ウィキペディアにある「ウェールズ語」の記事を見ると「前動詞不変化詞」という長ったらしい文法用語を使っている。
あーゆーのが「動詞前虚詞」
まぁ「動詞前虚詞」も長ったらしいけどwww
そもそもウェールズ語って何?
概要
チノちゃんの、チノちゃんによる、チノちゃんの為のウェールズ語講座
ウェールズ語の単語
こんな感じのスペル(と言うか、音)が並ぶ
ウェールズ語文法の概要
方言にうるさい
アジアに例えるなら、北朝鮮と韓国で使われている朝鮮語を学ぶようなモノ。
動詞前虚詞(きょし)って何?
まず虚詞(きょし)の説明から
虚詞は「きょじ」ではなく「きょし」と読む。
んで、日本語にも虚詞の概念はあると思うのだが・・・
英語とか中国語の文法説明で「虚詞」という用語がよく使われる。
「虚詞」を2行で説明すると
・単独では使えない
・他の単語や文の補助的な意味を表す
英語における虚詞
「雨が降る」を英訳すると
It rains
↑の“It”が虚詞
英語の場合、意味上の主語が不要となる場合でも主語が必要!
そういう決まりになっているので、仮に”It”を置いているだけ。
“It”そのものに意味は持たない!
“It”+非人称動詞
の組み合わせて使う。
中国語における虚詞
「本を開く」を中国語に訳すると
把书打开
Bǎ shū dǎkāi
↑は把(bǎ)を使って目的語を表す構文。
なお、把(bǎ)は、単独では使わない。
先ほどの英語の例文で使った”It”みたいなもの
把(bǎ)+目的語
の組み合わせで使う。
この場合は
书(shū)=本
が、動詞の目的語である事を把(bǎ)で明示しているだけ。
まとめると、
(把+书)+打开
(Bǎ + shū) + dǎkāi
日本語で並べるなら
(~を+本)+開ける
↑の把(bǎ)が虚詞になる
ウェールズ語にも虚詞がある
英語の”It”や、中国語の把(bǎ)に相当する単語がある。
虚詞を使った、ウェールズ語の例文を紹介するゾ~
Fe fydda i’n rhedeg
ヴェ ヴァザ イン フレデグ
私は走るつもりです(未来)
最初の“Fe”(ヴェ)の単語が虚詞
つまり、”Fe”単独では使えない。
他の単語と組み合わせて、初めて威力を発揮する。
虚詞”Fe”の直後に動詞を置いて、この文が「肯定」である事を明示する。
この場合の動詞はfydda(ヴァザ)
fydda(ヴァザ)は、英語で言うと I will be の意味
I will be~
の文が「疑問文」とか「否定文」で無い事を示すために、動詞の前に”Fe”を付けているだけ。
ちなみに“Fe”を省略しても、文法的には間違いではない
Bydda i’n rhedeg
バザ イン フレデグ
私は走るつもりです(未来)
虚詞”Fe”が無いので、軟音化(なんおんか)が起こらない。
よって、動詞の語頭の子音は fydda(ヴァザ) ではなく bydda(バザ) になる
動詞の前に置くから「動詞前」虚詞
ウェールズ語の虚詞”Fe”は、必ず動詞の前に置く。
中国語みたいに、目的語の前に虚詞を置くような文法は無い。
ウェールズ語の場合、語順や(所有)人称代名詞を使って目的語を示すからね、しょうがないね。
という訳で、ウェールズ語の虚詞は必ず動詞の前に置く。
だから文法書では「動詞前虚詞」と名付けている。
ウィキペディアだと「前動詞不変化詞」というややこしい表現だけど、間違いではない。
「虚詞」自体は不変化だからね、しょうがないね(2回目
動詞前虚詞には何があるの?
話し言葉に限定した場合
虚詞の単語は2つある。
どちらも肯定文であることを示すマーク
・Fe(ヴェ)
・Mi(ミ)
↑2つの違いは、方言差
Fe(ヴェ)は、ウェールズ語の文法書でよく使われる虚詞
一方でMi(ミ)を使うと、北部方言っぽくなる。
Fe(ヴェ)やMi(ミ)は「未来形」とか「点過去」「屈折構文」に使われる。
なんか色々と難しい文法用語が出て来たけど・・・
虚詞は動詞の前に置けやぁ!ゴルァ!
その原則は「未来形」「点過去」「屈折構文」どれも共通するゾ~
動詞の前にくっつく虚詞もある
先ほど紹介した「I will be」を意味する動詞
fydda(ヴァザ) や Bydda(バザ)
は、「~である」を意味するbod動詞の変化形
そのbod動詞の時制が「現在形」や「状態の過去」の場合、
動詞の前に虚詞がくっつくことがある。
具体的には↓の2種類ある
・R- →肯定文
・D- →否定文
ちなみに、虚詞が付かない場合は「疑問文」を表す。
「現在形」の場合
例えば「I am」は、ウェールズ語だとydw(アドゥ)になる
そこに虚詞をくっつけた場合
・Rydw(ラドゥ) →I am(肯定文)
・Dydw(ダドゥ) →I am not(否定文)
Ydw(アドゥ)は、厳密に言うと疑問文を示す「Am I?」になる
「状態の過去」の場合
「点過去」ではないゾ~
「I was」は、ウェールズ語だとoeddwn(オエズゥン)になる
そこに虚詞をくっつけた場合
・Roeddwn(ロエズゥン) →I was(肯定文)
・Doeddwn(ドエズゥン) →I was not(否定文)
oeddwn(オエズゥン)そのものは、厳密には疑問文を示す「Was I?」になる
「書き言葉」専用の動詞前虚詞もある
詳しくは↓を読んで、どうぞ。
なんだが頭が混んがらってきた皆様のためにぃ~
話し言葉と書き言葉の違いを表にまとめたゾ~
極性(きょくせい)と言うのは、肯定と否定の区別だゾ~(by wikipedia)
んで、Bod動詞(~である)における「話し言葉」の
「(直説法)・現在形・一人称・単数・肯定形」(←長すぎるっピ!)は
Rydw(ラドゥ) = I am(肯定文)
↑を「書き言葉」にすると
Yr ydwyf(アル アドゥィヴ)
Yr(アル)が「書き言葉」で使われる動詞前虚詞
ちなみに、ydwyf(アドゥィヴ)はydw(アドゥ)の書き言葉
ydwyf(アドゥィヴ)だと長いので↓のように短縮して書く事もある
Yr wyf(アル ウィヴ)
文頭に肯定を示す動詞前虚詞“R-“ではなく、“Yr”とか“Y”を使っていたら
「あっ!これは書き言葉だ!」って分かる。
あっ、そうだ(唐突)
“Yr”や“Y”は、定冠詞と同じスペルなので注意ゾ~(N敗)
動詞前虚詞のまとめ
3行で書くと?
・単独では使えない
・必ず動詞の前に置く
・肯定文、否定文、疑問文を区別する
虚詞は、「ウソの詞」ではない!
これだけははっきりと真実を伝えたかった。