],[ng]


へ変化する。

調音(ちょうおん)の位置を同化(どうか)させる

つまり、


yn(アン)=~の中

fy(ヴァ)=私の


の後に来た「特定の子音」は、軟口蓋(なんこうがい)を下げるんだゾ~

そしたら、肺から吐き出した息が鼻へ通るよなぁ~
当たり前だよなぁ?

 

その時の口の状態(=調音)で発音してイキますよ~

大改造!!鼻音化の劇的ビフォーアフター

[p]→[mh]
の場合、になる。

 

びふぉー

 

あふたー

鼻音化の具体例

「fy(ヴァ)=私の」のケース

すでに書いてあるからね、しょうがないね。

ウェールズ語講座その25~「私の~」で学ぶ鼻音化

前置詞「yn(アン)=~の中」のケース

前置詞yn(アン)以外のyn(アン)は、鼻音化を起こさない(←そこ重要)

ウェールズ語講座その10~ynの用法まとめ

ynの違いを整理すると・・・


前置詞のynは「鼻音化」を起こす

叙述のyn,副詞を作るynは「軟音化」を起こす

動詞を導くynは「音変化なし」


 

同じyn(アン)の単語でも、後に続く単語が

「鼻音化」「軟音化」「音変化なし」

によって、yn(アン)の文法的な役割を変化させている
これがウェールズ語(というかケルト語派)の特徴

鼻音化の具体例

例えば、「ウェールズ」と言う地名はCymru(カムリ)と言う

この前に前置詞のyn(アン)を置くと


yng Nghymru
アング・ハムリ


の発音へ変化する。

 

Cymru(カムリ)の最初の子音C[k][ngh]へ変化している。

 

子音[ngh]は「ングフ」ではなく、正確には…
軟口蓋を下げて、鼻へ息を通した[k]の発音になるゾ~

内緒のポーズで「グー」と言う音に近い

年齢を言う場合

総統閣下はウェールズ語の年齢の言い方が複雑すぎる事にお怒りのようです

年齢を言う時に使う単語

blwydd(ブルゥィズ)

の前に来た数詞によっては、鼻音化を引き起こす事がある。
具体的には 5,7,8,9,10,12,15,20 (多すぎィ!)

 

鼻音化した場合、
blwydd(ブルゥィズ) → mlwydd(ムルゥィズ)
へ変化するゾ~


pum mlwydd oed = 5歳

saith mlwydd oed = 7歳

wyth mlwydd oed = 8歳

naw mlwydd oed = 9歳

deng mlwydd oed = 10歳

deuddeng mlwydd oed = 12歳

pymtheng mlwydd oed = 15歳

ugain mlwydd oed = 20歳


 

文法を3つにまとめると


1.
-egで終わる数詞(10,12,15)は、blwydd(ブルゥィズ) の前で
-engに変化し、鼻音化を引き起こす。

2.
-gainで終わる数詞(20,40,60)も、blwydd(ブルゥィズ) の前で鼻音化を引き起こす。
(数詞の形は変化しない)

3.
残り5,7,8,9の数詞も、blwydd(ブルゥィズ) の前で鼻音化を引き起こす。
(5のみpump→pumへ変化)


ね、簡単 難しいでしょ?

なんJ(まとめては)イカんのか?

ここまでの内容を3行で

まとめると


・息を鼻へ通して発音させる音変化=鼻音化

軟口蓋(なんこうがい)を下げて発音すると、それっぽくなる

・前置詞のyn,fy,年齢を言う時に鼻音化が起こる


鼻音化を起こす例文

前置詞のyn,所有人称代名詞のfy(私の)を同時に使う例文だゾ~


yn fy mywyd
アン ヴァ マウィド
私の人生の中で~


 

前置詞のynの後に来た子音f[v]は、鼻音化を起こさない。
よって、fyの形はそのまま。

 

fyの後に、名詞である
bywyd(バウィド)=人生
が来ている。

子音bは、鼻音化の対象なので
b→m
へ変化させる必要がある。

だから
bywyd(バウィド)→mywyd(マウィド)
に変化させる必要があったんですね。

 

もう一度例文を挙げるゾ~


yn fy mywyd
アン ヴァ マウィド
私の人生の中で~


前置詞のynは鼻音化を起こすからと言って、必ず音変化する訳では無いゾ~
そこ、注意ゾ~

まずうちさぁ、帯気音化…あんだけど、見ていかない?

鋭意作成中…
(実際にうpするとは言ってない)