ウェールズ語をガチで勉強すると
「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」
のウェールズ語訳が何だが変だなぁ?
と気づく。
なので、ウェールズ語訳を修正してみた。
目次
ニコニコ大百科にあったウェールズ語訳
原訳
Ah^~ Bydd fy nghalon naid^~
アハ~ ビズ ヴァ ングハロン ナイド~
翻訳したと思われる人
おそらく以下だと思う。
2014/11/23(日) 13:21:25 ID: YbRIXPjXpo
>>239
感嘆詞抜きだったので修正
現代ギリシャ語:α^~η καρδιά μου θα χοροπηδει^~(a^~i̱ kardiá mou tha choropi̱dei^~)
グルジア語:აუ^~ჩემი გული ნახტომი^~(au^~ch’emi guli nakhtomi^~)
アゼルバイジャン語:ah^~ürəyim atılmaq^~
タミル語:அந்தோ^~என் இதயம் செயல்பட வேண்டும்^~(Anto^~eṉ itayam ceyalpaṭa vēṇṭum^~)
ヒンディー語:आह^~मेरे दिल छलांग जाएगा^~(Āha^~mērē dila chalāṅga jā’ēgā^~)
グジャラート語:હેં^~મારા હૃદય કૂદકો કરશે^~(Hēṁ^~Mārā hr̥daya kūdakō karaśē^~)
ヘブライ語:~^אה^~הלב שלי יזנק
ウェールズ語:Ah^~Bydd fy nghalon naid^~
アフリカーンス語:Ah^~my hart sal spring^~
ウェールズ語訳はgoogle翻訳で済ませたんじゃないかな?
(適当)
元のウェールズ語訳はどこが間違っているのか?
「bod構文」になっている
Ah^~ Bydd fy nghalon naid^~
アハ~ ビズ ヴァ ングハロン ナイド~
上の文は、ウェールズ語学習者なら「bod構文」だと一発でわかる。
「bod構文」=「be動詞」と「一般動詞」を同時に使う構文
だと思ってくれ。
その「bod(=be動詞)」の部分が「Bydd」
なお、「bod構文」の詳細は以下を読んで、どうぞ。
「ジャンプする」の動詞が基本形なっていない!
「bod(=be動詞)」がある場合、一般動詞を「基本形」にする必要がある。
つまり「ジャンプする」と言う動詞の形を勝手に変えてはいけない!
Ah^~ Bydd fy nghalon naid^~
アハ~ ビズ ヴァ ングハロン ナイド~
「ジャンプする」に相当する動詞が、一番最後の「naid(ナイド)」
「naid」は「neidio」(ジャンプする)という動詞の形を変えたモノ
(厳密に言うと、「naid」は「neidio」の直説法・現在形・三人称・単数)
「naid」を元の形「neidio」に修正すると・・・
Ah^~ Bydd fy nghalon neidio^~
アハ~ ビズ ヴァ ングハロン ネイディオ~
更に、動詞の前に「yn」を挿入して
Ah^~ Bydd fy nghalon yn neidio^~
アハ~ ビズ ヴァ ングハロン アン ネイディオ~
ウェールズ語の場合、動詞の前に「yn」を置くルールになっている。
「yn」は、「ジャンプする」の「する」みたいなモンだと思ってくれ。
これて、ウェールズ語文法的には「正しい文」に修正できたと思う・・・
注意点!
元のウェールズ語訳は「文語」の可能性もある
「bod(=be動詞)」である「Bydd」は「口語」と「文語」の2ケースが考えられる。
もし、「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」における「Bydd」を「口語」として訳した場合・・・
一般動詞「ジャンプする」は「基本形」にする必要がある。
(先ほど説明した内容)
一方、「Bydd」を「文語」として訳した場合・・・
・一般動詞「ジャンプする」は「口語」と同じように「基本形」にするのか?
・動詞の前に「yn」は必要なのか?
は私はまだ習っていない。
なので、元の「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」のウェールズ語が
「これは誤文だ!」
とは断定できない。
本当に誤文かどうかは、ウェールズ人に聞くのが一番早い。
まぁ、
「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」は「口語」だと思う。
なので、以降は「口語」として話を進める。
(「文語」ではないと仮定する)
元のウェールズ語訳で違和感のある個所
なぜ未来形なのか?
