実際に「なんちゃって大学書林1500語」の単語リストを作ろうとすると、結構難しい。
載せる単語の取捨選択や、単語の意味をどこまで詳しく書くべきか?
で悩んだ。
私が作ったヘブライ語1500語
大学書林には、何故か「ヘブライ語1500語」が無いみたい。
なので、私の方で作ってみた。
単語の引用元
現代ヘブライ語+聖書ヘブライ語
要するに、今使われているヘブライ語と2000年前に使われていたヘブライ語をごちゃまぜにしている。
私は、Ankiアプリにヘブライ語の単語やフレーズを3000個以上入れている。
現代ヘブライ語や聖書ヘブライ語で出て来た単語や例文をAnkiに入れていたら、いつの間にかデータが貯まった。
なので「ヘブライ語1500語」を作るのは簡単だった。
それでも10時間以上かかったけど。
現代+古典ヘブライ語の参考文献
※(本記事で紹介する語学書はアフィリエイトでは)ないです。
以下は、ヘブライ語学習者の間では有名な語学書。
(※個人の感想です)
まず現代ヘブライ語をしっかり学んでから、
最後の所で「発展知識」として聖書ヘブライ語を学ぶ感じ。
聖書ヘブライ語しか出てこないマニアックな「タアメー・ハミクラー」の読み方も説明されている。
現代ヘブライ語の参考文献
ヘブライ語の知識ゼロの兄貴は、まずは以下の語学書で学ぶとよい。
以下のニューエクスプレスは、ヘブライ文字に母音記号が付いていないので単語リスト化が面倒www
でも、今の時代に使われている最新のヘブライ語単語が知れるのは大きなメリット
ニューエクスプレスプラス 現代ヘブライ語 山田 恵子 (著)
例えば「電子メール」みたいな最新のヘブライ語単語が分かる。
אִי־מֵיִיל ( i MeiL ) 電子メール
古典ヘブライ語の参考文献
「ニューエクスプレスプラス」という名が付いているが
大学書林の「〇〇〇語 四週間」のつもりで学んだ方が良い。
ニューエクスプレスプラス 古典ヘブライ語 山田 恵子 (著)
ちなみに、大学書林の「ヘブライ語 四週間」は無いらしい。
「いのちのことば社」の「聖書ヘブル語四週間」はあるらしいけど
ネットでの単語リスト
頻度の高い順に単語を並べたサイトがある(英語)
Wiktionary:Frequency lists/Hebrew/00
単語の意味が載っていないので、「どの意味が良く使われるのか?」が分からないのが欠点
1500語リストに単語を載せる基準
全部で1693個ある
私が作った「ヘブライ語1500語」に書いた単語を数えると、全部で1693個ある。
だけど、1693個全部が単語じゃないんだよね。
それ、単語じゃねぇ!
בֹּקֶר טוֹב ( BoKeR ToV ) おはようございます
のような基本的なあいさつ文は単語じゃない!
それ、フレーズだよね?
また
אַחַד־עָשָׂר ( aKaD aSeR ) 11 [男]
のような数詞は「1+10」の表現になっている。
これは単語と見るべきか?それともフレーズと見るべきか?
同様に
אַחֲרֵי־הַצָּהֳרַיִם ( aKHaReY HaTSoHoRaYM ) 午後
のフレーズも頻繁に出てくる。
直訳すると「正午の後」になるから、単語とは言えない。
だから「ヘブライ語1500語」から除外する???
でも
אַחֲרֵי־הַצָּהֳרַיִם ( aKHaReY HaTSoHoRaYM ) 午後
のフレーズは現代ヘブライ語の語学書でよく出てくるんだけどな~
・・・と言う風に、単語を選ぶ作業が大変だった(小並感
言語学で言う「語(ご)」だけ絞ると、1693個中1000個未満じゃないかな?(適当
単語の集め方
「ヘブライ語1500語」のタイトルなんだけど
単語に限らず、よく出てくる単語の組み合わせやフレーズも掲載しちゃおう!
ガチで「単語のみ」で「1500語リスト」を作ろうとすると、今あるAnkiアプリに登録している単語数では足りないから・・・
大学書林の1500語シリーズは、初学者向けなので
現代ヘブライ語や聖書ヘブライ語の縛りは作らずに、とりあえず語学書で出て来た単語を全部載せちゃえ!
