ロシア語とポーランド語はかなり近い言語。
本記事では、ポケモンのロシア語名を機械的にポーランド語に置き換えてみた。
ポーランド語を見ればロシア語がいかに子音が多い言語か分かると思う。
目次
軽くロシア語→ポーランド語に置き換えてみた
まずは軽くポケモンのロシア語名をポーランド語に置き換えてみた。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
フシギダネ | Бульбазавр | Bulibazavr | ブリィバザヴル |
ヒトカゲ | Чармандер | Czarmander | チャルマンデル |
ゼニガメ | Сквиртл | Skvirtl | スクヴィルトル |
キャタピー | Катерпи | Katerpi | カテルピィ |
コラッタ | Раттата | Rattata | ラタタ |
ピッピ | Клефейри | Klefeiri | クレフェイリィ |
ロシア語を知らない人にとっては、ポーランド語の方が読みやすいと思う。
ほとんどの日本人は英語のアルファベットに慣れているからね。
そもそもポーランド語って、どんな言語?
ポーランド語とロシア語で使われる文字は異なる
ポーランド語とロシア語の例文を紹介する。
【ポーランド語】
Ja Piszę książkę.
ヤ ピシェ クションシュケ
【ロシア語】
Я пишу книгу.
ヤー ピシュー クニィーグゥ
【日本語】
私は本を書きます
ポーランド語とロシア語の例文が同時に見れるサイトは以下。
ロシア語はキリル文字を使う言語。
それに対して、ポーランド語は英語と同じアルファベットを使う言語。
ポーランド語とロシア語の単語・文法はかなり似ている。
もう一度「私は本を書きます」のポーランド語とロシア語例文を見てほしい。
ポーランド語とロシア語で、音がかなり似ていることが分かる。
【ポーランド語】ヤ ピシェ クションシュケ
【ロ シ ア語】ヤー ピシュー クニィーグゥ
なぜポーランド語はキリル文字を使わないの?
その理由は宗教から来ている。
そもそもポーランドはカトリックの国。
なので英語と同じアルファベットを使いたい。
だからロシア語のキリル文字を無理やりアルファベットへ置き換えた。
結果、ポーランド語とロシア語の文字は大きく離れてしまった。
だけど、発音や文法は似ている。
ロシア語をポーランド語へ置き換えるルール
基本的に、ロシア語のキリル文字を英語のアルファベットに置き換える感覚でOK
ただし、一部は英語の通りにならない文字もある。
「А」→a,「б」→b,「р」→r
数字の「六」みたいなロシア語「б」はポーランド語「B」に相当する。
ちなみに、ロシア語の「В」はポーランド語の「V」なので注意!
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ケーシィ | Абра | Abra | アブラ |
「М」→m,「к」→k
キリル文字とアルファベットで発音が同じ文字。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ベトベトン | Мак | Mak | マク |
「и」→i
ロシア語の「и」は、ポーランド語で言うと「ji」に近い音。
「и」を「i」にするか?「ji」にするか?
はポーランド人でないと分からないと思う。
本記事では「и」→「i」で統一する。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
クラブ | Крабби | Krabbi | クラビ |
「в」→v
先ほど紹介したロシア語の「б」はポーランド語の「B」
それに対してロシア語の「в」はポーランド語の「v」
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
イーブイ | Иви | Ivi | イヴィ |
「у」→u,「т」→t,「о」→o
ロシア語の「у」はポーランド語の「u」「ó」に相当する。
「u」「ó」は同じ発音になる。
どちらを使うかは、単語によって決まっている。
本記事では「у」→uに統一する。
ちなみにポーランド語の「y」はロシア語の「ы(ゥイ)」に相当する。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
カブト | Кабуто | Kabuto | カブト |
「Г」→g,「л」→L
「л」と「П(パイ)」を混合しないように注意!
