ウラル語族の中では4番目に有名(だと思われる)サーミ語は発音が難しい事に定評がある。
本記事では、良く使われているサーミ語の母音だけ紹介する
(短く説明するとは言ってない)
目次
本記事で紹介するサーミ語
そもそもサーミ語って何?
以下を読んで、どうぞ
扱うのは北サーミ語の西方言
サーミ語正書法の基礎となったのが、北サーミ語の西方言
本記事では、上記のサーミ語で説明する。
なお、google翻訳にサーミ語(北部)が追加された模様
参考文献
日本語で読めるサーミ語の語学書は、現在(2024年6月)の時点では2冊しかないらしい。
※(以下はアフィリエイトでは)ないです
私は、上記2冊の本を図書館でリクエスト申請してパラパラ読んだことがある。
図書館にサーミ語の語学書が無くても、リクエスト申請すれば他の図書館から取り寄せてくれる
入門者向けに分かりやすく説明しているのは「ラップ語入門」の方
難しいサーミ語の発音にカタカナ読みがたくさん付いているので、助かる。
サーミ語の母音は6つだけ
発音記号で書くと?
以下のような感じ
[i] [u]
[e] [o]
[æ] [a]
あえてカタカナ読みで書くと、以下
[イ] [ウ]
[エ] [オ]
[ア] [ア]
[ア]の音が2つあるんだけど・・・
サーミ語では「ア」の音を、更に[æ] [a]で2つ区別する。
[a]は、正確には [ɔ]
英語の hot の oが [ɔ] に相当する。
oに近い[a]のイメージ (暗いa)
まぁ、要するに短めの「ア」と考えてよい。
それに対して[æ]は、舌を前に突き出す「ア」
(明るいa)
音に対応する文字
基本的に、母音と文字のズレは無い
i[i] u[u]
e[e] o[o]
á[æ] a[a]
1つ注意点!
á[æ]は、長めに「ア」と発音する
これで「単母音」の紹介は終わり!閉廷!…以上!皆解散!
長母音と二重母音もあるヨ
長母音って何?
先ほど挙げた単母音は以下だったね!!!
i[i] u[u]
e[e] o[o]
á[æ] a[a]
上記の文字は、長く伸ばすこともある。
i[ī] u[ū]
e[ē] o[ō]
á[ā]
例えば、iの母音文字は
短く「イ」と発音したり、長く「イー」と発音することがある。
「イ」なのか?「イー」なのか?
は、音節の位置や後ろに来た子音の種類によって変わる。
その仕組みが複雑なんで(ry
ちなみにaは、常に短い「ア」を表す(らしい)
二重母音って何?
サーミ語には、二重母音が4個ある
ea[eæ]「エァ」
ie[ie]「イェ」
oa[oa]「オァ」
uo[uo]「ウォ」
注意するのは、ea[eæ]だけ。
二重母音eaの場合、後ろの母音aは、[a]ではなく[æ]と発音する。
舌を前に突き出した「ア」ね!
その他、3つの二重母音は文字通りに読んでOK
あっ、そうだ(唐突
二重母音の後ろの母音は弱く発音するんだゾ~
そこ、よーく覚えとけよ
組み合わせによっては、母音の音が変わる
ejは[ij]と発音
ejのスペルは[ij](ィイ)と発音する。
lávejin(la:vijin・ラーヴィイン)=私は~するのが常だった
真ん中にある-ej-は[ej]ではなく[ij]と発音する。
ojは[uj]と発音
ojのスペルは[uj](ゥイ)と発音する。
dihttojen(tihhtujen・ティッヒトゥイェン)=私は知られている
真ん中にある-oj-は[oj]ではなく[uj]と発音する。
「母音+i」の後に来た「i」は[j]と発音
「母音+i」の時、後ろのiは子音[j](ヤ)と発音する
orui(oruj・オルイ)=彼は住んだ
最後の-uiは、二重母音ではなく母音+子音の[uj](ウイ)で発音する
「あいまい母音」もあるぞ!
「あいまい母音」って何?