あ、よく出てくるフレーズも忘れずに。
変な単語が出てきてしまう
ユダヤ教における聖書の知識が無いと、変な単語が1500語リストに出てきてしまう
それ、6000語リストでも出てこない単語やろ!
って言うツッコミは無しで。
これがヘブライ語の文化だからさ~
変な単語の例を挙げる
זָנָה ( ZaNa ) 姦淫(かんいん)する[パアル]
「姦淫」は、男女間の倫理にそむいた肉体関係の意味。
日本語だと、2~3万語レベルの単語かな?
だけど、聖書では「姦淫」のキーワードが良く出て来るらしい。
(どうしてこうなった)
単語の捨て方
単語やフレーズを集めまくったら2500個くらいになる。
よ~く見ると不要なものがたくさんある事に気付いた。
・動詞の基本形以外は不要
・前置詞に接尾人称代名詞が付いた物は不要
・名詞や形容詞の双数形、複数形は不要
・固定化されていない例文は不要(例:これはペンです)
・意味は同じだけど、表記方法が複数ある単語は1つに絞る
・マニアックな人名、地名はどこまで載せるか?
・「副詞」と「前置詞+副詞」は別々にすべきか?
・名詞の女性形はどこまで含めるか?
・数詞は、いくつまで載せるか?
等々・・・
捨てる単語の選択基準に悩んだ。
やっぱり残すことになった単語
頻繁に使われる単語は例外的に残した。
例えば、名詞の接尾人称代名詞の説明でよく使われる
סוּס ( SuS ) 馬
の女性形が↓
סוּסָה ( SuSa ) メス馬
男性名詞の最後に הを付ければ女性名詞になるんだけど
「メス馬」の単語は、語学書でよく出てくるので残した。
動詞の取捨選択
私なりのガバガバ方針は以下
・人称は「三人称・単数・男性形」のみ
・分詞は「単数・男性形」のみ
・能動分詞、受動分詞、動名詞、不定詞(連語形)は残す
・よく出てくる不定詞の独立形も残す
・命令形は捨てる(頻繁に出てくるものは除く)
・動詞+前置詞のフレーズがあれば、そちらを優先する
・動詞の意味(日本語)は「現在形」として書く
実際に書いて見ると、動詞の取捨選択基準が複雑なことが分かる。
例えば、「書く」と言う動詞の基本形は以下になる。
כָּתַב ( KaTaV ) 書く[パアル]
現代ヘブライ語だと「彼は書いた(過去)」
聖書ヘブライ語だと「彼は書いてしまった(完了)」
だけど、1500語リストでは現在形の「書く」で統一した。
また人称を示す「彼は」は省略した。
כָּתַב ( KaTaV ) は「パアル態」の動詞に分類されるので
単語の意味の隣に[パアル]と記載した。
כָּתַב ( KaTaV ) を
能動分詞、受動分詞、動名詞、不定詞(連語形)
それぞれの形に派生したのが↓
כּוֹתֵב ( KoTeV ) 書く[パアル・能動分詞]
כָּתוּב ( KaTuV ) 書かれた[パアル・受動分詞]
כְּתִיבָה ( KeTiVa ) 書く事 [パアル・動名詞]
לִכְתֹּב ( LiKHToV ) 書く事[パアル・不定詞]
ヘブライ語の文法を学べば、基本形から「大体」変換できる。
だけど、細かい変化パターンの量が膨大で覚えるしかない。
とりあえず、語学書でよく出てくる派生形は全部掲載した。
特に「能動分詞」は現代ヘブライ語では「現在形」になるので使用頻度が高くなる。
むしろ「基本形」よりも「能動分詞」の方が良く使われるのでwww
発音記号の振り方
ヘブライ文字を読めない人がほとんどなので
ヘブライ文字の隣に、英語アルファベットで大体の発音を示した。
אָב ( aV ) 父
本来は、ヘブライ文字に付いている母音記号で発音が分かるんだけどね。
英語アルファベットは正確ではない
半母音「エ」に関連する
「有音シェヴァ」と「無音シェヴァ」
は、英語アルファベットでは100%表記できない。
発音は現代ヘブライ語を基準とした
現代ヘブライ語と聖書ヘブライ語で異なる発音がある。
聖書ヘブライ語の場合、
ヘブライ文字に「強ダゲシュ」が付いている場合は、子音を2つ重ねて読む。
では、1500語の単語リストに付ける英語アルファベットの基準は現代と聖書のどっちにすべきか?
