ミカのセリフTulta(撃て!)を直訳すると「火を!」になる

ミカが言った「トゥルタ(Tulta)」は日本語で「撃て!」という意味になる。

でも、なんで「Tulta」が「撃て!」の意味なの?

を解説したサイトが見つからないので、自分で作ってみた。




そもそもミカって誰?

ミカは「ガールズ&パンツァー」というアニメに出てくる美少女キャラクターです。

まず、「ガールズ&パンツァー」の内容を三行でまとめると・・・

・戦車
・美少女
・少年ジャンプ的なバトルシーン

という理由で人気がある。

ミカも主人公の戦車バトルに参戦している。

ミカのセリフ「トゥルタ(Tulta)」って何?

ミカは戦車の中に乗って指揮していた。

敵の戦車が見つかったので

トゥルタ(Tulta)!

と言って、砲弾を発射した。

その「トゥルタ(Tulta)」「撃て!」というのフィンランド語。

フィンランド語については以下の記事を参考にしてね。

「こころぴょんぴょん」のフィンランド語訳を分析してみた

「トゥルタ(Tulta)」は直訳で「火を!」の意味になる

ところで、アナタは

「トゥルタ(Tulta)」はなぜ「撃て!」の意味になるのか?

と疑問になりましたか?

普通の人は「トゥルタ(Tulta)」が「撃て!」の意味だと分かった時点で満足する。

だけど、世の中には変わり者もいる。

なぜ「トゥルタ(Tulta)」が「撃て!」なのか??
疑問になってネットで調べまくる変人がいる。

 

・・・私です

 

そういう語学マニアが「トゥルタ(Tulta)」の意味を解読した結果、


トゥルタ(Tulta) = 火を!


と分かって満足した。



なぜ「トゥルタ(Tulta)」=「火を!」なの?

「Tulta」は「火を」の意味を持つ名詞

ミカが「Tulta(撃て!)」と言っているんだから、Tultaは動詞の命令形なんだろう

と予想する人が多い。

だけど、実は「Tulta」は名詞として使われている。

「Tuli」から形を変えたのが「Tulta」

「Tulta」という名詞の元の形は「Tuli(トゥリ)」


「Tuli」「火」の意味を持つ。

「Tuli「Tultaになると「火の意味になる。


こんな風に名詞の形が変わると、日本語の「で」「に」「を」「は」みたいな意味を付け加える。

これがフィンランド語です。

ミカは「敵の戦車に火をつけろ!」と言っている

「Tulta(火を)」の前後には言葉が隠されている。


(敵の戦車に)火を(つけろ)


ミカは敵の戦車を破壊したい!

そのためには、敵の戦車に砲弾をぶつけて火だるまにする必要がある。

だから

敵の戦車に火をつけろ!

と命令した。

でも、その命令文ではあまりにも長すぎる。

だから

火を!

と短く言っている。

日本語で考えると


「敵の戦車に火をつけろ!」
→「火を!」
→「撃て!」


のように解釈できる。

これが「Tulta(トゥルタ)=撃て!」の意味になる理由です。

それでも納得できない語学マニア向けの解説

ここからは語学マニア向けの難しい話になる。

普通の人は読まなくていい。

「Tulta」は「Tuli」の単数・分格(ふんかく)です

フィンランド語 tuli

フィンランド語は名詞の15個もある言語。

その中の1つが分格(ふんかく)

分格(ふんかく)を簡単に言うと、名詞に「~を」の意味を付ける。

 

分格(ふんかく)と似た格として対格(たいかく)もある。

「Tulta」が分格なら、対格は「Tulen(トゥレン)」になる。

対格も分格と同様に「~を」の意味を付ける。

 

フィンランド語は、日本語で言う「~を」の格が2つもある。

分格と対格の使い分けは外国人にとってはものすごく難しい。

とりあえずミカが戦車に乗って「撃て!」と言う状況の場合は「分格」を使うんだ!と考えればいい。

なぜ対格ではなく分格なの?

それでも納得できない方へ、追加説明する。


行為がまだ完了していない分格
行為が完了している   =対格


【引用】フィンランド語学習記 vol.112 − 目的語の格変化

ミカが「Tulta(撃て!)」と言った時点では、まだ撃っていない。

つまり、「撃つ」という行為がまだ完了していない。

なので分格を使う。

それでも理解できない方へ

もっと理解したい方はフィンランド語を勉強しよう!
(提案)

こんな風に言語に対して

なぜ?なぜ?

と突き止めると、これはもう立派な言語学になります。

【関連記事】フィンランド語の詳しい発音

ノルウェー語の視点でフィンランド語の母音発音を復習してみた