先ほど、私がちょっと修正を加えたウェールズ語が以下。
Ah^~ Bydd fy nghalon yn neidio^~
アハ~ ビズ ヴァ ングハロン アン ネイディオ~
気になるのは、bod(=be動詞)にあたる「Bydd」
「口語」の場合、「Bydd」は未来形のbe動詞(~である)の意味を持つ。
Bydd=he will be
だと思ってくれ。
おそらく「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」の英語訳
Ah^~ My heart will be hopping^~
の「時制」が未来形になっている。
その「時制」をそのままウェールズ語へgoogle翻訳したんやろ(名推理
(そもそも、なぜ英語訳は未来形なのか?については問わない。)
「心がぴょんぴょんする」の時制を現在形に直してみる
「心がぴょんぴょんする」を、私なりに解釈すると
「今、心がぴょんぴょんしているところです」
→「今、心がジャンプしているところです」
つまり、時制は「現在形」になる。
(厳密に言うと「現在進行形」なのだが、ウェールズ語では区別しないらしい)
「心がぴょんぴょんする」を「現在形」で考えた方がウェールズ語へ訳しやすいのでは・・・?
と思う。
「未来形」→「現在形」へ直すと以下になる。
Ah^~ Mae fy nghalon yn neidio^~
アハ~ マエ ヴァ ングハロン アン ネイディオ~
「Bydd」→「Mae」に直しただけ。
「Mae」=英語の”is”
だと思ってくれ。
英語へ直訳すると
Ah^~My heart is jumping^~
みたいな感じになる。
これでウェールズ語訳の修正は完了!
(でも、これが正しいウェールズ語の文かどうかは保証しない)
修正したウェールズ語の解説
単語ごとに分けて日本語訳してみた
「~です」が主語「私の心」よりも先に来ている。
つまり、ウェールズ語は、動詞から先に始まる言語。
そういう言語を「VSO言語」と呼ぶ。
(英語だと「SVO言語」、日本語だと「SOV言語」)
「VSO言語」は、世界の言語の中でも10%程度らしい。
「fy nghalon」=「私の心」
説明しなかった「fy nghalon」の部分だけ詳しく説明する。
Ah^~ Mae fy nghalon yn neidio^~
アハ~ マエ ヴァ ングハロン アン ネイディオ~
「fy」=私の
「nghalon」=calon(心)が「鼻音化(びおんか)」したもの
「c」→「ngh」
のように、最初の子音が変わる現象を「鼻音化(びおんか)」と呼ぶ。
本来「私の」は「fy ~ i」で表す
ウェールズ語の場合「私の~」の表し方が少し面倒くさい。
「私の~」を表す方法は、大まかに2ケースある。
1.fy + 名詞 + i
2.fy + 名詞
今回は2.の「fy + 名詞」で「私の~」を表している。
(つまり、名詞の後の “i” を省略している)
「fy」の後は鼻音化する
先ほど、単語の最初の子音が
「c」→「ngh」
のように変わる現象を「鼻音化(びおんか)」と説明した。
その「鼻音化」が起こる条件は、ある程度決まっている。
その1つとして、
「fy(私の)」の後に来た単語の最初の子音は「鼻音化」する
というルールがある。
なので、
fy calon (私の心)
ヴァ カロン
と表現する場合、calonの最初の子音を「鼻音化(びおんか)」させて
fy nghalon (私の心)
ヴァ ングハロン
と書く必要がある
(発音も変わる)
ウェールズ語の音変化は面倒くさい
ウェールズ語を勉強するときの最初の壁となるのが「音変化」
(専門的にいうと「変異」)
これを理解しないと、単語を基本形に直して辞書を引くことができない。
(ネット検索なら基本形を示してくれるが・・・)
例として、ci(犬)の「音変化」を3ケース示す。
軟音化 :dy gi (君の犬)
鼻音化 :fy nghi (私の犬)
帯気音化:ei chi (彼女の犬)
まとめると・・・
軟音化の場合、 語頭が“c”→”d”へ変わる
鼻音化の場合、 語頭が“c”→”ngh”へ変わる
帯気音化の場合、語頭が“c”→”ch”へ変わる
ウェールズ語の「音変化」は日本人が学ぶ「メジャー言語」には無い特徴だと思う。
(言語学的に見ると、ちっとも珍しい文法ではないのだが)
そんなウェールズ語の「音変化」に興味を持った兄貴は、ぜひともウェールズ語を勉強してみよう。
アイルランド語もいいぞ!
あぁ^~アイルランド語も勉強したいんじゃあ^~
もっとウェールズ語を知りたい兄貴へ
書き言葉もあるヨ
「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」のウェールズ語を「書き言葉」にしてみた
「プリンセス・オブ・ウェールズ」の仕組み
を、ポケモンのユウリちゃんで説明してみた