フィンランド語・韓国語・ウェールズ語・ロシア語・ヘブライ語の子音変化を比べてみた

私がこれまでに学んだ言語
フィンランド語、ロシア語、ウェールズ語、韓国語、ヘブライ語
はどれも子音変化が起こる。

なので上記の言語で子音変化を比較してみた。
(正確に言うと “対照” ですが・・・)




それぞれの言語の簡単な紹介

フィンランド語

「こころぴょんぴょん」のフィンランド語訳を分析してみた

ヨーロッパによくある言語は「インド・ヨーロッパ語族」
だけどフィンランド語はとは全く別の「ウラル語族」に属する

 

そのため、のようによくネタにされる

フィンランドはこんなに面白い!フィンランド人をおちょくる国民性ジョークまとめ(注: 下ネタあり)

ロシア語

「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」のロシア語訳を分析してみた

ヨーロッパによくある「インド・ヨーロッパ語族」に属する。

 

最近は、アレの影響でウクライナ語の人気が上昇中

 

乗るしかない、このビッグウェーブに

フリーコースターハブというビッグウェーブ

 

アレが長引いたら、ロシア語よりもウクライナ語の方が学習者が多くなるんじゃないかな(適当

そのウクライナ語は、ロシア語と近い親戚

ウェールズ語

「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」のウェールズ語訳を修正してみた

イギリスの隅っこにある絶滅危機のヨーロッパ言語。

 

語順が「VSO」で、他のヨーロッパ言語と共通点がなさそうに見えるが、れきっとした「インド・ヨーロッパ語族」である。

アイルランド語とは近い親戚。

韓国語

「こころぴょんぴょん」の韓国語訳を分析してみた

発音の面ではフィンランド語と似ているが、全く別の言語!

 

フィンランド語が「ウラル語族」なら、韓国語は「朝鮮語族」

あと、韓国語は日本語と似ているけど全く別の「語族」である!(2024年の時点)

 

え?ウラル・アルタイ語族

知らない子ですね・・・

(現代)ヘブライ語

ニコニコ大百科にある「心ぴょんぴょん」の現代ヘブライ語訳を修正してみた

ロシア語が「インド・ヨーロッパ語族」なら、ヘブライ語は「アフロ・アジア語族」

 

「アフロ」はのような「髪の毛」ではなく、「アフリカ」の意味

アフロ 画像検索

 

アラビア語とは近い親戚

 

え?セム=ハム語族?
知らない子ですね・・・

各言語の子音変化を解説

結論

 

子音変化が、単語のどこで起こるのか?
の視点で分類した。

 

言語によって子音変化の場所は色々。

フィンランド語の場合

単語の最後の音節だけ子音変化する。
要するに、最後の母音にくっついている子音だけ変わる。

 

例:kauppa(カウッパ)=店

kauppa+ssa(~に)
kaupassa(店に)

 

最後の音節の子音がpp→pへ変化する。
その他の音節は、子音変化しない。

フィンランド語の「子音階程交替 (kpt交替)」を分かりやすく表で整理してみた

ロシア語の場合

フィンランド語と同様に、最後の音節だけ子音変化する。

 

例:видеть(videt・ヴィデーチ)=見る

я вижу(ya vizhu・ヤー ヴィジュー)=私は見る
я(ya・ヤー)=私

 

語末の子音がд(d)→ж(zh)へ変化する。




ウェールズ語の場合

語頭の子音だけ変化する。

 

例:pont(ポント)=橋

y+ pont
y bont(ア ボント)=その橋
y(ア)=その

 

語頭の子音がp→bへ変化する。
語頭以外の子音はそのまま。

ウェールズ語講座その25~「私の~」で学ぶ鼻音化

韓国語の場合

単語・・・と言うよりは「漢字」で考えた方が良い。

 

日本語の漢字だと、語末は必ず母音で終わる。

それに対して韓国語の漢字は、語末が子音で終わるケースもある
(語末の子音をパッチムと呼ぶ)

 

ある漢字の語末の子音と、その次に来る漢字の語頭の子音の組み合わせによっては子音変化する。

 

例:国(kuk)+民(min)
→国民(kuk・min)
→kung・min

 

国(kuk)の最後の子音がk→ngへ変化する。

 

国民ハングル表記국민(kuk・min)
発音上は궁민(kung・min)

 

上記は語尾だけ子音が変わっているが…
次に来る漢字の語頭の子音が変わるケースもある。

 

例:刹那(char・na)
→char・ra

2文字目の那(na)の語頭の子音がn→rに変化する

刹那ハングル表記찰나(char・na)
発音上は찰라(char・ra)

 

前の漢字の語尾と、次に来る漢字の語頭の子音が同時に変わることもある。

例:圧力(apryok)
→ amnyok

 

圧(ap)の最後の子音がp→mに変化
力(ryok)の最初の子音がr→nに変化

圧力ハングル表記압력(apryok)
発音上は암녁(amnyok)

 

第八・九世代の韓国語版ポケモン名で学ぶ濃音化

ヘブライ語の場合

三語源の考え方があるため、子音は「ほぼ」変化しない。
変化するとしたら、三語源以外の子音。

ヘブライ語における三語源を説明してみた

ある三語源 זקן(Z・K・N)で、「歳を取る」の意味がある

上記の三語源を「ヒトパエル態」として動詞化する流れは以下。

 

הִתְזַקֵּו(HiTZaKeN・ヒトザケン)  だと、ヘブライ語的に発音しにくいので・・・
ちょこっとだけ子音をいじるんじゃよ。

 

 

完成した動詞が
הִזְדַּקֵּן(HiZDaKeN・ヒズダケン)=歳を取る

 

この時、子音はת(t)→ד(d)に変化している。

各言語のまとめ

変化後の子音は書く?

 

韓国語だけは変化後の子音を書かない。

書く時は「子音変化前」の文字で書く。
読む時は文字通りに読むのではなく、頭の中で子音変化させて読む。

 

韓国語以外の4言語は、基本的に変化後の子音で書く事になっている。
なので外国語学習者にとって優しい設計になっている。

 

ただし、よく使われるフレーズは文字通りに発音しない事もあるんだけどね。

子音変化の位置は様々

フィンランド語やロシア語の場合、最後の音節で子音が変化する。
逆にウェールズ語は語頭の子音が変化する。

 

韓国語は、語末の子音次に来た語頭の子音の組み合わせで変化する。

 

ヘブライ語は基本的に子音変化は無い!
ごく少数の単語を作る時、文字が入れ替わったり子音交替したりする

アラビア語もヘブライ語と同じように子音交替するのだが、文字がくっついて発音説明が面倒くさい

 

言語によって子音が変化するパターンは色々ありますねぇ!

発音しやすくするために子音を変えている

のは、どの言語でも共通する。

 

「ことば」は、意味もなく子音を変化させない。
話者が実際に使ってみて「発音しにくい!」と感じるものだけ子音を変えてしまう。

 

だから地域や時代、人によって発音がずれる。

「発音しにくい!」という感覚は数値化できるものではなく、完全に話者の主観になる。

変な発音に対しても冷静になれる

ネイティブの中には

「この発音は間違っている!」

と批判する人が居る。

 

でも、色々な言語を学んで言語による子音の変化パターンが色々ある事を知ってしまうと
「この発音は間違っている!」
と言えなくなってしまう。

 

(ng)の発音が苦手だから(n)で代用しているのかなー?」
と、深読みしてしまうのが私。

 

「この発音は間違っている!」
この話はやめよう。

ハイ!
やめやめ

 

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