令和になっても、日本語で書かれた「カレリア語」の語学書や学習サイトは無いらしい・・・
なので、私が初投稿です
孫悟空「オラ、ワクワクすっぞ!」
目次
カレリア語って何?
以下を読んで、どうぞ。
↑は、ネットで無料で学べるカレリア語サイトをまとめた記事
本記事で説明するカレリア語のソースは、全部上記サイトに書いてある。
紹介するカレリア語の方言
カレリア語は、大まかに2種類に分かれる
一言「カレリア語」と言っても、色々な方言がある。
方言の名前とかの細かい情報は、ウィキペディアに丸投げするとして・・・
「カレリア語」の方言を大まかに分けると、2つになる(と思う)
1.フィンランド語寄りのカレリア語方言
2.ロシア語寄りのカレリア語方言
2つの方言の違いは何?
フィンランド語寄りとロシア語寄りのカレリア語方言で、単語や文法が微妙に異なるらしい。
例えば「本」という単語だけでも、以下のような違いがある
1.フィンランド語寄りの方言
→kirja(キルヤ)
※フィンランド語と一致
2.ロシア語寄りの方言
→kniiga(クニーガ)
※ロシア語と一致 (книга)
本記事で扱うのは「フィンランド語」寄りのカレリア語
カレリア語は、フィンランド語と同じウラル語族に属する言語
一方でロシア語は、語学マニアの間では有名なインド・ヨーロッパ語族
ロシア語よりもフィンランド語を使った方がカレリア語を説明しやすそうだなー、と思う。
なので、今後は特に注記が無い限り「フィンランド語」寄りのカレリア語として説明する。
ちなみに、私はフィンランド語・ロシア語両方とも学んでいるけど
(ガチ勢ほどの語学力は) ないです
そもそもフィンランド語って何?
この記事を読むような兄貴は、大抵はフィンランド語の知識があると思うんで・・・今更説明は不要だと思うけど、一応。
カレリア語で使う文字と音
基本はフィンランド語とほぼ同じ
カレリア語はフィンランド語の方言みたいな言語だからね、しょうがないね。
母音
フィンランド語にあって、カレリア語に無い母音は「å(オ)」だけ
a i u e o(ア イ ウ エ オ)
y(イ)
ä ö å(ア エ オ)
「å(オ)」はフィンランド語ではめったに使われない文字
(スウェーデン語では使うけど)
なので、母音に関してはフィンランド語=カレリア語
と考えてOK
ちなみに「y(イ)」は、エストニア語と同様に「ü」と書く方言もあるらしい。
他に二重母音もあるけど、本記事では省略する
(方言によって発音が異なりそうなので)
フィンランド語と同じ子音
ほぼローマ字読みでイケる
d f g h j k l m n p r s t v
エストニア語みたいにdを[t]と発音する必要は無い!
dは、そのまま[d]と発音してOK
(カレリア語は、エストニア語みたいに超長子音の区別は無い)
jは、「ヤ行」の子音
「ジャ」ではない!
rはフィンランド語もカレリア語も「巻き舌」
(舌を震わせて発音する)
他、フィンランド語にある[ŋ](ン)の音はカレリア語にもある
nk(ンク)
ng(ング)
フィンランド語と発音が異なる子音
フィンランド語と発音が異なる子音はz(ズ)だけ
フィンランド語は「ツ」だけど、カレリア語では「ズ」になる。
フィンランド語の「z」(ツ)は外来語扱い
一方、カレリア語の語彙に「z」(ズ)が良く出てくる。
フィンランド語には無いけど、カレリア語にある子音
以下の5つ(だと思う)
c(ツ)[ts]
č(チ)[tʃ]
š(シ)[ʃ]
ž(ジ)[ʒ]
dž(ジ)[dʒ]
džは、Japan(ジャパン)の「ジ」[dʒ]
žは、š(シ)と発音しながらノドを震わせる音
「ジーっと見る」の「ジー」が[ʒ]に相当する。
「軟子音」である事を示すマーク
ロシア語寄りのカレリア語の場合、直前の子音が「軟子音」である事を示す
「’」のマークを使う
ロシア語で言うと、ь(軟音符)に相当する。
例)
den‘gat(デニィガト)=お金
↑は、ロシア語だとденьги(ヂェーニギ)
カレリア語の「‘」は、直前のnが「軟子音」である事を示すマーク
「‘」自体に音は持たない
「n‘」は「ニィ」っぽい発音になる
(奥の舌を上に持ち上げて「n」と発音)
カレリア語の単語を発音してみよう(提案
フィンランド語と同じスペル
alla(アッラ)=下
ei(エイ)=彼は~ではない
hyvä(ヒュヴァ)=良い
joka(ヨカ)=~毎、それぞれ
kaikki(カイッキ)=全て
liha(リハ)=肉
nuo(ヌオ)=あれら
olla(オッラ)=~である
pieni(ピエニ)=小さい
raha(ラハ)=お金
sieni(シエニ)=キノコ
talvi(タルヴィ)=冬
vesi(ヴェスィ)=水
yksi(ユクスィ)=1
フィンランド語と微妙に違うスペル
aiga(アイガ)=時間
フィンランド語のk→カレリア語のg
以降も同様に示す。
apel’siinu(アペリシーヌ)=オレンジ
フィンランド語だとappelsiini(アッペルシーニ)
pp→p
l→l’
i→u