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
クサイハナ | Глум | Glum | グルム |
ゴルバット | Голбат | Golbat | ゴルバト |
ちなみに「л」は手書きで以下のように書いてもいい。
「Д」→d
顔文字でおなじみの「Д」はポーランド語で「d」と書く。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ダグトリオ | Дагтрио | Dagtrio | ダグトリオ |
「е」→je
ロシア語の「е」は「エ」ではなく「ィエ」
ポーランド語で「je」と書く必要がある。
「j」は「ジャ」ではなく「ヤ」の発音になる。
ちなみに、ポーランド語の「e」はロシア語の「Э」に相当する。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ディグダ | Диглетт | Digljett | ディグリィエト |
「н」→n
ロシア語の「н」は「ハ」ではないので注意。
「ハ」はロシア語で「х」と書く。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ゲンガー | Генгар | Gjengar | ギェンガル |
「п」→p
円周率「π(パイ)」でおなじみのロシア語「п」はポーランド語で「p」と書く。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
スリーパー | Гипно | Gipno | ギプノ |
「з」→z
数字の「三」みたいなロシア語「з」はポーランド語の「z」に相当。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
スリープ | Дроузи | Drouzi | ドロウジ |
「с」→s
混乱しそうだが・・・
ロシア語の「с」は「s(ス)」と発音する。
ポーランド語は英語と同じように「s」で書き表す。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
イワーク | Оникс | Oniks | オニクス |
「Ф」→f
ギリシャ語の「φ(ファイ)」から来ている文字。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ブースター | Флареон | Flarjeon | フラリェオン |
「Х」→ch
ロシア語の「Х」は、英語の「h(ハ)」を表す。
だけど、ポーランド語では「ハ」の表し方が2通りある。
それが「h」と「ch」
どちらを使うかは単語によって決まるが・・・
ポーランド語の場合「ch」の方が多い。
逆に「h」は少ない。
なので、本記事では「Х」→chとする。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
タッツー | Хорси | chorsi | ホルスィ |
ポーランド語の「ch」は「チャ」ではないので注意!
「й」→i
ロシア語の「й」は子音としての「イ」
母音ではありません!
「й」に相当するポーランド語のアルファベットは無い。
なので、仕方なく「i」に置き換える。
ある言語から他の言語へ訳する場合、いつも「無い文字の代用」で悩まされる。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
カメックス | Бластойз | Blastoiz | ブラストイス |
ちなみに、ロシア語の「з」、ポーランド語の「z」が最後に来ると・・・
それぞれ「с」「s」の音に変わる。
「э」→e
ロシア語の「э」は「エ」です。
ロシア語の「е」は「エ」ではありません!(二回目)
「э」はポーランド語で素直に「e」と書く。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ラッタ | Рэтикейт | Retikjeit | レティキェイト |
「ш」→sz
ロシア語の「ш」は「シュ」に近い音。
英語の「sh」に相当する。
だからポーランド語でも「sh」・・・ではない!
ポーランド語の場合、「sz」と書きます。
「sz」をまとめて1つの子音と考える。
「sz」を「s」と「z」で分離して「スズ」と読まないように注意!
「sz」はまとめて「シュ」と発音する。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
サンド | Сэндшру | Sendszru | セントシュル |
サンドパン | Сэндслэш | Sendslesz | セントスレシュ |
ちなみにロシア語の「д」、ポーランド語の「d」の後に特定の文字が来ると・・・
それぞれ「т」「t」の発音に変わる。
「ж」→rz
ロシア語の「ж」は「ジ」に近い音。
英語で言うなら「J」の音。
先ほど紹介したロシア語「ш」にのどを振動させる音を加えたのが「ж」
その音をポーランド語では「rz」または「ż」で書き表す。
「rz」か「ż」かは単語によって決まるが・・・
本記事では「ж」→rzで統一する。
「rz」を「r」と「z」に分離して発音しないように注意!
「rz」=「ルズ」じゃないよ!
「rz」=まとめて「ジ」と発音する。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ピジョン | Пиджеотто | Pidrzjeotto | ピジジェト |
ピジョット | Пиджит | Pidrzit | ピジト |
ピジョンのポーランド語「Pidrzjeotto」は子音が多い。
「-drzj-」は子音が続いて日本人にとっては発音が難しい。
「ч」→cz
ロシア語の「ч」は「チィ」みたいな発音になる。
英語なら「ch」
だけど、ポーランド語の「ch」は「ハ」になる事を先ほど説明した。
「ч」「チィ」の音をポーランド語では「cz」と書き表す。
「cz」を「c」と「z」に分けて読まないでね!