子音と子音の間に弱い母音が挿入されることがある
ちなみに「あいまい母音」は、文字上では表記しない
「あいまい母音」の音は、前の音節の母音と同じになる。
i[i] u[u]
e[e] o[o]
á[a] a[a]
注意点として・・・
前の音節の母音がá[æ]の場合は、
「あいまい母音」は[a]になる
「あいまい母音」の例
balva(pal[a]va・パルァヴァ)=雲
上記の場合、子音が連続しているのは-lv-の部分
上記の場合「あいまい母音」が挿入される。
その音は、前の音節の母音を参照する。
-lv-の前の音節にある母音はaなので・・・
-lv-の間に、あいまい母音は[a]で発音する。
「ルァヴ」の発音になる
子音が挿入される事もある
注意点として・・・
子音が連続している=「あいまい母音」だけが挿入される訳ではないゾ~
子音の組み合わせによっては、有気音[h]の音が現れるケースもある。
例を以下に示す。
barta(par[ah]ta・パルァッタ)=事故
ここでは、子音「r」+「t」の組み合わせなので、「あいまい母音」の後に子音[h]の音が挿入される。
まぁ、本記事は「母音」の説明なので・・・
有気音[h]も追加される事があるのかーっ!、っていう事だけ頭に入れて♡
ルーミア(RMA)「そーなのかー」
サーミ語の単語を発音しよう(提案
「あいまい母音」なし
namma(namma・ナンマ)=名前
mánná(ma:nna:・マーンナー)=子供
gulle(kulle・クッレ)=彼らは聞いた
orru(orru:・オッルー)=彼は住む
orro(orro・オッロ)=彼らは居た
gula(kula・クラ)=聞け!
二重母音
beara(peæra・ペアラ)=木切れ
二重母音eaの場合だけ注意!
発音上では[eæ]になる
giella(kiella・キエッラ)=言語
guolli(kuolli・クオッリ)=魚
oappá(oappa:・オアッパー)=姉の
母音[i]→子音[j]
biilla(pijlla・ピイッラ)=自動車の/を
「あいまい母音」あり
irgi(ir[i]ki:・イルィキー)=花婿(はなむこ)
[i](ィ)があいまい母音
golbma(kol[o]pma・コルォプマ)=3
長母音が現れるケース
etniin(e:tnijn・エートゥニイン)=母
最初のeは「エ」ではなく「エー」になる
gillii(ki:llij・キーッリィ)=言語で
murrii(mu:rrij・ムーッリィ)=木へ
ballá(palla:・パッラー)=彼は恐れる
balan(pala:n・パラーン)=私は恐れる
長母音と短母音の区別方法
ガチで説明すると複雑すぎるッピ!
ラテン語みたいに、母音の上に線を付ければいいのに
3行でまとめると以下。
・「á」は長母音になる(事が多い)
・第三音節にi,u,e,oが現れた場合は長母音になる
・直前の子音によっては、第三音節でも短母音になる
もっと詳しく知りたい兄貴は語学書の
「子音階程」「母音交替」
の所を読んで、どうぞ。
本記事は、母音についての説明なので「母音交替」だけちょこっと説明するんじゃよ。
「母音交替」の視点で見た長母音と短母音
例えば、二重母音[uo]と長母音[ū]はペアになっている。
guolli(kuolli:・クォッリー)=魚が
↑は、二重母音「uo」
上記の単語が格変化すると、↓になる。
guliid(ku:li:t・クーリート)=魚たちを
二重母音「uo」だったところが「u」に変わっているね。
その「u」は長母音になる。([ū]「ウー」と発音)
サーミ語の母音発音まとめ
正確に説明しようとすると複雑なので
ロクにサーミ語を勉強していない兄貴からは
サーミ語の発音、難しいすぎィ!
と投げ出されてしまう。
まぁまぁ、フランス語の発音と比べたらサーミ語は(ry
母音のどこが難しいのか?
例えば、ejは[ij](ィイ)と発音する
みたいに、文字通りに発音しない母音は他の言語でもよくある事だから置いといて・・・
母音の発音で難しいと思われる個所は↓
・「あいまい母音」
・長母音と短母音の区別
→音節の位置
→「母音交替」
→「子音階程」
【悲報】まだ「母音」の発音ルールしか説明していない
「子音」の発音でも、難しい点はたくさんあるゾ~
母音の種類は少ないから楽だよね
サーミ語の母音発音が難しい事を説明されて
やっぱりサーミ語の発音、難しいすぎィ!
ってなった兄貴!
まぁまぁ、落ち着いて・・・
サーミ語はデンマーク語みたいに母音の区別が多い言語じゃないから・・・(震え声
日本語に加えて[æ]の区別をすればOK!
舌を前に出す「ア」を意識して発音すれば、それっぽくなる。
難しい事ばかりに目を向けるのではなく
まずは、自分で簡単にできることからやろう(提案
簡単に発音できるサーミ語の単語だけ抜き出して発音練習すれば、その内に慣れるんじゃないかな(適当
あ、そうだ(唐突)
「平和」を意味するサーミ語は、発音が簡単だゾ~
ráfi(ra:fi:・ラーフィー)=平和
エッフェル塔の「平和の壁」にráfiが書かれているイメージで「ラーフィー」と発音すると、スゴイぞー!カッコいいぞー!
子音の発音方法