eglee(エグレー)=昨日
フィンランド語だとeilen(エイレン)
g→i
en→ee
hammaš(ハンマシュ)=歯
s→š
ilda(イルダ)=夕方
t→d
jiä(イィア)=氷
フィンランド語だとjää(ヤー)
ä→i
lapši(ラプシ)=子供
s→š
maido(マイド)=牛乳
t→d
meččä(メッチァ)=森
ts→čč
nelli(ネッリ)=4
フィンランド語だとneljä(ネリヤ)
lj→ll
ä→i
oranževoi(オランジェヴォイ)=オレンジ
フィンランド語だとoranssi(オランッシ)
ss→ž
pereh(ペレフ)=家族
フィンランド語だとperhe(ペルヘ)
hとeが交替している。
sinine(スィニネ)=青
フィンランド語だとsininen(スィニネン)
最後の「n」が消えている
tagačči(タガッチ)=~の後ろ
フィンランド語だとtakaisin(タカイスィン)
k→g
si→čči
uloz(ウロズ)=外
s→z
viizi(ヴィーズィ)=5
s→z
yksitostu(ユクシトストゥ)=11
フィンランド語だとyksitoista(ユクスィトイスタ)
i→ø(音無し)
a→u
čikko(チッコ)=お姉さん
フィンランド語だとsisko(スィスコ)
s→č
sk→kk
šanuo(シャヌオ)=言う
フィンランド語だとsanoa(サノア)
s→š
oa→uo
Andiekse(アンディエクセ)=すみません
フィンランド語だとAnteeksi(アンテークシ)
t→d
ee→ie
フィンランド語と全然違うスペル
Passibo(パッシボ)=ありがとう
フィンランド語だとKiitos(キートス)
サーミ語ですらGiitu(キートゥ)なのに・・・
čuasu(チュアス)=時間
ロシア語だとчас(チャース)
ruskei(ルスケイ)=赤
フィンランド語だとpunainen (プナイネン)
rouzovoi(ロウゾヴォイ)=ピンク色
フィンランド語だとpinkki(ピンッキ)
muamo(ムアモ)=母
フィンランド語だとäiti(アイティ)
一応、スウェーデン語由来のmamma(マンマ)もあるが・・・
同じスペルだけど、意味が異なるケース
matka(マトゥカ)=道、距離
フィンランド語だと「旅」の意味でよく使われる。
「距離」の意味は、カレリア語・フィンランド語で共通するが・・・
moni(モニ)=いくつかの
フィンランド語だと「たくさん」の意味
フィンランド語で読めそうなカレリア語
例文を以下に挙げる。
カレリア語:
Hiän tuli kodih
ヒャン トゥリ コディフ
フィンランド語:
Hän tuli kotiin
ハン トゥリ コティーン
日本語:彼は家の中へ来た(=家に帰ってきた)
フィンランド語の知識があれば、カレリア語を知らなくても
Hiän tuli kodih
は、なーんとなく読めてしまうんじゃないかな(適当
その理由を、以下に説明する。
「来る」を意味する動詞tulla(トゥッラ)の過去形・3人称・単数
tuli(トゥリ)
は、カレリア語とフィンランド語で一致する。
「彼」を意味する人称代名詞は、
フィンランド語のHän→カレリア語のHiän
(ä→iä)
「家」を意味する名詞は、
フィンランド語のkoti(コティ)→カレリア語のkodi(コディ)
(t→d)
名詞を「~の中へ(入格)」の形へ格変化させる方法も異なる
フィンランド語:kotiin(コティーン)
カレリア語:kodih(コディフ)
フィンランド語の場合、最後の母音を伸ばした後で n をくっつける。
カレリア語の場合は、最後の母音を伸ばさず h をくっつける。
カレリア語の文字と発音まとめ
基本は「フィンランド語+α」でOK
(この記事を最後まで読める兄貴はフィンランド語の知識があると思うんで)
フィンランド語の文字と発音の知識に加えて「+α」の箇所を覚えるだけでOK
フィンランド語と発音が異なる子音はzだけ。
※フィンランド語は「ツ」、カレリア語では「ズ」
新しい子音とは言っても、文字の上に「V」みたいな符号がくっついただけなのでそんなに難しくない。
アルメニア語とは違うのだよ。アルメニア語とは!
子音や母音がちょい異なってる
カレリア語はフィンランド語の方言レベルよりも離れている程度の言語。
なので、フィンランド語の知識だけでカレリア語が読める(事もある)
単語や文の一部の文字が入れ替わっているなー
っていう印象。
でも、カレリア語専用の単語とか変化形があるから・・・(震え声
まとめ
これまでのフィンランド語ガチ勢の人は、エストニア語やサーミ語の語学書とか文法サイトをたくさん作ってきた。
だけど、フィンランド語のお隣の言語であるカレリア語に関する日本語の情報は何故かゼロ(2024/6/27時点)
令和になって、やっと日本語初(←そこ重要)のカレリア語講座ができた・・・
それが、ワイの記事。
カレリア語の先駆者兄貴になれたね(ニッコリ
カレリア語ーフィンランド語辞書を使ってみた