まとめて「チィ」と発音すること。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ゴーリキー | Мачоук | Maczouk | マチョウク |
カイリキー | Мачамп | Maczamp | マチャムプ |
「ц」→c
ロシア語の「ц」は「ツェ」っぽい音。
「ツァ」「ツェ」「ツォ」
英語で書くと「ts」に相当する。
だけど、ポーランド語の場合、「ц」に相当する文字がある。
それが「c」
ロシア語の「ц」は、ポーランド語「c」の一文字に置き換えれる。
ちなみにロシア語の「с」はポーランド語の「s」
紛らわしいね。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
シママ | Блитцл | Blitcl | ブリトツル |
先ほど紹介した「ch(ハ)」「cz(チィ)」と混合しないように注意!
「я」→ja
ロシア語の「е」→jeと同じ考え方。
「я」は「ヤ」
なので、ポーランド語で「ja」と書き表せる。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ギャラドス | Гаярдос | Gajardos | ガヤルドス |
「ю」→ju
「ю」は「ユ」と発音する。
なので、ポーランド語で「ju」と書ける。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
プラスル | Плюсл | Pljusl | プリュスル |
「ё」→jo
「ё」は「ヨ」の音を表す。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ケムッソ | Вёрмпл | Vjormpl | ヴォールムプル |
「ь」→i
ロシア語の「ь」は単なる記号。
「ь」自体に音を持たない。
前の子音とくっついて「イ」を添えるだけ。
実はポーランド語でも、「ь」と同じ働きをする文字がある。
それが「i」
ポーランド語の「i」は、2つある。
1.「イ」の音を表す母音「i」
2.ロシア語の記号「ь」に相当する「i」
本記事では単純に「ь」→iで扱う。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
ロコン | Вульпикс | Vulipiks | ヴリピクス |
ジュゴン | Дьюгонг | dijugong | ディユゴンク |
ミュウツー | Мьюту | mijutu | ミユトゥ |
ミュウ | Мью | miju | ミユ |
アゲハント | Бьютифлай | Bijutiflai | ビユティフライ |
先ほど「ь」→iと書いたが・・・
正確には以下の文字を用いても「ь」の記号を表せる。
dź
ź
ć
ń
ś
ポケモン名には無いロシア語の文字をポーランド語で書くと?
まだ紹介していないロシア語の文字が3つある。
これらをポーランド語で書くと以下になる。
щ = szcz (шчなので)
ы = y
ъ = 相当する文字なし
ロシア語やポーランド語は子音が多い言語
ロシア語のキリル文字をポーランド語のアルファベットで書くと、子音がかなり多い事に気づくと思う。
子音が二連続とか三連続も続くと、「どうやって発音するんだ!?」ってなるポケモンも多い。
日本語 | ロシア語 | ポーランド語 | 発音 |
カメール | Вартортл | Vartortl | ヴァルトルトゥル |
バタフリー | Баттерфри | Batterfri | バティエルフリィ |
プリン | Джигглипуф | Drzigglipuf | ジィグリプフ |
カモネギ | Фарфетчд | Farfjetczd | ファルフィェトチト |
パルシェン | Клойстер | Kloistjer | クロイスティエル |
キノココ | Шрумиш | Szrumisz | シュルミシュ |
アルファベットで書くと、ロシア語の子音が多くなってしまう。
なので、子音をスッキリ1つの文字にまとめたい!
そこでキリル文字の出番ですよ!
ja → я
ju → ю
je → е
jo → ё
sz → ш
rz → ж
cz → ч
dzcz → щ
キリル文字のおかげで複雑な子音の構成を少ない文字数で書き表せるようになった。
これがロシア語。
ポーランド語とロシア語を比較しながら勉強するのも面白いですよ!
って言う話でした。
【関連】ポケモンのチェコ語版もどうぞ!