私は面倒くさいので現代ヘブライ語を基準に英語アルファベットを入力した。
聖書ヘブライ語だと子音を2つ重ねて読む箇所があるけど
英語アルファベットだと分からないんだよね。
例えば
אִלּוּ ( iLu・イル ) もし~でないならば(仮定法)
は、聖書ヘブライ語だと( iLLu・イッル )と読む。
なんちゃってヘブライ語基礎1500語を作った感想
絞り込みの時点で疲れた
元々、電子の単語データはAnkiアプリで既に登録してあるんですよ!
3000個以上あるけど。
その中から、1500語リストに載せる単語へ絞り込む作業の時点で疲れた~
でも、時間を忘れて夢中になれたのは良かった。
一人で黙々とエクセル修正作業
バラバラな補足説明内容を統一させたり、英語アルファベットで発音を入力したり・・・
エクセルは、ソート機能があるから単語を並べ替えてダブっている単語を見つけるのに役に立った。
とはいえ、2000個以上もの単語情報を見て取捨選択するのはキツい
しかも、私一人で。
今まで単語リストを作った先駆者兄貴も、そういう苦労があったんだろうなぁ~
と分かった。
今後、単語リストの本を借りる時は著者に敬意を払おう!(提案
自分で単語リストを作ると、単語を覚えれる
なぜなら、以下の作業を全部ひとりでやらなきゃイカんので。
・単語と意味を入力
・単語の取捨選択
・意味の表記方法を整理
・文法的な説明を追記
その過程で、私はヘブライ語単語の復習になった。
忘れかけていた単語や文法も思い出せた。
(覚え直したとは言ってない)
自分の文法知識不足がハッキリ分かってしまう
例えば、
בֹּרַךְ ( BoRaKH ) 祝福される [プアル]
プアル態なのに、一文字目の母音が「オ」になっている例。
へぇ~、こういう単語もプアル態だっけ~
(つまり、忘れたという事ですね。ハイ)
他にも
מְשַׁנָּה ( MeSHaNa ) 寝る[能動分詞]
これは、ピエル態か?
で迷って、結局は[能動分詞]だけ表記した。
パアルが能動分詞になった場合、語頭にמは付かないんだけどな~
・・・と言う風に、自分の勉強不足を改めて痛感した。
だからと言って、復習する必要もないんだけどね。
私はプロじゃなくて趣味でヘブライ語をやっているから・・・(震え声
ずっと先にヘブライ語の語学書を読む機会があったら
過去に「ヘブライ語1500語」を作った経験が生きる(と思う)
ああ、この文法事項って・・・
前に1500語リスト作ったときにピエル態かヒフィル態で悩んだなぁ~(呆れ
ニフアル態を良く分かってない私
1500語リストにたまたま並んでいた
נוֹלַד ( NoLaD ) 産まれる [ニフアル]
נוֹלָד ( NoLaD ) 生まれる[ニフアル・能動分詞]
私「どっちも同じ意味じゃないですか!」
改めてヘブライ語文法を確認すると・・・
נוֹלַד ( NoLaD )
は、三語源の一文字目が י(y)のニフアル態の基本形らしい。
現在ヘブライ語なら「彼は生まれた(過去)」という動詞になる。
それに対して
נוֹלָד ( NoLaD )
は、先ほどのニフアル態動詞 נוֹלַד ( NoLaD )
の「能動分詞」らしい。
現代ヘブライ語なら「彼は生まれる(現在)」
形容詞的に使われるらしい。
3文字目の母音記号が「ー(パタフ)」か「T(カマツ・ガドール)」かで意味が微妙に変わるんだな~
というマニアックな知識を、自作の「ヘブライ語基礎1500語」で学んだのであった。
おわり